車に乗ったときに一番肌が触れる場所はステアリング(ハンドル)ですが、その次に触れる頻度が高いのはシフトノブ(ATの場合はセレクターレバー)でしょう。特にMTの場合は、ATの比じゃないほど触りますよね。
ステアリングについては、以前にKENSTYLEのパンチングレザータイプに交換した記事を書きましたが、シフトノブについてはそろそろ交換したいなあと思いつつも、これだ!という物が無く、交換しそびれていました。
継続的に調べていたところ、NDロードスターのMTモデルに使われている、純正の本革巻きシフトノブが重量・サイズ・デザインともにとても良さそうでしたので、今回購入し交換することにしました。
しかし、DJデミオ純正のものから別のものにシフトノブを交換すると、ちょっとした問題もありまして… 今回はその解決策も含めて紹介していきます。
購入
純正パーツですから、一番簡単かつ確実な入手方法としては、懇意にしているマツダディーラーに伝えて取り寄せてもらうのが良いでしょう。
シフトノブとシフトパターン部のプレートは別売りで、合計10,000円前後です。
また、マツダ純正パーツを販売しているHYOGO PARTSさんでは、シフトノブ・パターンセットで9000円強で購入できます。
比較
DJデミオに純正で付いているシフトノブはやや大きめで、形状も特殊なものになっています。
手の収まりは悪くないのですが、ノブの"くびれ"の部分が太いため、逆手持ちがし辛いという難点もありました。素材はレザー様のものが使われており、車内が冷え込む冬期間でも冷たいと感じたことはなかったです。
NDロードスター純正のシフトノブは、王道の球形となっています。
手に持った感じもずっしりと重たく、一体この小さな球形のなかに何が入っているんだろうと考えてしまいます。比重の重たい金属でも入れているのでしょうか?
また"くびれ"の部分もほどよい太さになっており、様々な持ち方で操作することができそうです。
素材は本革レザーのようですが、かなり革を強く張った硬めの仕上げになっており、手に吸い付くような感じではありません。
最近のマツダ車のトレンドであるレッドステッチは、120°ずつ3方向に施されています。
2つのシフトノブの重量を比較してみました。
113.4gと非常に軽量なDJデミオ純正に比べて、NDロードスター純正は305gと、おおよそ3倍近く重たくなっています。
サイズ感的には、DJデミオのシフトノブのほうが一回りも二回りも大きいので、相対的にDJデミオのほうが軽く感じてしまいます。
また、全長はNDロードスターが数センチほど短いため、わずかではありますが交換時に遠くなった感じがします。
重さを増やしている分長さを短くして、シフトフィーリングのバランスを取っているのでしょうかね?
交換作業
さて、いよいよシフトノブの交換作業に入ります。
といっても、シフトノブの交換なんてくるくる回して取り外し、同じ要領で取り付けるだけなので賞味1分もかからないのですが…
まず、純正のシフトノブを左回りに回して外します。
もともとの締まりがかなり緩く、またネジ止めなども付いていないので、素手で左にひねるだけで外せると思います。
NDロードスター用のシフトノブを右回しに回転させて取り付けます。終わりの方はかなりキツイので確実に締めましょう。
最後にシフトパターンの向きを調整、確認して作業終了です…あれ?
なんということでしょう。
シフトノブが短いせいでネジの長さが余ってしまい、シフトブーツと隙間が空いてしまいました。
別にこのまま使っても機能的には一切問題はないのですが、さすがにどうみてもかっこ悪いです。
これをどうにかしましょう。
ブーツ嵩上げ作業
まず思いつく方法としては、余っている分のシャフトをぶった切ってシフトレバーそのものを短くするやり方。ただこれをやってしまうと、もう純正シフトノブはきちんと付かなくなりますし、なにより車両売却時などに困ります。
次に思いつくのはブーツの下から反発力のあるもので押し上げて、嵩上げする方法。
これでしたら復元も容易ですし、もし将来的に他のシフトノブを使用することになってもそのまま流用できそうです。
というわけで、今回は後者の嵩上げ方式を使用して、ブーツとシフトノブの隙間を埋めることにしました。
まずシフトブーツ周りにある銀色のパネルを外します。横の隙間から内張り剥がしを差し込んで少し浮かせた後、真上に引っ張り上げると外れます。
4箇所にツメがあるので、誤って折らないように気をつけてください。
銀色のパネルを外したら、今度はピアノブラックのシフトブーツが付いているパーツを外します。
車両前方(コンソールパネル側)は抑えなどがなくフリーですので、写真のように持ち上げると外れます。
車両後方側は、マツダコネクト操作部やサイドブレーキが付いている部分で上から抑えられています。
写真のように抑えているほうを軽く持ち上げると、シフトブーツが付いているパーツが完全にフリーになるので、車両前方側から外してしまいましょう。
これで、シフトブーツとその周囲にあったパーツが外れました。
シフトブーツは、シャフト部の中央にあるクリーム色の部分で止まるようになっています。
この部分が上に上がるか、または反発力のある部品をシャフトに通すかすれば、
なんとかなりそうです。
そこで購入したのがこの「押しバネ」。
コメリで150円くらいで売っていました。
これを先ほどのシャフトに通してやると、全く隙間なくピッタリと収まりました。
バネを購入する際の注意点ですが、全長は20mm前後が望ましいのですが、そこまで重要な要素ではありません。
一番気をつけていただきたいのがバネの外径で、これ12mm以上のものを購入するようにして下さい。
というのも、DJデミオのシフトシャフトの直径は10mmなのですが、バネはワイヤーの線径(線の太さ)があるため、内径は外径よりも1〜2mm程度狭くなります。
参考までに、下の写真は予備で買ってあった別のタイプのバネですが、こちらは外径が11.5mmになっており、ギリギリシャフトに通りませんでした。
ですから、長さ20〜25mm前後、線径1mm程度、外径12mm以上のものが望ましいでしょう。
あとは逆の手順でパーツをもとに戻していくだけです。
換装・ブーツ嵩上げ後
ブーツの嵩上げ、シフトノブの交換が済んだ状態です。
ブーツとシフトノブの隙間がなくなり、まるでもともと付いていたシフトノブであるかのごとくマッチングしています。
シフトノブ下側の若干径が大きくなっている部分のフィッティングもバッチリですね。
横から見てみました。
いかがでしょうか。違和感ゼロといっても差し支えない仕上がりになっていると思います。
シフトを入れた状態でも、バネの反発力によってシフトブーツをその都度押し上げてくれるため、寸足らずになることもありません。
総評
ただ交換するだけと思っていたシフトノブに、思わぬ落とし穴が存在し、多少の作業が必要となってしまいました。
しかし、NDロードスター純正シフトノブのシフトフィーリングはすこぶる快適で、スコスコとシフトが入ります。
サイズもDJデミオ純正からやや小ぶりになり、とても握りやすくなりました。
冬は革の手袋を付けて運転することも多いので、この点はとても助かっています。
また、逆手(シフトノブを下から人差し指と中指で挟むようにして持つ)もやりやすくなりました。良い事ずくめですね。
唯一の欠点といえば、球体下の銀色の"くびれ"部分が、冬はかなり冷たくなってしまうことくらいでしょうか。
とはいえ、お手軽ながらも、とても満足度の高いカスタマイズが出来たと思います。