北海道胆振東部地震に伴う大停電で役立ったもの、あったら良かったもの

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今回の大地震、そしてそれに伴う北海道全戸に起きた大停電。

私も震度7を記録した震源地である厚真町の隣接自治体(直線距離で20kmくらいしか離れていません)に住んでおり、今回の地震では6弱の揺れ、その後おおよそ30時間にわたる長時間の停電を経験しました。

幸い、この記事を書いている現在(9月7日14時)では自宅・勤務先共に、電力・水道が復旧し、なんとか日常が戻りつつあります。

しかし未だに断水・停電が継続している地域も多く、また、数日以内は本震と同程度の余震が起こる可能性も高いため、予断は許さない状況にあります。

今回の停電は確かに色々と大変でしたが、私は趣味(登山・釣り・ロードバイク)の延長で色々なグッズを所持しており、それが今回のような事態の時に非常に役立ちました。

今回の記事では自分自身への備忘録として、また万が一こういったことが起こった場合への備えのためとして、私が持っていたもので便利だったもの、またこれが有ったら良かったと思うものを列挙して、記載しておこうと思います。

持っていて役立ったもの

自動車用100Vインバーター

間違いなく今回の地震・停電で一番役立ったのはこれ。

どういうものかというと、自動車の12Vシガーソケットに刺すことで、12Vを100Vに昇圧し、家庭用のAC電源として使用できる、というものです。

我が家ではカーポートに止めた車にこれを設置、屋外用延長コードを使って窓からケーブルを引き込んで夜間のLED照明や自宅内でのスマートフォンの充電、テレビの視聴などに使っていました。

最大300Wなので消費電力の高い白物家電(ドライヤーや電子レンジ)などは使用できませんが、電池残量を気にせずに照明を使うことができたのは非常に助かりました。

もちろん、エンジンが回っていないとオルタネータ(車のエンジンルームにある発電機)は動かないため、バッテリー上がりの原因となりますから、使用中は車のエンジンを常にかけっぱなしにしておく必要があります。

それでも暗くなり始める午後5時頃から、就寝した午後10時まで、5時間もの長時間に渡り使用しても、車の燃料計は1目盛しか減っていなかったので、非常時の電源確保手段としてはとても優秀かと思います。

カーインバーターと併せて持っておきたいものとしては、屋外用(防水)の延長コード(10m以上あることが望ましい)、クリップタイプの電球ソケット(中間スイッチがあると良い)と、明るめ(1000ルーメン以上あると1灯で16畳のリビングが十分明るいです)の26mm口径LED電球などでしょうか。

 

カセットコンロまたはアウトドア用バーナー

我が家はオール電化ではなく、お湯の供給は石油式ボイラーによるものなのですが、そのボイラーも点火や燃焼の制御に電気を必要とするため、当然蛇口からのお湯は使えなくなりました。

ただ、食卓で鍋料理などをするときのために、カセットガスコンロと予備のガスボンベが大量に有ったため、停電の状況下においても、お湯や暖かい食事を摂ることができました。

炊飯器も使えませんでしたが、水道は通っていたため、米を研いで鍋を使ってご飯を炊く事も可能でした(米は無理に研がなくてもいいそうです。この点は無洗米であれば無駄な水を使わないため、なお良いかもしれません)。

東日本大震災の時も、今回の地震でもそうだったようですが、カセットガスコンロとガスボンベは、常温保存可能な食品に次いで、真っ先に無くなります(3.11のあとはプレミア価格が付いて平常時の10倍の値段になったとか)。みんな考えることは同じですね。

カセットガスボンベは平常時であればホームセンターなどで3本セット200〜300円前後で手に入りますので、カセットコンロと併せて備蓄しておくと、調理家電が使えな苦なりお湯すら沸かせなくなった時にきっと役立つはずです。

また、登山やキャンプなどをする人であれば、アウトドア用バーナー(ストーブとも。OD缶を使うもの)を所持している事も多いと思いますので、そちらを利用するのも良いでしょう。

ただOD缶(ずんぐりしたタイプ)はCB缶(カセットガスコンロに使う細いタイプ)に比べ低気圧・氷点下などのシビアコンディションでの使用を想定されて作られており、低温でも安定して燃焼するように色々と添加(通常のCB缶はほぼ100%ブタンなのに対してOD缶はプロパン・イソブタンが入っている)されているため、1缶あたりの金額が非常に高くなります(ガス250g入りの中サイズOD缶で500〜700円程度)。ですからOD缶を使うのは本当に最後の手段ですね。

