2021年10月26日、MacOS Monterey(MacOS 12)が正式リリースされました。
私もすぐにアップデートを行いましたが、特に使用感は変わらず、まあこんなものかな…といった印象です。
さて、このブログでは以前にMacOS用のセキュリティソフト(アンチウイルスソフト)を比較・検証した記事を書きました。
こちらの記事はOSがメジャーアップデートされるたびに加筆修正を行い、とても多くの方にアクセスしていただき、一時は当ブログのアクセス数の半分がこの記事だった…ということもありました。
しかし流石に初稿から5年も経っており、情報の古さが目立つようになりましたので、この度のMacOS Montereyアップデートに合わせて新規に、無料・有料のセキュリティソフトの比較・検証を行いました。
20,000字超の非常に長い記事になっておりますので、ぜひ目次もご活用ください。
MacOSのセキュリティソフトを取り巻く環境
MacOSのセキュリティソフト事情は5年前に比べて、かなり様変わりしたように感じます。
MacOS自体のシェアは以前よりやや拡大し、以前は市場規模の6〜7%だったものが、(調査したメディアにもよりますが)2021年夏の調査で16%に迫る勢いになっており、ユーザーはコンスタントに増加し続けています。
ユーザーの増加に伴い、以前はクラッカーからも相手にされていなかったMacが標的となり、Macのみを攻撃対象としたウイルス・トロイ等の悪意のあるソフトウェアが増加しました。
セキュリティソフト市場は5年前に比べ、無料だったソフトの多くは機能を大きく制限したフリーソフトと、フル機能の有料ソフトを併売するようになり、またさまざまなタイミングで有料版への乗り換えを薦めてくるようになりました(いわゆるフリーミアム)。
大手ではマカフィー、ノートン、ウイルスバスター、カスペルスキー、ESETの5大メーカーが、iPhoneやAndroid等のスマートフォン、パソコン・Macでソフトウェアライセンスを共用する「クロスライセンス」を活かして拡大しているという感があります。
結局のところ、完全無料かつ十分な機能を持つソフトがなくなったため、フリーソフトだけでは満足のいくセキュリティを得られず、資本力がありマーケティングが上手な大手ベンダーの有料ソフトウェアへユーザーが流れている印象が強いです。
評価項目
機能性
リアルタイムスキャン、クラウドベースの定義スパイウェア・マルウェア対策機能、ファイアウォール、ネット決済保護、脆弱性・フィッシング詐欺サイトなどへのウェブフィルタリング、インカメラへのアクセス監視、Webトラッキング防止機能、ファイル改竄保護機能、VPN機能、パスワードマネージャーの各項目を、10点×10項目で評価します。
検出率/誤警報率
AV-Comparativesのデータより、マルウェア検出率と誤警報率(約10000件のファイル検査の誤検知数)を引用し、相対的に点数をつけています。
新しいMacOSへの対応速度
個人的に、セキュリティソフトは裏方に徹するべきだと考えており、新しいOSにアップデートする時にセキュリティソフト側の対応が遅いという理由で更新が遅れるのは好ましくないと思っています。
この項目ではメジャーアップデート・マイナーアップデート時の対応速度を評価します。
ユーザーインターフェース
セキュリティソフトの、ホーム画面の使いやすさ・動作の軽快さ・情報の把握のしやすさ・GUIのMac OSとの親和性等を評価します。
スキャン速度
画像・アプリケーション・音楽・動画・文書・圧縮ファイルなど約70万個のファイルを含む、300GB程度のMac OSパーティション内にあるユーザーフォルダをスキャンした時のトータルスキャン時間を評価し、相対的に点数をつけています。
信頼度
メーカーが過去に起こした不祥事や、これまでのソフトウェアの不審な振る舞いなどから、そのメーカーへの信頼性を評価します。
ユーザーサポート
ヘルプの使いやすさや、メーカーへの問い合わせの容易さ、日本語対応の有無を評価します。
コストパフォーマンス(無料ソフトは有料版での評価)
1年間1ライセンスの価格と1ヶ月あたりの価格を評価します。
なお、1年目と2年目で料金が異なる場合は補記してあります。
有料セキュリティソフトのレビュー
有料セキュリティソフトのレビューでは、ライセンス1台の金額・期間なども併記し、各ソフトウェアのコストパフォーマンスについても着眼したいと思います。
複数グレードのソフトウェアをラインナップしている会社については、基本的に1台・1年で使えるライセンスのグレードを選択しています。
Norton 360 スタンダード(ノートン)
ノートン360は、アメリカ・NortonLifeLock社が提供・販売しているセキュリティスイートです。Mac用のセキュリティソフトの開発もかなり初期から行っていた、いわゆる「老舗」メーカーです。
ただ、私の個人的な体験談ですが、1年前にBig Surが提供されたタイミングで有料のセキュリティに乗り換えようとまず選んだのがこちらのノートン360でした。
Big Sur対応となっていたので安心してノートンをインストールしたところ、直後からMacの起動が全くできなくなり、セーフモードでノートンを削除して直ったという苦い過去があります。
今回はドキドキしながらMontereyにインストールして使ってみましたが、今のところは問題なく動作しています。
機能性
80点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
○ファイアウォール
○ネット決済保護→ブラウザ拡張機能で対応
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視→現在Windowsのみ
○Webトラッキング防止→ブラウザ拡張機能で対応
×ファイル改竄防止→ランサムウェア対策のクラウドバックアップはWindows版のみ
○VPN機能
○Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
90点
100% / 14件
新OSへの対応速度
90点
表記上は対応していても、新OSでこのソフトを入れたためにMacが動作しなくなる経験を個人的にしていますが、今回のMontereyでは問題なく使用できました。ただBig Surの時の件で-10点とします。
ユーザーインターフェース
75点
マイノートンとクラシックホーム画面の2種類のホームがあり、更にそれぞれできることが異なるため、慣れないうちはややとっつきにくい印象を受けます。
