前回の記事ではハイスペックのシムフリー機を比較しましたが、今回はそれらシムフリー機で使うためのsimカード、中でもMVNOと呼ばれる仮想移動体通信事業者、いわゆる格安simで、どこの業者を選ぶのが良いのかを検討していきます。
主にUQmobile、mineoに回線を貸し出しているau、自社の子会社であるワイモバイルに回線を貸し出すソフトバンクに比べて、ドコモは非常に多くのMVNOに回線を提供しており、各社のサービス形態も様々で、選択の幅が多いと同時にどこを選んでよいのか迷ってしまうことがあると思います。
私も今回simフリー・格安simの導入にあたって、いろいろな業者やサイトを見ましたが、表記がバラバラだったりランキング形式だったりして、かなり分かりにくいところがありました。
そこで今回、主要なドコモ系の16社の料金プランやオプション、サービスなどを一目で比較できる表を作成することにしました。それが下の表です。
DoCoMo系格安sim 16社一目比較表
前回のハイスペック機の比較表と同様に、他社に比べて優れている部分は緑で、劣っている部分は赤で、また契約上特に注意が必要な部分については黄色で表記してあります。
音声プランについては表の1GB、3GB、10GB、無制限よりも多く設定されている業者がほとんどですが、最も使われるであろうデータ通信量の4つを今回記載しています。
また、標柱のサービス名はリンクになっており、直接MVNOのサイトに移動できます。
サービス名 |
||||||||
事業者 |
IIJ |
NTTコミュニケーションズ |
ケイ・オプティコム |
DMM |
楽天 |
@nifty |
U-NEXT |
plala |
音声・データ1GB 月額 |
なし |
1600円/110MB/1日当たり |
1500円 |
1260円 |
なし |
なし |
1480円~1780円 |
1600円/110MB/日当たり |
音声・データ3GB 月額 |
1600円 |
1800円 |
1600円 |
1500円 |
1600円 |
1600円 |
1580円 |
2586円/7GB |
音声・データ10GB 月額 |
3260円 |
3000円 |
3220円 |
2890円 |
2960円 |
3500円 |
なし |
|
音声・データ無制限 月額 |
なし |
500kbps 2500円 |
なし |
なし |
200Kbps 1250円 |
なし |
LTE 2980円 |
3Mbps 3460円 |
090通話料金 |
20秒/30円 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
通話料金割引サービス |
10円/30秒(みおフォンダイヤル) |
10円/30秒(050+) |
10円/30秒(LaLa Call) |
10円/30秒(DMMトーク) |
10円/30秒(楽天でんわ) |
なし |
なし |
なし |
通話定額サービス(1回最大5分) |
600円(3分)・830円(5分) |
850円 |
840円/30分 |
なし |
850円 |
1300円(IP電話・最大90分) |
ドコモ回線ではなし(Y!Mobile回線のみ) |
なし |
音声SIM SMS基本料 月額 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
音声SIMの最低利用期間 |
なし(注↓) |
6ヶ月間 |
なし (注↓) |
12ヶ月間 |
12ヶ月間 |
6ヶ月間 |
6ヶ月間/12ヶ月間 |
6ヶ月間 |
最低利用期間未満の解約金 |
残りの最低利用月数×1000円 |
8000円 |
9500円(12ヶ月以内MNP転出の場合) |
9000円 |
9800円 |
8000円 |
6000円/9500円 |
8000円 |
余ったデータの繰越 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
✕ |
✕ |
データ容量追加(最小追加量) |
200円/100MB |
500円/500MB |
150円/100MB |
200円/100MB |
300円/100MB |
900円/500MB |
300円/100MB |
✕ |
3日間通信速度制限 |
高速時なし |
なし |
なし |
高速時なし |
あり |
あり |
あり |
なし |
Wi-Fiスポット利用 |
✕ |
◯ (無料) |
✕ |
◯(362円) |
◯ (362円) |
◯ (無料) |
◯ (無料) |
✕ |
MNPオンライン即日開通 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
✕ |
初期費用(契約事務手数料) |
3000円 |
3000円(パッケージ購入で300円前後) |
3000円 |
3000円 |
3394円 |
3000円 |
3000円 |
3000円 |
メモ・特記事項 |
プロバイダ老舗、10月からau回線も開始 |
NTT系列の老舗、利用者数No.1 |
ドコモ・auのマルチキャリア |