私も山で使っているSOTOのマイクロレギュレーターとOD缶2個がありましたが、カセットガスコンロが有ったため使用しませんでした。

LED作業灯+モンベルランタンシェード

LED作業灯は車の暗所での整備時のために購入し、使わないときは枕元に置いてありました。

こういうタイプの製品は数多くありますが、私が持っている上記のエナジャイザーの製品は、ライトの首振り機能・底面マグネット・IPX4防水・300ルーメン・30時間使用可能など、優れた機能が揃っており、今回の震災では大活躍しました。

特に底面マグネットがあると、浴室の天井やキッチンのレンジフードなどに逆さまにして取り付ける事で、上部からの明かりを確保でき、とても有用でした。

スイッチもちょうど握った部分にあり押しやすく、明るさも300ルーメンで程よく広がるため、首振りを前に向けて懐中電灯としても使用できます。

さらに、以前当ブログでも紹介した、モンベルのクラッシャブルランタンシェードをこういったライトにかぶせる事で、より広範囲を満遍なく照らす即席ランタンとしても使えるようになります。この2つはぜひセットで使ってみてもらいたいですね。

 

ヘッドライト

また、上のような手持ちのライトとは別に、頭につけるタイプのヘッドライトもとても役立ちました。

停電時は物の散らばる暗闇の中で色々と必要なものを探したり、片づけをしたりしますので、両手が空き、視線の先が照らされるというのはとても重要です。

特に地震直後は、窓ガラスや食器の破片などが足元に散らばっている可能性も高いので、尚更です。

ヘッドライトの電源としては、内蔵バッテリー式と乾電池式、どちらも主流です。内蔵バッテリー式はモバイルバッテリーなどからでも充電できるというメリットが、乾電池式は(エネループなどの充電池を含め)電池さえあればどうにかなるというメリットがあるので、好きな方を選んで良いでしょう。ただ個人的には電源の汎用性の面で、内蔵バッテリー式を推しておきます。

明るさ(ルーメン)は明るければ明るいほど良いです。まともな会社のほとんどのヘッドライトは、点灯ボタン長押しなどで明るさを任意に絞れるようになっているはずですので、上に余裕があるならそれに越したことはありません。

 

震災のほんの2週間前に、札幌のコストコでシグネットのPD(Power Delivery)対応の20000mAhモバイルバッテリーをMacBook Proの外出時充電用に購入しており、それが今回とても役立ちました。

アマゾンでは同商品は見当たらなかったのですが、LEDの配置などから上の商品が同じもの(おそらくOEM)だと思われます。

PD対応のUSB-Cポートからは最大45Wで機器へ給電できるため、普通のMacBookであればAC充電器と同等以上の速度で、最大87W必要なMacBook Pro15インチでも、充電速度は少し落ちますが、使用しながらでもバッテリー残量は増えます。 

私はパソコンがないと死んでしまう病気なので、このPDモバイルバッテリーを使ってMacBook Proを使い充電、モバイルバッテリーの残量がなくなったらカーインバーターを使って充電、という風にしてやり過ごしました。

最近はPD対応の大容量モバイルバッテリーが増えていますが、購入時に確認するべき点は2つ。「PD端子の最大出力」と「バッテリー容量」です。

個人的にはモバイルバッテリーは信頼性の面でAnkerやCheeroを選びたいところではあるのですが、どちらもモバイルバッテリーはPD出力が最大30Wまでの製品しかありません。

MacBookやスマートフォンの充電には30Wでも十分なのですが、MacBook Proは13インチでも61W、15インチに至っては87WのACアダプタが付いていることもあり、30W程度の給電では使用電力>給電電力になり、充電しているはずなのにバッテリーが減っていく、ということになることがあります(ただし画面を閉じて使用しなければゆっくりですが充電されます)。

そのため、所持している端末に合わせて可能であればPD45W、欲を言えば60Wのものを用意したいところです。

バッテリー容量に付いては現在20000mAh〜26800mAhのものが多く、それ以上の容量のものは1万円を超える・デカすぎて持ち運べないなど現実的な選択肢ではなくなります。