ちょっと使ってみた印象ですが、クラシックホームの方の機能しか使わないことの方が多く、設定でマイノートンを表示させなければ良いでしょう。クラシックホームは文字が大きすぎる・情報量が少ないという点はありますが、まあまあ使いやすく必要十分といった感じです。
スキャン速度
95点
18分40秒 / 300GB
スキャンの進捗状況(経過時間・残りパーセンテージ等)が無いため、あとどれくらいでスキャンが終わるのかわからないのが難点ですが、スキャンがそもそも早いので問題ないでしょう。CPUの負荷はかなり高め。
信頼性
95点
コストパフォーマンスの項で書いてあるように、支払い方法・自動更新についてはやや不満がありますが、メーカー・ソフトウェアとしての信頼感はピカイチです。
ユーザーサポート
100点
対人チャットサポートは365日24時間で、必要に応じてリモート接続での解決も行ってくれます。
以前私のノートンがMacに問題を起こしたときはリモートで原因の探索・アンインストールまで行いましたが解決しなかったため、チャットを繋いだまま返金手続きまで全てワンストップで行ってもらいました。
オペレーターの知識も高く、サポート体制のレベルは高いです。平日は電話でのサポートも受け付けています。
コストパフォーマンス
70点
1年間・1台ライセンス 4,780円 ひと月あたり398円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時は6,980円(ひと月あたり581円)となります。
更新前にAmazonのセールなどでライセンスを購入すれば継続して安価に使えますが、忘れた場合は高くつくため、売り方としてはあまりいい印象を受けません。
総評
★★★★★ Norton360公式サイト
全体的に高いレベルで安定してまとまっている印象を受けます。あとは、インカメラへのアクセスを管理できればほぼ完璧ですね。
価格が初年度の割引後でも他のソフトと比較してやや高く、また継続して使用し続ける場合の2年目以降の値上げがネックではありますが、それ以外は特に問題となる点を感じませんでした。
Kaspersky Internet Security for Mac(カスペルスキー)
私がBig Surから1年間メインで使っていたセキュリティソフトです。
開発はロシアのKaspersky Lab社で、販売は同名の日本法人が行っています。ロシア製ということで、昔からサイバー攻撃に関わった・スパイ行為に関わったなど、西側諸国との関係性に関する噂が絶えなかった会社ですが、現在はデータセンターをスイスに設置するなど、クリーンなイメージを取り戻そうと頑張っています。
機能性
95点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
○ファイアウォール
○ネット決済保護
○ウェブフィルタリング
○インカメラのアクセス監視
○Webトラッキング防止
○ファイル改竄防止
△VPN機能→無料で使用できますが一日の通信量に300MBの制限あり。有料版は無制限
○Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
85点
99.90% / 2件
新OSへの対応速度
95点
カスペルスキーはMac OSアップデートへの対応速度が速く、基本的に正式リリースのタイミングまでには互換性が確保されています。
ただしマイナーアップデート時はプライバシー保護・システム保護をオフにしないとアップデートが失敗するため、OSの更新時はちょっと面倒です。
ユーザーインターフェース
95点
ホーム画面やプロテクションセンターの1画面で全ての情報が把握できるため、保護の状況が分かりやすいです。
スキャン速度
90点
27分50秒 / 300GB
スキャン中はMacにかなりのCPU負荷がかかりますが(CPUコア温度95℃付近まで上昇)、その分スキャン速度はかなり高速です。
信頼性
70点
当然メーカーは否定していますが、ロシア政府と共謀しサイバー攻撃やスパイ行為の関与が疑われた時期もあり、英米政府機関は同ソフトを使用しない通達を過去に出しています。
ロシアのソフトということで否が応でもこういった疑惑があがってくるため、データセンターを中立国のスイスに置くなどしてクリーンなイメージを取り戻そうと、さまざまな手を打っています。
ただこれらの噂については、ほとんどの個人にとっては杞憂でもあり、実際の調査でカスペルスキーは他社のソフトウェアよりも悪意のある攻撃に対するブロックが優秀であることも実証されており、世界各国に愛用者がいます。
ユーザーサポート
90点
ソフトから直接サポートページに飛ぶことができ、日本語でメール・電話・チャットと任意の手段でサポート窓口へ連絡をすることが可能です。メールは24時間受付ですが、チャットと電話は365日9時半〜18時の対応。
コストパフォーマンス
95点
1年間・1台ライセンス 3747円 ひと月あたり303円 (公式サイトの価格)
そもそも最初からかなりお安いのですが、Amazonや楽天市場などのセール時にライセンスが割引販売されることも多く、その時は更に安価に入手可能です。
総評
★★★★☆ カスペルスキー公式サイト
やや信頼性に不安はありますが、政府機関や国家公務員でない個人であれば問題なく使用できるかと思います。価格も最安レベルながらもセキュリティソフトとしては十分な機能と性能を有しており、ソフトウェアとしての安定感も高いです。
2022年3月追記
前述の通り、カスペルスキーはロシア企業のソフトウェアですが、2022年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻と関連して、ドイツ連邦政府情報セキュリティ庁(BSI)は同社のセキュリティソフトを使用することは相当のサイバーリスクがあると警告しています。
これに対し、カスペルスキー社は「カスペルスキーに対するBSIの警告は、技術的な理由ではなく政治的な理由であり不当である」とする声明を発表しています。また、同社は自身が民間のグローバル企業であり、ロシア政府とのつながりは一切ないと公言しています。
この件は政治的・倫理的な判断を含んだ非常にセンシティブな問題でありますが、個人的な意見としては、少なくとも今現在はカスペルスキーを使うべきではないと考えています。