業界最安値、10%をポイントで還元 |
楽天ポイント還元、ポイントで支払い可能 |
プロバイダ老舗 |
USEN系列、サイト・料金がとても分かりにくい |
プロバイダ老舗、MNPの不通期間長い |
サービス名 |
||||||||
事業者 |
Excite |
DTI |
BIGLOBE |
プラスワン・マーケティング |
日本通信 |
LINE |
TSUTAYA |
AEON |
音声・データ1GB 月額 |
1370円 |
1200円 |
1400円 |
1199円 |
1300円 |
1200円 |
データ無制限(500kbps) 1953円 のみ |
1280円 |
音声・データ3GB 月額 |
1600円 |
1490円 |
1600円 |
1600円 |
1800円 |
1690円 |
1580円(4GB) |
|
音声・データ10GB 月額 |
2950円 (9GB) |
なし |
3400円 (12GB) |
3170円 |
2300円(5GBから200Kbps) |
3220円 |
3280円(12GB) |
|
音声・データ無制限 月額 |
従量制プランあり |
LTE 2900円 |
なし |
従量制プランあり |
3180円(25GBまで) |
なし |
なし |
|
090通話料金 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
20円/30秒 |
18円/30秒 |
20円/30秒 |
通話料金割引サービス |
なし |
なし |
10秒/30円(BIGLOBEでんわ) |
10円/30秒(FREETELでんわ) |
10円/30秒(b-mobileでんわ) |
なし |
21円/1分(050 IP電話) |
なし |
通話定額サービス(1回最大5分) |
なし |
780円 |
650円(最大3分)・650円/60分 |
399円(最大1分)・840円(最大5分) |
500円(最大3分) |
なし |
500円(IP電話60分) |
なし |
音声SIM SMS基本料 月額 |
無料 |
150円 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
100円 |
無料 |
音声SIMの最低利用期間 |
12ヶ月間 |
12ヶ月間 |
12ヶ月間 |
なし(注↓) |
5ヶ月 |
12ヶ月間 |
24ヶ月間 |
なし (注↓) |
最低利用期間未満の解約金 |
9500円 |
9800円 |
8000円 |
MNP転出の場合最大15000円 |
8000円 |
9800円 |
9800円 |
6ヶ月以内のMNP転出の場合8000円 |
余ったデータの繰越 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
✕ |
◯ |
✕ |
◯ |
データ容量追加(最小追加量) |
580円/1GB |
380円/500MB |
300円/100MB |
500円/500MB |
300円/100MB |
500円/500MB |
3Mbps高速通信用 300円/1GB |
480円/1GB |
3日間通信速度制限 |
あり |
あり(無制限プランはなし) |
なし |
なし |
高速時なし |
なし(データ量を使い切った場合でもLINEは高速) |
あり |
高速時なし |
Wi-Fiスポット利用 |
✕ |
✕ |
◯(無料) |
✕ |
✕ |
✕ |
✕ |
✕ |
MNPオンライン即日開通 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
✕ (電話で即日) |
✕ |
✕ (店頭で即日) |
初期費用(契約事務手数料) |
3000円 |
3000円 |
3000円 |
299円 |
3000円 |
3000円 |
1500円 |
3000円 |
メモ・特記事項 |
IIJ回線使用、従量プランの複数SIMシェア可 |
怪しいサイト、定額サービス充実、6ヶ月間基本料割引 |
プロバイダ老舗 |
SNS利用時データ通信無料、独自機種多数 |
5段階制従量、高速定額は11月から受付終了 |
2016年9月サービス開始、LINEの通信料無料 |
1プランのみ、かなり特殊なので要確認 |
プラン充実、イオンカード支払いで各種優遇 |
※2016年11月11日現在のデータです。
※表の価格は全て税抜き表記です。
※基本的に音声sim(音声通話が付帯するsimカード)のデータとなります。
とにかく安く使いたい人向け
プランの価格という面だけで見れば、DMMモバイル、DTI sim、FREETEL SIM、LINEモバイルの4社が限界価格で競い合っており、やや遅れる形で楽天モバイル、イオンモバイルが追随しています。
胡散臭いがサービスはしっかり「DTI sim」
なかでもDTI simは、全てのプランにおいてDMMモバイルより僅かに安く、また撒き餌なのか、契約から6ヶ月間は各種プランが大幅に値引きされており、ユーザーへの訴求力は非常に高いといえます。
