「完成であり、新たなスタートでもある」
およそ一ヶ月前、SAMSUNGの最新スマートフォン Galaxy S8を海外から個人輸入で購入しました。
それまで色々と理由があり避けてきたGalaxyですが、今回は近未来的なデザインと、先進のスペック、色々と目新しい機能に一発でヤラれてしまい、それまで使っていたZTE axon7に色々と不満もあったことから購入を決意。
国内販売開始に先立って、一ヶ月ほどじっくりと使ってみたインプレッションを書いていこうと思います。
ZTE Axon7の不満点
去年の11月に購入し半年ほど使用していたZTE Axon7ですが、端末自体はそこまで悪くなかったのです。ただ販売開始時はAndroid OS 6.0 MarshmallowだったOS、海外版はどんどん更新されていくのに対し(更新を重ねて現在最新の7.1.1)、国内版はいつまでたってもマイナーアップデートすらされず、フラストレーションが溜まっていたという点が非常に大きいです。これでも最初はDaydream(Android 7で対応するスマホVR)対応、と言っていたので信じていたのですが…
他にも細々とした不満点はいくつかあったのですが、ここでは割愛します。
個人的には「最新のOSこそ最良のOS」と信じて疑わないところがあるので、いつまでもZTE日本法人に放置されて続ける状況に嫌気が差し、日本に特化したOSを搭載せず、最新の更新を受けることが出来るグローバル版端末を考え始めていたところに「インフィニティ・ディスプレイ」を搭載した最強スペックのGalaxy S8が出たため、購入することにしました。
購入
日本ではDoCoMo(SC-02J、SC-03J)・au(SCV35、SCV36)ともに、6月上旬発売予定のSAMSUNG Galaxy S8/S8+ですが、海外では4月下旬に既に発売されており、私も今回そちらを購入しました。
日本でSIMフリースマートフォンを個人輸入するとき、真っ先に名前が上がるのは香港のexpansys(エクスパンシス、通称パンツ)かEtoren(イートレン)ですが、こちらはデュアルシム・デュアルスタンバイ(DSDS)対応(SM-G950FD)で価格もちょっと割高だったので、イギリスのClove Technology(クローブ・テクノロジー)というショップからの購入です。
価格は574.17£ (GBP)、送料はDHLを使用し24£。購入時の為替レートで約85,000円程度でした。またこれとは別に、受け取り時に輸入消費税(記載金額×0.6×0.08)が掛かり、こちらが代行手数料等込で約4,500円でした。
なお、スマートフォンの日本への個人輸入については税関で「携帯回線網用その他の無線回線網用の電話」という分類になり、関税は「無税」として扱われます。
よく輸入消費税を関税と勘違いしている方も多いですが、輸入消費税はどのような物品でも約16,000円を超えた場合に上記の税率(記載金額の6割掛けに8%)が一律で掛かるのに対し、関税は物品によって税率が異なるため注意が必要です。個人輸入で多額の関税を取られるのはバッグや衣類などで、スマートフォンなどの電子機器類や自転車・自動車パーツなどの工業製品については無税であることが多いです。
グローバル版Galaxy S8の購入に要した合計金額は約90,000円程度で、国内予想販売価格とほとんど同一ということになります。
注文〜到着まで
Clove Technologyは、expansysやEtorenのように日本語に対応していませんし、日本語の使えるスタッフも居ませんので、やりとりは全て英語になります。
ただ注文自体はそこまで難しいものではありません。問題は初期不良や保証期間内での故障の場合ですが、こればっかりは海外SIMフリースマホ全体にいえる問題ですので、私はそこまで気にしませんでした。
また、SAMSUNGのスマートフォンは、仕向地に応じたリージョンロックが掛かっており、そのままではその販売国のみでしか使えないようになっているのですが、Cloveは英国外への発送時にリージョンロック解除を行ってくれるので、どこの国でも使用できるようになります。
今回、Cloveでの注文後の流れは以下の通りです。
- 4月26日 Clove TechnologyでGalaxy S8(SM-G950F)オーキッド・グレイ 64GBを予約注文
- 同日 クレジットカード決済、即時オーソリ通過
- 4月28日 海外でGalaxy S8/S8+発売
- 5月3日 Cloveから、SAMSUNGからの端末供給が滞っているため、発送が遅れている件について連絡あり
- 5月4日 Cloveから発送完了の連絡
- 5月6日 DHLの通知より、東京税関に入った旨の連絡
- 5月7日 DHLの通知より、税関を通過し国内配送業者に引き渡した旨の連絡
- 5月9日 佐川急便にて配達完了、受取・輸入消費税支払
信頼性の高い国際クーリエであるDHLを使ったこともあり、発送から1週間かからずに手元に届きました。都心部在住の方でしたら、更に1、2日早く受け取れたでしょう。