今日の戦争は、戦場での直接的な戦闘行為だけにとどまらず、サイバー攻撃やソーシャルネットワークを駆使した嘘の情報と欺瞞で溢れかえるハイブリッド戦の様相を呈しており、一個人のスマートフォンやコンピュータですらどのように悪用される可能性があるかわからないためです。
ESET Cyber Security Pro(イーセット)
ESETはスロバキアのESET社が開発し、日本ではキヤノンが販売しているセキュリティスイートです。
価格は他社有料ソフトと比べても非常に安価で、軽量だったNOD32アンチウイルスというソフトの性能を引き継いで動作も軽快かつ高検出率、というのがウリですね。
ただ新しいOSへの対応がかなり遅く、Big Surの時も正式リリースから1ヶ月後近くに対応、今回のMontereyも11月上旬対応となっています。
Big Surの時はESETは対応バージョンでないと動作しないため、こちらのセキュリティソフトを入れているとOSのバージョンアップが遅くなるという大きなデメリットを抱えていました。しかしMontereyではESET側のバージョンアップを待たずともESETが動作するので、一応は使用することが可能です。
機能性
40点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
○ファイアウォール
×ネット決済保護→Windows版のみ
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止→Windows版のみ
×VPN機能
×Wi-Fiネットワーク検査・監視→Windows版のみ
検出率/誤警報率
75点
99.82% / 1件
新OSへの対応速度
60点
MacOS 11 Big Sur、MacOS 12 Montereyともに対応が遅く、正式リリースから1ヶ月近く待たされることもあります。
ただし、Big Surの時はインストールすらさせてもらえませんでしたが、Montereyでは「バージョンが異なります」と警告ダイアログが表示されますが、インストールは行うことができ、使用することもできました。
ユーザーインターフェース
95点
アイコンを主体にした1カラム形式のホーム画面は、見やすく直感的に使いやすくて好印象です。
動作も非常にキビキビしており、使用していてストレスを感じることはありませんでした。
スキャン速度
50点
2時間10分 / 300GB
CPU負荷がマイルドで、バックグラウンドでスキャンが動作していることをほとんど感じさせない点は評価できますが、その分スキャンはかなり遅いです。
信頼性
100点
メーカー・ソフトともに、信頼を損なうような不祥事は無く、安心して使用できるセキュリティソフトであると言えます。 ESETのベースとなったNOD32というソフトは解析の難しいプログラミング言語で書かれており、ハッキングやリバースエンジニアリングが行われにくいというのも強みです。
ユーザーサポート
75点
サポートページから問い合わせ窓口の連絡先に辿り着くまでに数クリック必要で、若干不親切です。
問い合わせ方法は電話・Webフォームの2種類で、営業時間は平日・土日ともに9時〜17時(月1回程度休業日あり)。チャットはボットのみ。
コストパフォーマンス
100点
1年間・1台ライセンス 3,300円 ひと月あたり275円 (公式サイトの価格)
有償ソフトの中ではトップクラスの安さを誇ります。また、カスペルスキー同様にAmazonのタイムセールや楽天市場のスーパーセールの常連ですので、その時はさらに安く入手可能です。
総評
★★★☆☆ ESET公式サイト
動作の軽快さ、使いやすさ、コストパフォーマンスといった点では評価できますが、Windows版ESETと比較して多くの機能が省略されており、機能的には他のセキュリティソフトに見劣りします。
ただ、スキャン中でもほとんどMacの動作に影響を与えないので「ないよりはマシ」という使い方をするのであれば、価格の安さもあって悪くない選択肢かもしれません。
McAfee Total Protection(マカフィー)
マカフィー社はNortonと並ぶアメリカの老舗企業ですが、ソフトウェアのラインナップがゴチャゴチャしており分かりにくく、Macから体験版をダウンロードしてもexeファイル*1しか落とせないなど、いまいちユーザーフレンドリーさに欠けている印象です。
ラインナップはセキュリティスイートのTotal ProtecitonとLiveSafeがあり、価格的にはリブセーフの方が上位っぽいのですが、VPN機能はトータルプロテクションにしかないなど、公式にも機能比較表などがないため、どちらが優れているのか全く分かりません。
機能性
50点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール→機能自体はあるが、MacではBig Surの頃から使用できない。Montereyでも同様。
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止
○VPN機能→契約自動更新を設定している時のみ使用可能
○Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
100点
100% / 4件
新OSへの対応速度
80点
ソフト自体の対応は早いのですが、ファイアウォール機能がBig Surの頃から正常に使用できない問題が続いています。
ユーザーインターフェース
40点
マカフィーのホームページの作りから嫌な予感はしていましたが、とにかく使いにくいです。各設定も一画面で行うことができず、それぞれの機能のウィンドウを開いて設定する必要があり、横方向の繋がりが薄いため直感的な操作ができません。また、設定の変更にはロックを外す必要があるのですが、Macの指紋認証が使えないため毎回パスワードを入力するはめになり、ストレスが溜まります。
スキャン速度
20点
約6時間 / 300GB
AV-Comparativesのスコアでは検出率/誤警報率ともに非常に優れた結果を出していますが、Macのスキャンは激遅でした。いくら検出性能が良くてもここまでスキャンに時間がかかるのには閉口。
信頼性
95点
米インテル傘下の企業で、各国で政府機関などに使用されており、日本でも数多くの採用実績がある名門老舗です。その信頼性は高いと思いますが、「Macのシンプルさ、使いやすさ」という理念からは大きく外れている気がします。まさにWindowsのソフトって感じです。
ユーザーサポート
95点