ただ表中にもあるようにキャンペーンのサイトがめちゃくちゃ胡散臭く(笑)、楽天市場の長い商品説明か怪しい健康食品の通販サイトのようになってしまっています。
▲こんなのが延々続きます。
トップがいきなりこんなで、スクロール量もとてつもなく多く、途中には匿名の「お客様の声」まであり、ページを離れようとするとポップアップで再確認までしてくる徹底っぷりです。
ただ、サービス内容自体はかなりしっかりしており、基本的な部分も他社に劣っているわけではなくむしろ他社より優れている部分が多く、選択の余地は大いにあると思います。
特にデータ通信の使い放題プランは、他社の同様のサービスは通信速度が中速〜低速で固定されていたり、直近3日間で使いすぎた場合の速度制限などがあったりするのですが、DTI simの場合は高速通信かつそれらが一切ありません(あまりにも常識はずれな量の通信が規制されるようですが)。よって、
・ネット使い放題かつ格安音声simを安く・速く使いたい人
にはベストの選択肢と言えるでしょう。
最安クラスながら非の打ち所がない「DMMモバイル」
DMMモバイルは表を見ても分かる通り、特に他社より劣る点がほとんどありませんでした。唯一気になった点と言えば公衆無線LANスポットに月額利用料が必要な程度ですが、他の業者では公衆無線LANサービス自体が存在しないところも多いので、特にデメリットとして表記していません。
また、月額の10%をDMMポイントで還元してもらえるため、DMM配信のゲームサービス(艦これや刀剣乱舞)の課金アイテムや、DMM.comで販売されている本(電子書籍)・コミック・CD・DVDなどの購入に貯まったポイントを充てることができるという点でも他社に比べて非常に高い訴求力を持っていると思います。
また、DMMモバイルはAmazonで販売されているパッケージで購入した場合、通常3000円の契約事務手数料が500円程度で済みます。
・特にこだわりはないが、とにかく安く、便利に使いたい人
・DMMのサービスを利用したり、買い物したりする人
にはとても向いていると言えます。
導入費用が安く魅力的なオリジナル機種が揃う「FREETEL SIM」
FREETEL(フリーテル) SIMでまず目に付くのは、肉球(299)円で販売されるsimカードの価格(契約事務手数料)でしょう。他社ではOCNモバイルONEもAmazonなどで290円でsimカードを販売しています。
また、フリーテル端末とsimの同時購入の場合は、半年経過後に好きな同社の機種に無料で機種変更できる「かえホーダイ」というサービスも登場しました。
LINE、Twitter(12月から)、Facebook(12月から)などのSNS利用の場合データ通信量がかからない(月の利用分に加算されない)というのも他社にはあまりない独自のサービスです。1分までの通話なら399円でかけ放題というライト向け通話プランがあるのもフリーテルのみです。
FREETEL端末は最近魅力的なものが多く、特に12月発売予定の5000mAhという普通のスマートフォンの約2倍近いバッテリー容量を備えた「雷神(RAIJIN)」や、同じく12月発売予定の10コアCPU・4GBメモリ・64GBストレージ・WQHDの高解像度有機ELディスプレイというモンスタースペックを持つ「極2(KIWAMI 2)」などがあります。
・フリーテル端末で欲しいものがある人
・SNSサービスを多く利用する人(1GBで運用すればかなりお得)
・短時間の通話が多い人
などを求める方には、間違いなくおすすめできる業者でしょう。
サービス開始直後で狙い目、LINEヘビーユーザー向け「LINEモバイル」
LINEモバイルは今年9月にサービスを開始したばかりの新興MVNOで、日本ではコミュニケーションアプリのデファクト・スタンダードともいえる「LINE」の運営会社が手がける格安simです。
通信プランでは、1GBの価格が他社よりも安価ですが、それ以外はほぼ月並みとなっています。
特にLINEアプリ関連の通信に強みがあり、LINEによる通信・通話料金は無料、もし月の通信量をオーバーしてしまってもLINEは低速落ちしないというのが魅力です。LINEを多く使用する方であれば、1GBでも問題なく使用できるでしょう。
さらに、他社MVNOではLINEの年齢認証が行えずID検索が不可なのが、LINEモバイルでは出来るようになっている点でもLINEヘビーユーザーには嬉しいポイントでしょう。
また、サービス開始直後でまだユーザー数が少なく、通信が混み合う時間帯でも現時点でかなり速度が出るのも良いですね。
・お子様に持たせるスマートフォン用として
・メッセージ・通話などをLINEに依存している人
などには向いているサービスです。
豊富な機種に加えて楽天カード・楽天ポイント使用で更にお得に「楽天モバイル」
楽天モバイルは、EC大手の楽天によるMVNOで、価格面では平均よりやや安く、サービス面でも特に不安な点は見つからない、手堅い通信業者です。
特に強力なのが、楽天系のサービスで貯まる楽天ポイントが、毎月の支払いに使えるという点ですね。楽天カードでの支払いと合わせればかなりお得に運用できるはずです。