Cloveの通販サイトは、他のサイトよりも配送業者の選択の幅が広く、Royal Mail(いわゆる国営郵便。日本でいうところの日本郵便、アメリカでいうところのUPS。送料は安いがちょっと遅い)、FedEx(アメリカの国際クーリエ。日本に入ってからは日本郵便に業務委託)、 DHL(ドイツの国際クーリエ。日本に入ってからは佐川急便に業務委託)の3種類から任意で配送方法を選ぶことが出来ます。
FedExとDHLは、日本の佐川急便とヤマト運輸のようなものなので、どちらも価格は同じぐらい・速度も同じくらいですから、好きな方を選んでいいと思います。
開封の儀
イギリスからはるばる空輸されてきたGalaxy S8ですが、緩衝材で厳重に梱包されていたこともあり、化粧箱はきれいな状態でした。
ヨーロッパのSIMカードのみ対応です、というシール。その側面には「もしこのシールが破れていたら使わないでください」という注意書き。
ただし、今回は販売元のCloveにリージョンロックの解除を依頼したため、到着時はすでに一度開封済みでした(開封してSIMカードを入れて一定時間通話しないとリージョンロックの解除は出来ません)。1shopmobileなどは勝手に破ったりすることもあるようですね。
上の「EUROPEAN SIM CARD ONLY」を剥がすと、詳しい注意書きが出てきます。
リージョンロック解除の手順についても公式に説明されており、「ヨーロッパ以外の地域のSIMカードを使う場合は、ヨーロッパの通信事業者から累積5分以上の通話をする」とのことです。今回はこの面倒な手順をCloveが代行してくれた、ということですね。
箱は上の写真のように、横にベロっと開くタイプ。開いたらすぐにGalaxy S8とご対面です。ディスプレイとベゼルの境界線が全くわからないですね。近未来感があります。
保護フィルムは裏表両方に貼ってあり、裏面はその下にIMEIとシリアルナンバーが書かれたシールが貼付されています。
箱の中、スマートフォン本体が入っていた下の部分には付属品類が。
ちなみに日本のキャリア版(DoCoMo、au)だと、イヤホン以外のアクセサリーは入っていないらしいですね。Galaxy S8はUSB TypeCを使用するため、持っていない人の多いアクセサリー類をついでに買ってもらおうという魂胆なのでしょうが、もともと入っているものを省くのはどうなのかな…
付属のイヤホンは、SAMSUNGが買収したハーマングループの名門・AKGのカナル型。EO-IG955という品番が付いていますが、こちらの商品は市販されておらず、この端末専用のようです。イヤーピースはS、M、Lの三種類付属しています(Mがイヤホンに装着済み)。
コードは絡みにくい編み込みタイプが使用されています。また、右チャンネル側のコードの中程にマイクリモコンも付いており、端末のミュージックプレイヤーを操作したり、ハンズフリー通話をすることも可能です。私はAndroid用のリモコン付イヤホンは持っていなかったので嬉しいですね。ちなみにMacbookに挿してもリモコンは効かなかったので、Android端末専用のようです。
肝心の音質は、付属のものにしてはかなり良好だとは思いますが、あくまで2000〜3000円レベルかな、と感じました。低音がちょっと物足りなく聞こえます。
グローバル版に付属のUSB充電器は、プラグ形状が英国用のBFというタイプのため、日本国内では使用できません。急速充電が必要な場合、Ankerなどの3V出力が可能なUSB充電器を別途用意する必要があります。
USB関連のアクセサリーは3種類付属します。
左からmicroUSB-USB TypeC変換アダプタ、USB TypeA-USB(メス) TypeC変換アダプタ(Smart Switchデータ転送対応)、USB-TypeA(オス)-USB TypeCケーブル(1m)の3つで、とりあえずこれだけあればUSB周りはほとんど困らないようになっています。
SIMカードトレイのイジェクトピンは、説明書などが入っている箱の外にありました。
リージョンロックガイド、ワランティカード、クイックスタートガイドの3冊が箱の中に入っています。
Smart Switchを使用して旧端末からデータを移行する手順も説明されています。
ただ国内のGooglePlay Storeでは、おま国*1なのかは分かりませんが、Smart Switch Appが見つからなかったので、今回はGoogleのデータ復元などを使いました。
端末を起動すると言語設定から始まります。もちろん日本語も対応。
セキュリティと画面ロックの設定・ファイル・アプリの引き継ぎ・Googleの設定などを行って、セットアップは終了です。
Galaxy S8長期使用レビュー
購入から約1ヶ月、端末を色々と弄っていると、日々発見があります。
ようやくGalaxy S8に慣れてきた気がするので、長期使用レビューとして以下にインプレッションを書き綴っていこうと思います。