チャット・電話ともに年中無休で9時〜21時対応。公式サイトの他の部分の作りに比べて、サポートページだけ異様なほど整理されており、目的の情報にアクセスしやすくなっています。サポートの充実度はNortonクラスです。
ただ、「ヘルプ」は日本語にローカライズされているのですが、なぜか検索ウィンドウに日本語が入力できないため、全く意味を成していませんでしたので-5点とします。
コストパフォーマンス
50点
1年間・1台ライセンス 6,500円 ひと月あたり541円 (公式サイトの価格)
総評
★★☆☆☆ マカフィー公式サイト
Mac OSオンリーで使用するのであれば、あえてマカフィーを選択する理由は全くないように感じました。Windowsやスマートフォンとのクロスライセンスで複数台使用するのであればまだ理由になりますが、それでもMacでは使いにくくて辟易するかもしれません。
ファイアウォールが使用できないのでホーム画面がずっと「危険」状態になっているのも精神衛生上良くありません。
ウイルスバスター for Mac
トレンドマイクロ社は創業はアメリカですが、現在の本社は日本にあり、一般には日本企業という扱いになっています。ウイルスバスターという名称は、そもそもアンチウィルスソフトを指すものでしたが、機能を拡張し続け、現在はセキュリティスイートの部類に入ります。
機能性
50点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング
○インカメラのアクセス監視
×Webトラッキング防止
○ファイル改竄防止
×VPN機能
×Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
60点
98.79% / 3件
新OSへの対応速度
100点
Montereyは10月25日に対応が発表されており、OSの正式リリース前にしっかりと対応しています。
ユーザーインターフェース
90点
MacOSと親和性の高いシンプルな1カラムデザインで、動作も軽量です。
スキャン速度
100点
7分20秒 / 300GB
スキャン速度は有料ソフト中トップの超高速で、Macらしいウィンドウで好印象です。
信頼性
60点
トレンドマイクロ社は2005年にWinnyで情報漏洩をしたことで有名になりましたが、その後もウイルス情報の改竄やブラウザ履歴の無断収集や顧客情報のリークなど、大きな不祥事を何度か起こしています。
ユーザーサポート
90点
基本的なサポート体制はしっかり整っており、電話・チャット・LINE・メールなど多くの連絡手段があります。しかし、有料の「デジタルライフサポートプレミアム」というプランが用意されており、こちらを契約することで365日24時間の電話受付なども使用できるようになっています。最上のサービスを受けるためには二重課金を行う必要があり、-10点とします。
コストパフォーマンス
95点
1年間・1台ライセンス 3,700円 ひと月あたり308円 (公式サイトの価格)
総評
★★★☆☆ ウイルスバスター公式サイト
機能的にはかなりミニマルで、この価格も納得といったところでしょうか。
ソフト自体は癖がなく、親切な設計で使いやすくスキャン速度も早いなど、良い点も多くありますが、如何せんできることが少なすぎて、これなら無料ソフトでもいいのでは、と思ってしまう部分もあります。特にファイアウォールやWi-Fi監視等、外部ネットワークからの攻撃に対して弱いです。Windows用のウイルスバスタークラウドに比べると、Mac用はかなり軽視されている感じですね。
Bitdefender アンチウイルス for Mac(ビットディフェンダー)
BitdefenderはルーマニアのSOFTWIN社が開発・販売するソフトで、日本ではあまり有名でありませんが、ヨーロッパでは高いシェアを誇ります。
ちなみに、日本のソースネクストが販売している「ZERO スーパーセキュリティ」のOEM元のソフトでもあります。このため、内容が同じであるZEROスーパーセキュリティについては、今回レビューしませんので、こちらのBitdefenderの項を参考にされてください。違いとしてはサポート体制、ライセンス制度(Bitdefenderが年間ライセンスなのに対してZEROスーパーセキュリティは買い切りの永続ライセンス)という2点が主です。
機能性
85点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
○ファイアウォール
○ネット決済保護→ブラウザ拡張機能で対応(Traffic Light)
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視
○Webトラッキング防止→ブラウザ拡張機能で対応
○ファイル改竄防止
△VPN機能→1日のデータ通信量200MBまで
○Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
90点
99.98% / 9件
新OSへの対応速度
100点
Mac用に専用設計されており、App Storeでも配信されていることからMac OSとの親和性は非常に高いです。この点はIntegoも同様ですが、Bitdefenderはクロスライセンスにも対応しており、上位グレードでWindows、Android、iOSにも使えるため複数デバイスの保護には特に有用です。
ユーザーインターフェース
100点
Appleが開発したかのような、Mac純正アプリ風のUIでMacユーザーにはとてもわかりやすく使いやすいです。
ブラウザにインストールする拡張機能もとてもシンプルかつ軽量で、警告表示一つとっても他のソフトよりも洗練されています。
スキャン速度
75点
53分50秒 / 300GB
スキャン速度はやや時間がかかりました。しかし進捗状況や経過時間の表示など、今回検証した有料ソフトの中ではスキャン画面が一番わかりやすく感じました。
また、スキャン中CPUへの負荷も少なく、筐体からの発熱があまりありませんでした。
信頼性
95点
過去に大きな不祥事を起こしたこともなく、質実剛健なセキュリティソフトといった感じです。検出率もNortonやマカフィーに次いで高く、問題となる点はないでしょう。Norton同様、継続ライセンスに対する価格で-5点とします。
ユーザーサポート
60点
日本語でのサポートはメールフォームのみ。英語だと電話やチャットも使えるようですが、ちょっとハードルが高いですね。
コストパフォーマンス
100点