また、端末の種類が豊富で、しかも楽天モバイルが独占販売するsimフリー機種があることも魅力の一つでしょう。
Huawei(ファーウェイ)のhonor(オーナー)シリーズは楽天モバイル専売で、最新機種のhonor8は美しいデザインでダブルカメラ、尚且つフラッグシップモデルのP9に並ぶハイスペックと、とてもハイレベルな端末です。
違約金や契約事務手数料が微妙に他社より高く、データ通信量の追加も100MBにつき300円と割高ですので、予め余裕のあるプランを選んでおいたほうが良さそうです。
・楽天カードで料金を支払う予定の人
・楽天市場で買い物をすることが多く、ポイントを無駄なく使いたい人
・Huawei honor 8などの専売モデルが欲しい人
以上の方に向いているでしょう。
イオンカードで優遇、全国のイオンで手厚いサポート「イオンモバイル」
小売大手のAEONが運営するイオンモバイルは、なんといってもその強力な販売網によるサポートが魅力です。
他のMVNO業者とはやや毛色が異なり、オンライン販売よりも店頭販売・サポートに力を入れており、全国各地にあるイオン213店舗で機種の受取・契約が行えるだけでなく、購入後の修理受付・サポートを受けることが出来るため、安心感があります。
またプランの価格もかなり安く、29プランと選択肢も豊富にあるので、自分にあった契約内容を見つけることが出来るでしょう。
イオンカードでの支払いで機種の分割払い金利がかからないというのも良いですね。
・オンラインでの契約に抵抗感のある人
・格安simにしたいが電話やネットによるサポートだけでは不安な方
・老齢の方に持たせるスマートフォンとして
などの方々におすすめできます。
安定して満足に使えるSIMを求める人向け
IIJmio、mineo、OCNモバイルONE、BIGLOBE SIMの4社は、サービスが充実しているため不満点も少なく、また使いすぎによる3日間の通信制限も基本的にないため、人気の高い格安simになっています。価格は前出の6社よりもわずかに高めに設定されています。
品質が高く満足度も高い「IIJmio」
IIJmioは、プロバイダ業古参でありMVNEでもあるインターネット・イニシアチブ(IIJ)によるサービスで、2012年にサービス開始と、かなり息の長いMVNOです。
家電量販店大手のビックカメラが提供するBIC SIMもIIJmioを使用していることからも、その安定性が伺えます。
ネット上でも「とりあえずIIJにしておけば間違いはない」と評判の高いMVNOです。またつい最近、mineoに続いてau回線の取扱いも始まり、2社目のマルチキャリアとなりました。
通話時間3分以内(家族間なら10分以内)なら何度でも月600円で話し放題のプランや、同一契約のSIM同士ならパケットを分け合える(DoCoMoとauの間でも融通可能)など、家族・恋人同士で契約する場合や、ひとりで複数のSIMを契約するときなどはもってこいのMVNOといえます。
また、IIJmioはAmazonで販売されているパッケージで購入した場合、通常3000円の契約事務手数料が400円程度で済みます。
・家族、恋人同士で格安simを契約する場合
・音声通話を多く使う予定がある方
・複数枚SIMを契約する方
・au系端末(3G回線にCDMA2000を使う端末)を使用する予定がある、または持っている場合
などを始めとして、様々な方におすすめできる優れたMVNOであるといえるでしょう。
独自のサービスが光る人気のMVNO「mineo」
mineo(マイネオ)は、関西電力の子会社であるケイ・オプティコムによる、IIJmioと並んで人気の高いMVNOです。
サービス開始当初からDoCoMoとauを取り扱う日本初のマルチキャリアとして人気を博しました。
こちらもIIJmioと同様、家族間での使用が優遇されており、家族同士の契約で50円割引(5回線まで、3親等以内)される「家族割」を提供するのはこのmineoだけです。さらに最大5回線同士で余ったパケットを共有できる「パケットシェア」、赤の他人のmineoユーザー全員とシェア・融通が可能など、他のMVNOにはない、独特のサービスがあります。
通話定額サービスは他社とやや異なり、一回の最大時間ではなく、累計時間でカウントされるタイプのため、1回5分までのかけ放題で5分毎に切ってかけ直すのが面倒な方などにはおすすめです。
また、mineoはAmazonで販売されているパッケージで購入した場合、通常3000円の契約事務手数料が900円程度で済みます。
・家族、恋人同士で格安simを契約する場合
・長電話で5分ごとにかけ直すのが面倒な方
・データ通信量を契約より多く使う可能性がある方
など、IIJmioと並んで多くの方におすすめできるMVNOになっています。
DoCoMoと同じNTTグループで手堅く、ユーザーに優しい「OCNモバイルONE」
OCNモバイルONEは、プロバイダ大手のNTTコミュニケーションズと、そのプロバイダ事業であるOCNがMVNE(MNO[この場合DoCoMo]から借りた回線をMVNOに提供するイネーブラ)となって運営する、大手MVNOです。
閑話休題:MNO?MVNO?MVNE?