なお、国内版と海外版ではプリインストールアプリや対応バンドなど、細かい点で幾つかの差はありますが、OSなどの基本的な部分は共通していますので、DoCoMo・auから発売予定のGalaxy S8/S8+の購入を検討されている方のお役にも立てると思います。
スペック
Galaxyシリーズスペック比較表
まずは、簡単にまとめたGalaxy S8/S8+のスペック表を以下に掲載します。
※DoCoMo版のスペックは発売前の情報です。実際には一部異なる可能性があります。
|
Galaxy S8 (グローバル版) SM-G950F |
Galaxy S8(DoCoMo版)SC-02J |
Galaxy S8+(グローバル版)SM-G955F |
(参考)Galaxy S7 edge SC-02H |
|
ボディ |
端末サイズ |
長さ148.9 x 幅68.1 x 厚さ8mm |
長さ148.9 x 幅68.1 x 厚さ8mm |
長さ159.5 x 幅73.4 x 厚さ8.1mm |
長さ151 x 幅73 x 厚さ7.7mm |
重量 |
155g |
約150g |
173g |
約158g |
|
防塵防滴 |
IP68 |
||||
表面ガラス |
Corning ゴリラガラス5 |
Corning ゴリラガラス4 |
|||
ディスプレイ |
タイプ |
有機EL インフィニティ・ディスプレイ(感圧式ホームボタン)、エッジディスプレイ |
有機EL エッジディスプレイ |
||
サイズ |
5.8インチ(画面占有率83.6%) |
6.2インチ(画面占有率84%) |
5.5インチ(画面占有率76.1%) |
||
解像度 |
1440 x 2940画素 |
1440 x 2560画素 |
|||
プラットフォーム |
OS |
Android 7.0 ヌガー |
|||
CPU |
SAMSUNG Exynos 9(8895) オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 835(8998) オクタコア |
SAMSUNG Exynos 9(8895) オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 820(8996) クアッドコア |
|
GPU |
ARM Mali-G71 MP20 |
Qualcomm Adreno 540 |
ARM Mali-G71 MP20 |
Qualcomm Adreno 530 |
|
メモリ |
内蔵ストレージ |
64GB |
32GB |
||
内蔵メモリ |
4GB |
4GB |
|||
外部ストレージ |
256GBまでのMicroSDカードスロット |
||||
カメラ |
リア |
1200万画素、位相差AF、光学式手ブレ補正、LEDフラッシュ |
|||
フロント |
800万画素、オートフォーカス |
500万画素 |
|||
ビデオ |
4K30fps撮影、フルHD60fps撮影、HDR |
||||
サウンド |
スピーカー |
モノラルスピーカー(本体底面) |
|||
イヤホンジャック |
3.5mmイヤホンジャック |
||||
ハイレゾ |
対応 |
||||
通信 |
Wi-Fi |
802.11 a/b/g/n/ac、アクセスポイントモード |
|||
Bluetooth |
Bluetooth 5.0、aptX対応、デュアルオーディオ対応 |
Bluetooth 4.2、aptX対応 |
|||
NFC |
SAMSUNG Pay、Android Pay |
FeliCa搭載 |
SAMSUNG Pay、Android Pay |
||
USB |
3.1 Type-C |
2.0 microUSB |
|||
バッテリー |
容量 |
3000mAh |
3500mAh |
3000mAh |
3600mAh |
充電方式 |
急速充電、ワイヤレス充電 |
||||
セキュリティ |
センサー |
虹彩スキャナー、指紋認証(背面)、顔認証システム、心拍センサー |
指紋認証(ホームボタン)、心拍センサー |
||
その他 |
アシスタント |
Bixby、Googleアシスタント |
Googleアシスタント |
||
デスクトップ拡張 |
SAMSUNG DeX |
- |
|||
ワンセグ・フルセグ |
- |
◯ |
- |
◯ |
「ぼくのかんがえたさいきょうのスマホ」と言ってもいいくらいの、2017年上半期で考えうる限りの最強スペックとなっていますね。
バッテリー容量がやや心もとない感じもしますが、まあ…SAMSUNGはそこを攻める気にはならなかったのでしょう(お察しください)。ただ後述しますが、電池持ちは非常に良好です。
ご覧の通り、Galaxy S8とS8+のスペック上の違いはバッテリー容量と画面・本体サイズくらいで、メモリ・内蔵ストレージも4GB/64GBで同一です(最近海外では内蔵ストレージ128GBも出始めましたが)。