1年間・1台ライセンス 2,309円 ひと月あたり192円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時は3,299円(ひと月あたり275円)となります。
販売方法としては1年目のみ割引が適用されるというNorton360と同様のものですが、Bitdefenderはそもそも非常に安価なので、2年目以降の価格でようやく他のソフトと同等以下くらいになります。
総評
★★★★★ (公式サイト)
サポート体制が日本語環境だとやや他社と比較して弱いという欠点はありますが、そこにさえ目を瞑れば価格も非常に安く、ソフトウェアとしても高いレベルでまとまっており、かなりオススメできます。ユーザーインターフェースもクリーンでわかりやすく、Macユーザーであればすぐに理解して使用できる作りになっており、個人的にトータルで最も惹かれました。
Intego Mac Internet Security X9(インテゴ)
インテゴ社はフランスで設立され、アメリカに本社を置くソフトウェア会社で、設立された1997年からMac用のセキュリティソフトを開発し続けているという、今回のラインナップでも異色のメーカーです(現在はWindows用セキュリティソフトも作っています)。2018年に買収され、イギリスのKape Technologies社の傘下にあります。
機能性
50点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
○ファイアウォール
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止→以前はFileGuardというソフトがバンドルされていたが、Yosemiteで廃止
×VPN機能→別売(Intego Privacy Protection、月額175〜350円)
○Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
-点
掲載なし
新OSへの対応速度
90点
記事の執筆時点では公式サイトのシステム要件でBig Sur(Mac OS 11.0)までの対応となっています。ヘルプではMontereyでソフトウェアのバージョンにより対応との記載もあり、インストール・使用はできていますが、正式な対応をしているとはいえないためこの点数とします。
ユーザーインターフェース
100点
Mac Internet Security X9は2種類のソフト(VirusBarrierとNetBarrier)のバンドルとなっており、両方を管轄するスイートとしての画面はありません。ただ、どちらのソフトもインターフェースが非常に優れており、Macユーザーが違和感なく使えるようになっています。特にファイアウォールや双方向通信のGUIは最高です。
スキャン速度
100点
9分30秒 / 300GB
スキャンはVirusBarrier側の画面で行われます。スキャン系とファイアウォール系の画面が別れており、わかりやすいですね。
信頼性
100点
Macintoshの時代から、20年以上にわたってMac用セキュリティソフトを開発してきただけあり、ソフトの作りひとつとっても良く研究されている印象です。大きな不祥事もなく、老舗として十分な信頼性があると言えるでしょう。
ユーザーサポート
60点
ヘルプページに加えフォームでの問い合わせのみ対応(日本語可)。
コストパフォーマンス
65点
1年間・1台ライセンス 5,400円 ひと月あたり450円 (公式サイトの価格)
年間ライセンスは他のセキュリティソフトと比べてやや高い上、機能性を考えるとコストパフォーマンスは決して高くはありません。
総評
★★★★☆ Intego公式サイト
ファイアウォール全振りの「NetBarrier」と、スキャン全振りの「VirusBarrier」の2種類のソフトがバンドルされたMac Internet Security X9ですが、機能的にできることはかなり限られており、他のソフトと比べてもやや見劣りする内容となっています。
ただ、ソフトの設計・使いやすさは特筆すべき点があり、個人的には「最もMacらしいセキュリティソフト」と思いました。
無料セキュリティソフトのレビュー
無料セキュリティソフトでは、無料プランのみをレビューしていきます。無料版で使用できないが、有料版や機能課金で使用できるものについては「機能性」の項でその旨を補足して記述します。
そのソフトを気に入った・他のセキュリティソフトに乗り換えるのが面倒という理由であれば、そのまま上位の課金プランに移行するのも良いかもしれません。
Avast Mac Security(アバスト)
Avastはチェコの会社で、かなり昔から無料のアンチウイルスソフトを提供し続けてきており、Windowsなどでお世話になった方も多いのではないでしょうか。
2021年8月に大手セキュリティソフトメーカーのNortonLifeLock(ノートン)に8800億円で買収を受け、吸収合併されてしまいましたが、現時点ではソフトウェアの提供を続けています。
ただ近いうちにNortonとの統合もあり得るかもしれませんね(Nortonとしてはユーザーを取り込んで自社製品に誘導したいはずなので)。そうなった場合、無料での提供をし続けるかどうかは、ちょっと微妙なところです。
機能性
30点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール→有料版のみ
×ネット決済保護→有料版のみ
△ウェブフィルタリング→ブラウザ拡張機能で対応(Avast Online Security & Privacy)Safari未対応
×インカメラのアクセス監視→有料版のみ
△Webトラッキング防止→専用ブラウザソフトで対応(Avastセキュアブラウザ)
×ファイル改竄防止→有料版のみ
×VPN機能→有料版に付帯もしくは別売(AvastセキュアラインVPN)
×Wi-Fiネットワーク検査・監視→有料版のみ
検出率/誤警報率
95点
99.97% / 2件
新OSへの対応速度
90点
記事執筆時点ではMontereyへの対応は公式サイトにはありませんが、インストール・使用ともに問題なく行えています。Avastは基本的に最新OSでも問題なく使える印象。
ユーザーインターフェース
80点
アプリのようなアイコン主体の画面で見やすいです。ただプレミアム版への勧誘のポップアップがことあるごとに出てくるので、ちょっと不快。
スキャン速度
85点
37分50秒 / 300GB
信頼性
40点