ここで、先ほどから頻出するMVNOについて簡単に説明しておきます。
MNO(Moble Network Operator、移動体通信事業者)とは、自社で回線をもち、なおかつ自社ブランドでサービスを展開しているDoCoMo、au、ソフトバンクの3社です。不動産で言うところの地主に当たります。
MVNE(Mobile Virtual Network Enabler、仮想移動体通信サービス提供者)は、MVNOが上記MNO3社から回線を借りるときに間に立ち、通信のノウハウを提供します。不動産の仲介業者のような役割ですね。NTTコム(OCN)、IIJ、NTTPCコム(InfoSphere)、So-net、b-mobileなどが該当します。
MVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)とは、自社で回線を持たずに、MNOから回線を借りて携帯電話サービスを行うものを指します。不動産でいうところの店子のような役割ですね。
MNOである地主は、多数の商業用テナントが入居できるように整備されたビルを持っており、そこにはMNO自身で経営する店が、複数階にまたがって大きく展開しています。そのビルの余った部分に出店するのがMVNOで、その時に出店のノウハウや、地主へ交渉の取次を行ってくれるのがMVNEです。また、MVNE自身も、そのノウハウを活かして自分の店を出すことも多いです。
そしてこれらを利用する我々は顧客で、どこの店を利用するかを自由に選ぶことが出来ます。
という例え話だとわかりやすいでしょうか。
▲NTTグループの概略。
話を戻します。
つまり言ってしまえば、OCNモバイルONEは回線貸出元のDoCoMoに一番近い(というか身内)MVNOですから、その回線の安定性には定評があります(最近はユーザーが増えすぎて速度が遅いようですが)。ユーザー数の増加に伴う回線の増強にももっと力を入れてほしいものです。
全体的に価格は平均程度ですが、他社にはない、月ではなく1日当たりの通信量が決まっているプラン(日次プラン)も存在し、幅広い選択肢の中からプランを決めることが出来るといえます。
無料で使用できるWi-Fiスポットも11月現在82000箇所と最多で、出先での通信料を抑えつつ高速通信を行える機会が多いのも大手プロバイダならではの魅力ですね。
ただし、データ通信プランは最大でも10GBまで、使い放題のプランもあるにはありますが常時500Kbpsとなっており、大容量のデータ通信を高速で行いたいユーザーには向いていません。
しかし、3日間通信制限が存在せず、あまったパケットもなんと最大3ヶ月繰り越せるため、普段は自宅や会社のWi-Fiを使用するのでほとんど通信はしないが、休みの日などは出先で大量に使う予定があるユーザーなどにはとても向いているといえるでしょう。
また、普通に契約した場合は契約事務手数料3000円がかかるのに対して、Amazonなどで販売されているシリアルコードパッケージを購入すると初期費用が280円で済むのも魅力です。
OCNモバイルONEは次のような方に特におすすめです。
・毎日一定量通信する方(日次プラン)
・自宅・会社では無線LANを使うので通信量は少ないが、たまに出先などで大量に使用する予定がある方(月次プラン)
・自宅回線でOCN光を使用している方(セット割で200円引き)
定量通話パックが最安の「BIGLOBE SIM」
BIGLOBE SIMは、プロバイダ老舗のビッグローブが提供する格安simです。
以前までは3日間の通信制限がありましたが、今年9月に全て撤廃され、よりユーザーにやさしくなりました。
価格・サービスともに手堅く、プロバイダ系ではOCNモバイルONEの次に良い条件が揃っています。なかでも650円で60分通話可能(または3分以内の通話し放題)な通話オプションは国内最安です。
また、BIGLOBE SIMはAmazonで販売されているパッケージで購入した場合、通常3000円の契約事務手数料が100円〜500円程度で済みます。
・1ヶ月に1時間程度の音声通話をする方
・自宅にBIGLOBE回線がある方(セット割で200円引き)
などの方が向いていると思います。
その他のプロバイダ系MVNO
NifMo、ぷららモバイルLTE、エキサイトモバイルなどのプロバイダ系MVNOは、自宅にそのプロバイダの回線を敷いている場合、大抵セットで割引が効きます。