私は動画を見るときは基本的にパソコンかタブレットを使用するため、大きいディスプレイは不要でしたのでS8にしましたが、大画面でゲームをしたい、動画が見たいなどの用途でしたらS8+のほうが良いでしょう。
国内版とグローバル版の違い
国内版とグローバル版の大きな差は、CPU(とそれに内蔵されるGPU)で、日本国内版(中国版・アメリカ版も)は、クアルコムの最新SoCであるSnapdragon(スナップドラゴン)835を搭載していますが、グローバル版はSAMSUNG/ARMのSoCであるExynos(エクシノス)9を搭載しています。
一般的にはゲームをバリバリする場合はスナドラ、複数タスクをサクサク動かしたい場合はExynosのほうが良いと言われていますが、このあたりは搭載する端末のチューニング具合などで大きく変わってくる部分ですので、ここではあまり述べないこととします。
2つのSoCの比較は色々なサイトで行われていますので、興味があれば調べてみて下さい。
ただし、主なユーザーがほぼ日本国内にいる国産スマホゲームの動作に関して言えば話は別です。
Exynosを搭載した端末は、日本国内で販売されていないため、ほとんどの日本製ゲームではGPUが最適化されていません。この問題については、私はプレイしているリズムゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」での動作などを後ほど詳しく解説します。
またDoCoMo・auが発売する国内については、NFCにFeliCaが追加で搭載されており、おサイフケータイとして使用することが可能です。
グローバル版でもNFCは使えますが、日本国内でのクレジットカードや非接触ICカード系サービスは、現状ほとんどが使用できません。
デザイン・ハードウェア
全体的に丸みを帯びたデザインは、その端末の横幅の小ささも相まってとても握りやすく設計されています。片手操作でも画面の反対側まで指が届きますし、ギュッと握り込んだ状態でもエッジ部分は反応しません。
ただ背面を含めて端末全体がとても滑りやすいため、油断すると手から滑り落ちそうになります。ケースがあったほうが良さそうです。
背面カメラの出っ張りはほとんどないため、テーブルなどに置いてもカタカタすることはありませんでした。カメラの隣には指紋センサーとLEDフラッシュ、心拍センサーが付いています。
指紋センサーの位置は発売前から「なぜそこに付けた」と叩かれていた部分ですが、慣れてくればカメラを触ることはなくなります。
…というか、指紋センサー以外の生体認証が有能すぎるので、指紋センサーをあまり使わないと思います。
今回私が購入した色は「オーキッドグレイ(Orchid Gray)」というカラーです。ネットの写真では、紫っぽいグレイでパッとしない色に見えますが、実際はブルーとグレーとパープルが複雑に混ざりあったような、なんとも高級感のある色合いになっています。
また、見る角度や光の加減によって色の感じ方が異なるため、是非とも実際に店頭で手にとって見て欲しい色です。
スピーカーはモノラル出力で、端末の下部についています。横持ちのときなどは、手で塞いでしまうこともあったので、位置的にやや残念なところです。
この他にUSB TypeC端子、3.5mmイヤホンジャック、マイクなどが配置されています。
ガラスで出来た表裏とは異なり、側面は、磨き上げられたメタルフレームで、デザインにメリハリを付けると同時に、グリップ性の向上にも寄与しています。
防塵防滴性能は最高レベルのIP68ですが、私はまだもったいなくて風呂などでは使ってません(笑)。防水等級的にも実際の海外レビューなどを見ても、水没させたりシャワーで強い水圧を当てたりしても全然大丈夫らしいのですが、風呂で使うのはもう少し時間が経ってからになりそうです。
ただ、ロードバイクなどに乗っているときや釣りをしている時など、アウトドア等で雨や水に濡れることに怯えなくて済むのは、本当に嬉しいポイントですね。
Infinity Display
まずGalaxy S8で特筆すべきなのはやはり、ほぼ額縁のない全画面ディスプレイ「Infinity Display」でしょう。
Galaxyシリーズ伝統の物理キーを廃してまでデザインされた前面ディスプレイは、これまでのスマートフォンとは明らかに一線を画しています。左右のエッジディスプレイによる影響も相まって、手の中に画面だけが収まっているような錯覚すら覚えるくらいです。
画面上には左から、LEDインジケーター、虹彩認証用の赤外LED、照度センサー、近接センサー、通話用スピーカー、インカメラ(800万画素、オートフォーカス・HDR対応)、虹彩認証用のIRカメラが付いています。
LEDインジケータのサイズは他のスマートフォンのものよりもかなり大きく、点滅時に目立つのが気に入ってます。