2020年1月、Avastは自社のセキュリティソフトを使用するユーザーから無断でアクティビティデータを収集し子会社に販売していることが判明しました(ソース)。また2019年末にもブラウザ拡張機能での個人情報の収集が疑われ、ストアから排除されたこともあります。現在は前者に関してはインストール時ユーザーの同意を求めるようになったほか、後者も解決し再公開されていますが、個人的にはこれらの不祥事から、Avastを使用することをオススメしません。
ユーザーサポート
30点
無料版ユーザーはヘルプページを閲覧するか、ユーザーフォーラムでユーザー同士の質問による解決のみの対応となっています。有料版ユーザーは電話・チャット・メールのサポートが用意されています。
(参考)コストパフォーマンス
75点
有料版:Avast プレミアム セキュリティ
1年間・1台ライセンス 2,980円 ひと月あたり248円 公式サイトの価格
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時は5,480円(ひと月あたり457円)となります。
総評
★☆☆☆☆ アバスト公式サイト
Avastは知名度を活かして有料版の販売にかなり力を入れていることもあり、無料版は機能が大幅に制限されています。無料とはいえ、ファイアウォールすらないのはセキュリティソフトとしては厳しいでしょう。また、会社としても現在Nortonに買収されたとはいえ、過去の不祥事の件からもオススメできません。
Avira Free Antivirus(アヴィラ)
Aviraはドイツのセキュリティ会社で、赤い傘のマークのアイコンが有名です。XP〜Vista時代からのWindowsユーザーであれば、一時期問題があったAvast!の代わりにインストールしていた方も多いのではないでしょうか。
こちらの会社のAvast同様、NortonLifeLock社に2021年1月に買収されました。
機能性
35点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール
×ネット決済保護→有料版のみ
△ウェブフィルタリング→Avira Browser Safity拡張機能(無料)で対応、Safari未対応
×インカメラのアクセス監視
△Webトラッキング防止→Avira Browser Safity拡張機能(無料)で対応、Safari未対応
×ファイル改竄防止
△VPN機能→1月500MBまで無料
×Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
95点
99.98% / 4件
新OSへの対応速度
95点
Mac OS 10.15 Catalina以降の全てのMac OSに対応、Montereyでも使用できました。ただしウェブフィルタリング、トラッキング阻止のためのブラウザアドオンはMacのSafariには対応していません。
ユーザーインターフェース
85点
シンプルな1カラムデザインで分かりやすい設計。有料版への勧誘も、左下にボタンがひっそりとある程度で、ポップアップしたりはしないため気にならないようになっています。ただし色々できるように見えてほとんどは便利ツールのようなものなので騙されないように。
スキャン速度
65点
1時間2分 / 300GB
信頼性
80点
過去に何度かソフトの脆弱性を突かれることはありましたが、大きな不祥事は起こしていません。ただ、Windows版では有料版への勧誘がかなりしつこい他、中国企業に買収されたインターネットブラウザのOperaが勝手にインストールされるなどの問題があります。
ユーザーサポート
20点
無料版ユーザーは英語でのサポートページのみ。有料版ユーザーは電話・メール等でサポートを受けられるが、サポートサイトはこちらも英語のみ。
(参考)コストパフォーマンス
70点
有料版:Avira Antivirus Pro
1年間・1台ライセンス 4,019円 ひと月あたり334円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時は5,208円(ひと月あたり434円)となります。
総評
★★☆☆☆ Avira公式サイト
機能的にはAvast無料版と50歩100歩といった感じで、こちらも最低限の機能のみ使用できます。無料のVPNが使えますが、"1ヶ月"500MBまでなので、まともな用途として使うのは難しいでしょう。
ホーム画面を見ると左に色々あるので一見多機能に見えますが、セキュリティソフトとしての機能はスキャン・ウィルスからの保護・隔離程度で、あとはユーティリティアプリのようなものが並んでいるだけです。
ただ、有料版へのしつこい勧誘がないため、Avastよりはまだ使いやすいです。スキャン速度はやや遅め。
AVG AntiVirus Free(エーブイジー)
AVGはオランダのAVG Technologiesが1991年から開発しているセキュリティスイートです。2016年には同業でライバル関係にあったAvastに買収されました。2017年からはAvastとAVGの両社で共同開発をしています。
その後、AVGを買収したAvastは2021年にNortonに買収されており、諸行無常を感じます。
以上の経緯から、AVGはAvastと名前が違えど、中身はほとんど同じになっています。前回レビューした時は全然違うソフトでしたが、今はほぼAvast=AVGとなっています。
機能性
30点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール→有料版のみ
×ネット決済保護→有料版のみ
△ウェブフィルタリング→ブラウザ拡張機能で対応(AVG Online Security)Safari未対応
×インカメラのアクセス監視→有料版のみ
△Webトラッキング防止→専用ブラウザソフトで対応(AVG セキュアブラウザ)
×ファイル改竄防止→有料版のみ
×VPN機能→有料版に付帯もしくは別売(AVGセキュアVPN)
×Wi-Fiネットワーク検査・監視→有料版のみ
検出率/誤警報率
95点
99.98% / 2件
新OSへの対応速度
90点
Avast同様、記事執筆時点ではMontereyへの対応は公式サイトにはありませんが、インストール・使用ともに問題なく行えています。
ユーザーインターフェース
80点
Avastのデザインとちょっとだけアイコンなどの配置が異なるだけで、全く同じです。有料版への勧誘がAvastより少ないかも?