他社の条件やサービスと比較して、料金面で有利する場合はセット割引を使用するのもよいでしょう。
尖ったサービスをもつMVNO
全体的に見た場合、他社に比べて安かったり、サービスで勝っているわけではないもないものの、使い方によってはお得になるMVNOも存在します。
b-mobile、TONEモバイル、U-Mobileの3社です。
珍しい5段階従量プランをもつ「b-mobile」
b-mobileは、通信事業大手の日本通信によるMVNOです。一般にはあまり知られていませんが、日本で最初にMVNO事業を始めたのは日本通信といわれており、そのノウハウはかなりのものでしょう。
b-mobileで特徴的なのは、「b-mobile おかわりSIM」という、独自の段階従量プランです。1GB(1000MB)から1GB刻みで5GBまで、段階的に使用料が自動で変動するシステムとなっており、全く使わない月がある場合でも損すること無く使えるのがとても魅力的です。月で余った端数分のパケットを繰り越すことが出来ないのはやや痛いですが、速度制限もありませんから、使い方と生活スタイルによっては、他社よりも年間で安く使えると思われます。
・月ごとの使用量に大きく差がある方
・始めてスマートフォンまたは格安simを使うが、どれくらいの通信量になるか予想がつかない方
などの方にはピッタリのプランでしょう。
1プランのみ!無駄を完全に削ぎ落とした「TONEモバイル」
TONEモバイルは、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの子会社であるトーンモバイルが提供するサービスです。
なんといっても「1プランのみ」という潔さが際立ちます。ただよく読んでみると、MNPで従来の番号を使う音声simの場合は953円加算、SMS利用は100円加算、高速通信をする場合は1GB当たり300円加算など、普通に他社の音声simと同じように使おうとすると同じかそれ以上の金額がかかってしまいます。とくにデータ通信は、通常時は500〜600Kbps(0.5〜0.6Mbps)固定となり、動画などはまともに見ることはできないでしょう。ただIP電話同士の通信量は無料なので、そこに重点を置く使い方ではかなり便利に運用できるかもしれません。
よって、
・小さな子どもに連絡用として持たせるスマートフォンとして
・現在使っている番号をMNPしたくないが、格安でもう一つ番号がほしい
といったケースなどでは有用でしょう。
LTE使い放題のプレミアムプラン「U-Mobile」
U-Mobileは、有線ラジオ放送大手・USENのMVNOです。サイトの作りが不親切で、オプションや条件などが分かりにくいので、いざ契約しようと思うと面食らってしまいます。
通常のプランの場合は特筆すべき点もなく、余ったパケットの繰越も出来ないため、あえてここを選ぶ必要性は感じられません。
パット見で魅力的に見えるのは、LTE通信が使い放題になる「U-Mobile Premium」でしょうか。
ただこちら、LTE使い放題とはいったものの、3日間の通信制限が設定されており、なおかつ具体的な速度制限までの通信量をU-Mobile側が公表していないため不透明感が漂っています。
さらに、プレミアムと謳いつつも通話料金を割り引くサービスやIP電話などはないため、音声通話に関しては他社同様20円/30秒かかります。
正直にいって、今の状況ではDTI simのネット使い放題・でんわかけ放題に劣っているため、あえてU-Mobileを使う必要はないでしょう。
最後に
今回、私が格安simを契約するにあたって、前もって調べたことを表でまとめ、細かい部分については長々と羅列してみましたが、いかがでしたでしょうか。
ただ、家電量販店の店員にオススメされるがままに契約するよりかは、自分で幾らか調べた上で自分にあったプランを見つけ出し、納得して使い続けるほうが幸せだと思います。MNPでMVNOに移る場合でも、キャリアの2年縛りに比べて短期間(5ヶ月〜12ヶ月)ながら解約・転出で違約金を請求される期間は発生しますので、一度契約をしてしまうとおいそれとやめるわけにいきません。
格安simだからどこも同じだとは考えず、自分で各サイトを見てしっかりと比較検討していくことが上手に格安simと付き合っていくための第一歩なのではないでしょうか。