オンスクリーンキーに変更され、Galaxy S7までの伝統だった物理キーは遂になくなりましたが、画面内のホームボタンの位置に感圧センサーが内蔵され、ホームボタンをギュッと押し込むことでフィードバックするようになっています。フィードバックまでに必要な圧力は、任意の強さに変更が可能です(スクリーンショット左)。
また、SAMSUNG端末は今までずっと、戻るキーが右側・履歴キーが左側のナビゲーションバーを採用してきました。これは私をGalaxyから遠ざけていた原因の1つでした。
オンスクリーンキーになったS8でも初期配置は同様ですが、今回はキーコンフィグでナビゲーションバーの並び替えができるようになっているため、私のように、他のAndroid端末からの移行ユーザーにも安心です(スクリーンショット左)。
また、縦に長い画面を活かして、マルチウィンドウも便利に使用できます。例えばYouTubeで動画を見ながらネットサーフィンをしたりということも簡単に行えます(スクリーンショット中・右)。ブラウジングなどでは画面が長いことで一度に表示できる領域が大きく、ネットサーフィンが捗ります。
エッジディスプレイ
Galaxy S7 edgeで誤タッチが頻発して不評だったエッジディスプレイは、このS8でも継続して使われています。
しかし、S7 edgeのものよりもエッジ部分の傾斜がきつくなり、曲面のガラスの下の端まで平面なディスプレイが配置されているような感じなので、表示されるものもほとんど歪みませんし、操作もしやすくなっています。
1ヶ月使っている間、端末を握るように持ったときでも誤タッチはほとんど無かったので、エッジディスプレイについてはユーザーの声を反映し改良が進んだのではないでしょうか。
また、ガラスは表裏ともにCorning社の最新製品・ゴリラガラス5が使用されており、落下時などにおける耐衝撃性が向上しているとのことです。私はバンパーケースのみで、保護シートなどは付けずに使っていますが、現在のところ傷などは入っていません。
機能
さすがはスマートフォンの黎明期から作りつづけてきたメーカーというべきか、SAMSUNGによるカスタマイズOSの使い心地は良好です。
個人的に重要視しているフォントの変更も、制限がありますが可能な点で、触ってみてとにかく設定できる項目が多く感じられました。実際、まだうまく使いこなせていない機能も幾つかあります。ガジェットヲタ冥利に尽きる端末です。
Always On Display
消費電力の低い有機ELを最大限活かした機能に、画面オフ(ロック)時でも低消費電力で時計や通知などを表示できる「Always On Display」があります。
実はこれ、最初は電池の無駄だと思ってOFFにしたのですが、再びちゃんと使ってみると思った以上に便利で、時間や通知を確認するときに、端末をいちいち点灯させる手間がなくなりました。事実、時間やメールなどを確認するために端末を点灯させるよりも、このほうがバッテリーは長持ちするとのことです。
また、有機ELに常時表示されるということで、焼付きの心配をしていたのですが、どうやら表示しているものは時間経過でほんの少しずつ移動しているようです。よく考えられていますね。
また、Always On Displayで表示する項目のカスタマイズも非常に充実しており、多数用意されたウィジェットの中からお好みでのスタイルを選択できます。時計のデザインや色・背景などを自由に設定できるのもGOOD。
また、不必要な時は消しておきたい人のために、Always On Displayは時間帯によるスケジュール機能も備えているので、寝ている間などに余計なバッテリーを消費することもありません。
さらに、通知バーのドロップダウンメニューにAlways On Displayのスイッチトグルが配置されているため、いつでも簡単にON/OFFをすることが可能です。
エッジパネル
ここまでいくつかのスクリーンショットで、画面の右端中央あたりにピョンと飛び出ている半透明のバーがありました。これを左にスワイプすると、「エッジパネル」という様々な機能を持った領域を呼び出すことが出来ます(トリガーの位置や長さなどは自由に設定可能)。
よく使うアプリを配置できる「Apps edge」や、よく連絡する人を並べる「Peoples edge」などがあり、他にも色々なエッジアプリをGalaxyストアからダウンロードして追加できます。
エッジに電卓を配置する「The Calculator」は計算履歴も表示できてとても有用ですし、通知を表示する「Notification Edge」は自分の好きなアプリの通知だけ残して表示できます。
中でも、元々インストールされているキャプチャーユーティリティ「スマート選択」はかなり強力なキャプチャーソフトで、gifアニメーションも簡単に作成できますし、一部分を切り取って画面上にピン留めできる機能などがあり、とても便利です(上のスクリーンショットはメールの画像をキャプチャーして、ブラウジング中に表示しています)。
Edge Lighting