ちなみにインストール時に出るこの画面、「アバスト」の文言がガッツリ入っちゃってますね。おそらく違うのはガワのデザインだけで、中身はアバストと同一と思われます。
スキャン速度
75点
48分50秒 / 300GB
Avastと同じエンジンを積んでいると思われますが、なぜか10分ほど遅くなりました。
信頼性
40点
AvastがAVGを買収した後にAvastの項で解説した不祥事が起きているため、同様の点数とします。
ユーザーサポート
20点
サポート体制についてもAvastとほぼ同様ですが、無料版ユーザー用のサポートコミュニティも英語のみ対応(Avastは日本語コミュニティが存在)。
(参考)コストパフォーマンス
75点
有料版:AVG インターネットセキュリティ Mac版
1年間・1台ライセンス 2,980円 ひと月あたり248円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時7,388円(ひと月あたり615円)となります。
総評
★☆☆☆☆ (AVG公式サイト)
上のスクリーンショットのように、インストール時にアバストという名前が混ざっていたりするので、AVGとは名前が違えど、中身はほとんどAvastと同じようです。拡張機能も含め機能的な違いも全くなかったので、Avastと同様の理由でオススメしません。
Sophos Home for Mac (ソフォス)
5年前の記事でも検証したソフトです。その後も知名度が低く、いまいち最新OSをサポートしているのかどうか分かりにくいSophosですが、Big Surまではサポートしています。クラウド・ブラウザベースで動作するのは変わらないようです。
機能性
30点
○リアルタイムスキャン
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング
×インカメラのアクセス監視→有料版のみ
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止→有料版のみ
×VPN機能
×Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
-点
記載なし
新OSへの対応速度
90点
公式サイトにはMac OS 11 Big Surまでしか記載されていませんが、Montereyでインストール・使用は可能でした。
ユーザーインターフェース
40点
Sophosは他のソフトのようなホーム画面を持たず、Mac上ではメニューバーの常駐アイコンしか表示されません。全ての動作はブラウザで行われるようになっており、何か設定を見るときなども、毎回ブラウザからアクセスする必要があります。
この点は他のソフトでは見られないSophos独自の特徴ではありますが、特にメリットは感じず、ただただ面倒なだけでした。
スキャン速度
-点
(参考)45分20秒 / フルシステムスキャン
フォルダスキャンが使えず、Macの完全スキャンしかできませんでしたので、評価外とします。
信頼性
95点
個人向けではほとんど知名度のないSophosですが、それもそのはず、メイン事業は法人向けなのでそちらに注力しているためです。
2011年には、過去に買収した子会社がシリア政府への情報提供をしていたことが判明していますが、判明後にすぐに関係を解消していますし、これまでもBtoBのセキュリティ会社やIT企業を買収して成長し続けています。セキュリティソフトとしての信頼性は高いです。
ユーザーサポート
20点
英語のヘルプページのみ。有料版はメール、チャットでの問い合わせも使えますが、こちらも英語のみ。
(参考)コストパフォーマンス
70点
有料版:Sophos Home Premium
1年間・1台ライセンス 4,492円 ひと月あたり374円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時5,990円(ひと月あたり499円)となります。
無料版をインストール時、自動的に全ての機能が使える30日間のプレミアム版トライアルが開始します。この手のソフトにしては珍しく、クレジットカードなどの情報を入力する必要がないため、体験期間の終了後は自動更新や課金が発生せずに無料版に戻ります。この点は良心的と言えるでしょう。
総評
★☆☆☆☆ Sophos公式サイト
ブラウザベースの設計なので非常に使いづらく、日本語対応もかなり貧弱です。
企業としては信頼できる会社だと思いますが、個人のMacにおいてわざわざこのセキュリティソフトを使う価値を見出せません。
Malwarebytes for Mac(マルウェアバイツ)
Malwarebytes社はアメリカに本拠を置くセキュリティソフト会社で、2004年に設立されました。Malwarebytes' Anti-Malware(MBAM)は同社の主力ソフトで、マルウェアやアドウェアといった、従来のアンチウイルスソフトでは検出しにくかったものを発見・停止する能力に優れています。
機能性
20点
×リアルタイムスキャン→有料版のみ
○スパイウェア・マルウェア対策→有料版のみ
×ファイアウォール→有料版のみ
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング→ブラウザ拡張機能で対応(Malwarebytes Browser Guard)Safari対応
×インカメラのアクセス監視→有料版のみ
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止→有料版のみ
×VPN機能
×Wi-Fiネットワーク検査・監視
無料版では既に感染したMacをスキャンして、ウイルス・マルウェアなどを取り除く機能しかありません(防御機能はなし)。
検出率/誤警報率
60点
99.84% / 8件
新OSへの対応速度
80点
公式サイトでは対応となっていますが、Mac OS Montereyではインストール時のパッケージスクリプトを実行する段階で止まってしまい、インストールを完了できませんでした…と思ってたら、最終的に40分かかってインストールできました。普通の人なら諦めちゃう時間ですね…
ユーザーインターフェース
70点
Total AVほど有料版への勧誘は酷くないものの、無料版はマルウェアスキャンをするか履歴を見るかくらいで、できることはほとんどありません。言語は英語のみ。
スキャン速度
-点
無料版はマルウェアやウイルス、PUA(Potentially Unwanted Application)の検索のみで、部分スキャン・フルディスクスキャンなどの機能はありません。
信頼性
90点
セキュリティソフトの中でもマルウェア検出に特化した性能を有しており、現在でもその能力には定評があります。ただトータルセキュリティソフトとしてこれ一本で使えるかという点には疑問符が残ります。
ユーザーサポート
30点
英語のヘルプページ、メールフォームのみ。
(参考)コストパフォーマンス