そういうわけで、現在の技術ならばモバイルバッテリーは20000mAh前後のものが一番コスパ・容量的にも優れているのではないでしょうか。

ワンセグ受信できるタブレット

こちらは以前にもレビューした、HUAWEIの防水タブレットMediaPad M3 Lite 10 wpです。

このタブレットはワンセグ・フルセグ受信が可能なのですが、今回割と役立ちました。

というのも、今回全道的な停電の影響で地上デジタル放送の送波もかなり停止したようで(地デジ中継所の停電によるもの?)、カーインバーターを使ってテレビを付けても、地上デジタルが映らずにBSとCSしか見られない、という状況に陥ったからです。

当然ですがBSは全国で同じ内容を放送する上に趣味・娯楽的な番組が多いので、地震情報はほぼ全く得られませんでした。

そんな中でもワンセグ放送は受信できたため、自宅でのテレビによる情報収集にこちらのタブレットのテレビアプリがとても役立ちました。

また、夜に電気がないと本当に何もすることがなくなるので、ゴールデンタイムのくだらないバラエティ番組でさえ、こういった時にはちょっとした気晴らしになったのも良かったですね。

ただ、地デジもワンセグも元々同じUHF帯を使っているのに、戸建てのアンテナで地デジが受診できずにワンセグが見られる(そしてテレビではアンテナに関してシビアなはずのBSが見られる)、というのも割と謎なんですが、もし電波に関して詳しい方がいたら教えてください。

 

あったら良かったもの

ソーラーチャージャー

個人的に色々と興味があって一個持っておきたい、ということもあるのですが、あったら良かったものとしては太陽光発電タイプの充電器。

特に今回、被災日の昼間に車内でスマホなどを充電していたのですが、フロントガラスに差し込む太陽光が強く、車内温度が上がったため急遽サンシェードをつけて端末の熱をやり過ごした経緯があり、そういった場面で色々とソーラーチャージャーは役に立つのではないかと思いました。

車に乗った出先でもエンジンをかけずにスマホを充電できる、というのも魅力的です。

また、平常時でも登山やキャンプといったアウトドアアクティビティで大活躍してくれそうな点もGOOD。

ポータブル電源

AC電源も取り出せる100000mAh超えのポータブル電源。特に後者のSmartTapのPowerArQはAC100Vで常時300W(最大負荷500W)まで取り出せるというバケモノ。

今回、もしあったら絶対便利だったのは間違いありません。ほぼほぼ平常時と変わらない1日を過ごせたと思います。

ただ5万円以上を出してまで買う価値があるのか?というのは、人それぞれ異なるでしょう。

普段キャンプや車中泊などに持っていく予定があるなら買いですかね?そして上のソーラーチャージャーと組み合わせれて使えばもう無敵ですね。

また、こういった10万mAhオーバーのポータブル電源はタイムセールで安くなることも多いので、ウィッシュリストに入れておいて、安くなった時に買うのがおすすめです。

電池式ラジオ

現在、ほとんどのスマートフォンでアプリを使ってラジオを聞くことができますが、それも災害時だとあまり役に立たない場面が多いことに今回気づかされました。

特に家人のiPhoneのRadikoアプリの場合、アクセスするユーザー数が多すぎるためか聞くことができない状態が多かったです。

アンドロイドの場合はLTE回線がスタックしてダメになっても、3G固定に切り替えてRadikoを起動すれば聞くことができたのですが、それでもやはり電池を食いますし、何よりモバイルデータのため通信残容量が気になってしまいます。

私の場合、OCNモバイルONEの3GBプランを使用しており、前月までの繰越容量3GBを加えて実質6GBあったにも関わらず、今回の停電で1日の間に約2/3の4GBを使ってしまいました。

災害時には、やはり旧来の単機能で実際のラジオ波を受信できるものの方が向いていますね。

最後に

今回の地震による停電では、色々と持っていたものと知識を駆使することで、長時間の停電下でも割と快適に過ごすことができました。

しかし、もしこの地震が雪の積もった氷点下の冬に起こっていたとしたら、こんな余裕のある状況では間違いなくなかったでしょう。北海道のストーブは燃料こそ灯油ですが、電気がないと起動しないため、暖を取れずに凍死者が出る可能性も十分にあります(どんな家庭でも独立した石油ストーブは絶対必須です!)。

万が一のために、さらに平常時の備えをよく考えていく必要があると実感しました。