エッジディスプレイならではの機能として、電話の着信時や、メール・LINE・メッセージなどの通知時に、エッジスクリーンだけを動的に点灯させる「Edge Lighting」というものがあり、個人的にかなり気に入ってます。写真は電話着信中のものですが、グリーンの光がエッジ全体を回るように点灯します。超クールです。
スマートジェスチャー
ジェスチャー関係やボタンの使用方法のカスタマイズも充実しており、特に、電源キーを素早く2回押してカメラを起動できる「クイック起動」や手の側面を画面にくっつけて端までスワイプすることで簡単にスクリーンショットが撮れる「スワイプキャプチャ」、不在着信通知や未読のメッセージがある時に伏せた端末を持ち上げると振動で通知する「スマートアラート」など、便利なジェスチャーが満載です。
ただ不満があるとすれば、Bixbyキーのリマッピングが無いこと、指紋センサーのジェスチャーが「指紋センサーをスワイプすることで通知バーを表示」する1種類しかないことでしょうか。システムアップデートで追加されることを願います。
カメラ
イメージセンサー
カメラのカタログ上のスペックはS7からほとんど変わっていませんが、カメラの心臓部であるイメージセンサーはS7よりも高性能なものに変わっています。
発売前のリークではソニー製裏面照射型CMOSであるIMX333が使用される、という情報がありましたが、SAMSUNG製ISOCELL S5K2L2が搭載されたモデルと、リーク通りSONY IMX333が搭載されたモデルの2種類が混在しているようです。
この部分は搭載されるCPUのモデルによって異なり、スナドラ835を積むモデルはSONY製、Exynos8895を積むモデルはSAMSUNG製という風に区別されているようです。
ただし、イメージセンサーが異なるから吐き出される画も全く異なるかというと、そういうわけでもなく、Galaxy S7の時は性能的にはどちらもほぼ同じであったと、XDA Developersでは考察されていました。
おそらくGalaxy S8でも同様の結果になると予想されますが、SONY製センサー搭載モデルが広く出回ったタイミングで、両センサーの比較画像なども出てくるでしょう。
ちなみに私の購入したグローバル版Galaxy S8のCPUはExynosなので、イメージセンサーはISOCELL S5K2L2が使われていました(AIDA64で確認)。
ちなみにGalaxy S8のライバルになるであろうSONYのフラッグシップXperia XZ premiumには、世界初のメモリ積層型センサーであるIMX400が搭載されており、国内版Galaxy S8に搭載されるIMX333とは大きく性能が異なります。
「スマホガチャ」などと揶揄されるイメージセンサーやフラッシュストレージの差異は、ことカメラにおいてはあまり考えなくても良さそうです。
写真サンプル
私が以前に使っていたZTE Axon7のカメラ性能良くなかったのもありますが、正直、写真が綺麗に撮れすぎて驚いています。
上の猫の写真は、フルオートで撮影し、ブログ掲載用にトリミングとサイズ縮小を行っていますが、それでも解像度が高いのがお分かりいただけると思います(特にジャスピンになっている猫の鼻)。後ボケもスマートフォンカメラにありがちなわざとらしさが少なく、個人的にはかなり満足の行く画質です。
食べ物も、適当に撮っても割と美味しそうに撮れます。
上の写真はフルオートで撮影していますが、特定の部分の色などを強調して撮影できる食事モードなどもあります。
撮影機能
カメラ撮影時のインターフェースはかなり充実しています。
特に画面上のシャッターボタンを左右にスワイプしてズームできる機能、画面を上下左右にフリックしてインカメラ/アウトカメラの切り替え、撮影モード・色温度の切り替えが可能な点は、とてもよく出来ていると思いました。
また、シャッタースピードやF値などデジタルカメラ並の設定項目を弄ることの出来るプロモードは作品の幅を大きく広げてくれそうです。測光モードの設定まで出来るのには驚きました。もうほとんど一眼レフ並です。
ファーウェイのデュアルレンズスマートフォンや、最新のXperiaのスーパースローモーション撮影などのオリジナリティの高い機能は備えていないものの、機能とスペックのバランスが良く、普段使いなら必要十分なカメラに感じられました。
セキュリティ
端末のセキュリティ保護の種類においては、他のスマートフォンを圧倒しています。
ロック画面の解除方法ひとつをとってみても、「パターン」「スワイプコンビネーション」「顔認証」「虹彩認証」「指紋認証」などからいくつか任意のものを、複数個同時に使用できるようになっています(排他的動作のものもあります。例として虹彩認証と顔認証はどちらかしか使えません)。
例えば風呂上がりに手がふやけて指紋が読み取れない場合は虹彩認証を使う。
例えばサングラスをしている時は指紋認証かパターンを使う。
例えば両手が塞がっているときは顔認証を使う…
など、どのような場面でもバイオメトリクス認証とオーセンティックな認証の両方を使えることで、セキュリティレベルを保ちつつ、素早く端末のロックが解除できるように工夫されています。
私は現在「虹彩認証」「指紋認証」「パターン認証」の3つをONにして使用していますが、使用頻度は虹彩認証が8割を占めています。
虹彩認証を行える端末の位置や、スキャナからの距離をある程度覚えて扱い慣れてくると、画面に虹彩認証の画像が表示される前に解除できるようになり、ほぼノンストレスで使えるようになります。
また、虹彩認証時はディスプレイ左上にある高出力赤外LEDが点灯し、暗所でも虹彩識別が可能になっています。
顔認証時はカメラが使用されるものの端末の画面には自分の顔は出ず、中央にあるアイコンの色の変化で認証が出来ているか判別できるようになっています。
とはいっても「認証速度を上げる」オプションを有効にした場合、画面が点灯してから0.5秒くらいでロック解除できるため、虹彩認証との速度差はほとんどありません。
虹彩認証・顔認証は使いやすいほうを使っていいのではないかと思います。
ゲームモード
ゲームを一元的に管理できるGame Launcherとゲーム中動作の設定を行えるGame Toolsはどちらも強力なツールで、 ゲームプレイ中の録画・キャプチャ・設定などを煩わしい操作なしに、ゲーム画面を開いたまま行えるようになっています。
ゲームランチャーでは端末にインストールされているゲームアプリを管理し、パフォーマンス設定などを行えます。
Game Toolsはゲーム中にナビゲーションバーをスワイプすると出現し、ディスプレイサイズに画面を引き伸ばせる「全画面表示」や、ゲームをしている間の電話着信以外の通知を表示しない「ゲーム中に通知を制限」、ホームボタンの感圧フィードバックを無効にする「押し込みロック」やエッジパネルのトリガーなどを無効にする「エッジ操作をロック」などに加えて、画面を点灯したまま誤操作を防止する「画面タッチをロック」、「画面キャプチャ」「画面録画」など、ゲームに関するほとんどの便利な機能がひとつにまとめられています。
下のデレステのプレイ動画も、この録画機能を使ったものです。
ゲーム動作
海外でも配信され、人気があるゲームであればExynosにも最適化されており、高品質なゲームを楽しむことが出来ますが、ほぼ日本国内のみで普及しているようなゲームや海外への配信がされていないゲームなどは、CPU/GPUが最適化されていないため、解像度が低下したり、期待された動作をしないことがあります。
私の場合、スマホゲームはデレステ(アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ)とスクフェス(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル)という音ゲーしかしていないのですが、現在のところスクフェスは通常画面・ライブ画面ともにほぼ問題なし(ただし全画面表示非対応)でした。
デレステは通常画面は特に問題なし(ただし全画面表示にすると両端の処理がちょっとおかしくなる。上の2枚めのスクリーンショット)、ライブ画面は3D・2Dともに解像度がガッツリ低下する(シャギーが見えるレベルで、文字は潰れる。3枚目のスクリーンショット)、3D標準だと処理の重いシーンでカクつくなどがありました。
デレステプレイ動画
実際にGalaxy S8 Exynos版でデレステをプレイし、Game Toolsのゲーム録画機能で撮影したものが、上の動画になります。
かなり3Dのモデリングが荒いことや、ノーツ・3D処理の両方で負担のかかるサビに入った瞬間に、大きくFPSが低下しているのが見てわかると思います。
音ゲーとしてはやや致命的ですが、2D軽量であれば特に問題なく(とは言っても画面は汚いのですが)プレイでき、マスター+フルコンなども普通に可能なレベルです。
私はいままで2D軽量でプレイし続けてきたので特に不満は感じていませんが、やはり気分のいいものではないですね。
Exynos版はroot化をしてGLToolsを入れることでGPUを偽装できるようなので、そのうちやってみようと思っています。
総評
良い点
デザインの近未来感
Galaxy S8の魅力は何といっても、一度触ってしまうと今までのスマートフォンが急に時代遅れに見えてしまう、そのデザインの近未来感にあると思います。
まさしく手の中に画面が浮かんでいるような感覚で、ベゼルは上下にわずかに残るのみで、物理キーも消えたため、画面への没入感も高いです。そのベゼル自体も、ほとんど画面と一体化するようなデザインのため、表側はほぼディスプレイのみのような錯覚を覚えるスマートフォンは、今ところこのGalaxy S8のみです。
セキュリティの充実
複数の生体認証を組み合わせることのできるセキュリティ機能は他のスマートフォンを圧倒しており、特に顔認証や虹彩認証は、認識も早く便利な機能です。
また、レビューでは記載しませんでしたが、プライベートな画像やアプリなどを保護できるセキュリティフォルダや、信頼のおける場所・端末の接続時(例えば自宅、Bluetooth接続のカーオーディオなど)はセキュリティを省略できる「Smart Lock」などはもはや手放せない機能の1つです。
端末のスペックの高さ
上であげた未対応ゲーム以外、Galaxy S8を使っていて動作について不満を感じたことはありません。どのような時でも恐ろしいくらいにサクサク動きますし、もたつきやアプリの強制終了もほとんどありませんでした。
Exynosのタスク処理能力の高さや、ストレージの高速さ(ちなみにUFS2.1搭載でした)、チューニングの良さなど様々な理由が考えられますが、もう以前の端末に戻ることはできなさそうです。
また発熱も少なく、YouTube再生とブラウジングのマルチタスクなど、負荷のかかる作業の場合でもほんのり温かくなる程度でした。
悪い点
モノラルスピーカー
前の機種がAxon7という、フロント配置の高性能サラウンドステレオスピーカー搭載だったということもありますが、やはり底面配置のモノラルスピーカーは、音質・音圧ともにやや劣っています。位置的に、手で塞がってしまうことが多いのも難点ですね。
Root化して、端末前面上部にある通話時のスピーカーから出力することで、擬似的にステレオ出力をすることも可能なようですが…
Bixbyの日本語対応・Bixbyボタンのキーリマップ不可
Galaxy S8/S8+には、SAMSUNGが鳴り物入りで開発したBixby(ビグスビー)という音声認識アシスタントが搭載されており、本体左側面・音声調節ボタンの下に、Bixbyを呼び出すためだけの専用のボタンが付いています。
しかし現在のところ、Bixbyは日本語に対応しておらず(音声認識どころか表示も英語)、ほとんど利用することがありません。
にもかかわらず、SAMSUNGはどうしてもBixbyを使って欲しいのか、Bixbyボタンを無効にしたり、また他の機能 ーGoogleAssistantのようなサービスー に割り当てることも出来ません。
けっこう位置的に誤って押してしまうことの多いボタンなので、せめてOn/Offの切り替えくらい実装して欲しいところです。
一応、Play Storeには有志制作によるキーリマッパーがいくつか配信されていますが、どのアプリでも一瞬Bixbyの画面が表示されてしまうため、あまり実用的ではありません。
指紋センサーの位置・生体認証同士の競合性
テーブルに平置きしている時などは、虹彩認証や顔認証といったカメラを使う生体認証は、端末を持つか上から覗き込まないと使えません。そうなると、パターン解除か指紋センサーを使うのですが、指紋センサーは背面にあるため、結局端末を持ち上げないとなりません。つまり平置き状態では従来のロック解除方法しか使えないということです。
結局なにが言いたいのかというと、全ての生体認証が、端末を手に持っていることを前提に作られており、端末を置いた状態や何かに固定してある状態では使いにくいという点です。
SAMSUNGも、本来は指紋認証をディスプレイの中に配置したかったのだと思います。ただ、S8は技術的な制約で叶わなかったではないでしょうか。しかし次のGalaxy S9では間違いなく指紋認証を画面埋め込みにしてくるでしょう(というかしてくれないと困る)。そうなるとS7までのGalaxyの利便性も復活しますし、置いてあるときなども使いやすくなるはずです。
最後に
一ヶ月間Galaxy S8を使ってみて感じたのは、このスマートフォンはどこか「実証実験機」のような印象を与える端末であるということです。
近未来的な技術・デザインが多用されているからそのように感じる、という部分も大いにあるのですが、設計・製造したSAMSUNGも、まだどこか手探り状態のなかでGalaxy S8を作り上げたような気がします。
だからといってスマートフォンとしての完成度が低いのかと問われれば全くそうではなく、いままでのスマートフォン製造のノウハウが至る所に詰め込まれていて、Androidのなかでも、とても使いやすい機種であるのは間違いありません。
ただ、あまりにも今までのスマートフォンの形状などから離れすぎていて、ユーザー側にもまだ戸惑いのようなものが残っている気がしました。
SAMSUNGがGalaxy S8を発表したときに話した言葉「完成であり、新たなスタートでもある」というのは一部分では正しく、一部分では間違っていると思います。
このGalaxy S8は、一歩飛ばしで今までのスマートフォンを置き去りにし、スマートフォンデザインの、新しいスタート地点を築いたのではないでしょうか。その意味で、「完成」は正しくありません。
この端末の登場に、競合他社も大いにインスピレーションを刺激されたと思います。
願わくば、我々コンシューマをアッと言わせるようなスマートフォンがこれから登場していくことのキッカケになっていけばいいなと強く感じたのでした。
*1:「お前の国には売ってやらねーよ」の略