60点
有料版:Malwarebytes Premium
1年間・1台ライセンス 35ドル/約3,984円 ひと月あたり332円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時60ドル/約6820円(ひと月あたり569円)となります。
総評
★★☆☆☆ Malwarebytes公式サイト
「マルウェアの検出」という単一の機能のみで考えれば、そこそこ優秀なソフトではあると思います。しかし、検出率のテストにも表れているように、さまざまな悪意を持ったソフトウェアの混合ではあまり良い結果を得られていません。
5年前くらいまでであればこれ一台で時々スキャンを行なっておけば安心、という時代だったのかもしれませんが、Macのユーザーが増え、マルウェア以外の攻撃手段でも標的にされることが多くなった現在、このソフトだけでは心もとない気がします。
かといって有料版を買うとしても、2年目以降の価格が高く、これなら有料ソフトで優秀なものを最初から買っておいた方が…といった印象です。
Total AV Antivirus for Mac(トータルエーブイ)
イギリスで2016年創業のProtected.netによって公開された、今回のラインナップで最も新しいセキュリティソフトです。AV-TestやAV-Comparativesといった第三者機関のテストでは優秀な検出能力で評価されています。
機能性
20点
×リアルタイムスキャン→有料版のみ
○スパイウェア・マルウェア対策
×ファイアウォール
×ネット決済保護
○ウェブフィルタリング→ブラウザ拡張機能で対応(Total AV Safe Site)Safari対応
×インカメラのアクセス監視
×Webトラッキング防止
×ファイル改竄防止→有料版のみ
×VPN機能→有料版のみ
×Wi-Fiネットワーク検査・監視
検出率/誤警報率
95点
99.98% / 3件
新OSへの対応速度
95点
特に記載はありませんが、Mac OS 10.9 Mavericks以降であれば動作するようです。
ユーザーインターフェース
30点
どの画面においても、ことあるごとに有料版への移行を促すバナーが出てきて非常に鬱陶しいです。Macのメニューバー下部へポップアップも頻繁に表示されます。セキュリティソフトではなく、CleanMyMacのようなツールと思った方がいいでしょう。
スキャン速度
-点
無料版はマルウェアや不要ファイルの検索のみで、部分スキャン・フルディスクスキャンなどの機能はありません。
信頼性
60点
Total AVは歴史が浅く、第三者機関の評価はいくつもありますが、会社自体の情報が非常に少ないため信頼性という点での評価は難しいです。歴史のあるソフトが必ずしも素晴らしいとは限らない業界ですが、Total AVを開発するProtected.netは企業としてやや不透明であり、現時点で高い信頼性は与えられません。
ユーザーサポート
30点
サポートはFAQとメールフォームでの問い合わせ(どちらも英語)のみ。
(参考)コストパフォーマンス
60点
有料版:Total AV Antivirus Pro
1年間・1台ライセンス 29ドル/約3,300円 ひと月あたり275円 (公式サイトの価格)
契約1年目のみ上記の価格が適用され、2年目以降の自動更新時99ドル/約11200円(ひと月あたり933円)となります。
総評
★☆☆☆☆ Total AV公式サイト
無料版はほぼユーティリティツールのような印象で、セキュリティソフトとしてできることはマルウェアのスキャンくらいです。リアルタイムスキャンすら使えないのには恐れ入りました。あえてこのソフトを使う意味は何もありません。2年目以降、価格が4倍近くなるのも閉口。
結論
無料セキュリティソフトの結論
まず無料のセキュリティソフトについてですが、「全ての機能が完全に無料」という括りで考えると、完全に絶滅したと思っても差し支えないでしょう。
当然どこの企業も慈善事業をやっているわけでないので(過去に無料だったClamXAVのような個人開発ソフトを除いて)、結局は有料ソフトである上位グレードへの移行を促そうとしてきます。
それを行うのに一番良い方法が、無料でソフトを提供しつつ、重要な機能は有料でのみ提供し、頻繁にポップアップなどで無料版を使い続けることの危険性をユーザーにちらつかせて、危機感を抱かせるという手法なのだと思います。
今回6種類の無料セキュリティソフトを評価しましたが、その全てがフリーミアムのビジネスモデルであり、全ての無料のプランでは要最低限の機能だけが使用できるようになっています。無料ソフトの「機能性」の平均点数が27.5点ということからもそれを物語っていますね。
実際私が試した限り、6本のソフトはどれもドングリの背比べ程度の違いしかありませんでしたが、1本だけ選ぶのであれば「Avira Free Antivirus」を選択します。
また、有料ソフトと併用するのであればスキャンに特化している「Malwarebytes for Mac」を使い、マルウェアに対する隙をなくしますね。
有料セキュリティソフトの結論
次に、有料セキュリティソフトですが、私はBig SurからMontereyまでの1年間、カスペルスキーを購入し使用してきました。
1年間使ってみて特に不満があったわけではなく、このまま更新してもよかったのですが、この記事を書いた理由も、カスペルスキーのライセンスが今月中に切れるので、自分にとって更に良いセキュリティソフトを見つけられるきっかけになればと考えたことも大きいのです。
有料セキュリティソフトは秀逸なものも多かったので、7本の中からベスト3方式で発表したいと思います。
有料セキュリティソフト 第3位
Kaspersky Internet Security for Mac 無料体験・購入
ロシア製セキュリティソフトということで、信頼性にはやや問題がありますが、トータルで非常に優秀かつ安価ということで選出。
信頼性の部分に関しては、個人で使う分には全く問題ないだろう、というのが私の見解です。
ただ、もしあなたが政府機関や国防機関に勤務していて、自身のMacで国家機密情報を扱うのであればカスペルスキーをインストールするのは控えた方がいいでしょう。というか、上から使わないように指示されると思いますが。
カスペルスキーは機能的に最も優れており、他社製ソフトで別課金だったり最上位プランで使用できる機能が全て使用できます。
他社が製品グレードを2〜3種類用意して価格で機能に差をつけている中、カスペルスキーは1グレード展開・全部入りのみの潔い製品展開なのも好印象です。
それでいて価格は安く、コストパフォーマンスにも優れています。
→2022年3月現在の判断として、使用を推奨しません(詳細はカスペルスキーの評価欄に記載)
有料セキュリティソフト 第2位
Norton360 スタンダード 無料体験・購入
Norton360は信頼性・ユーザーサポート・スキャン速度で特に優れており、他の項目でも平均的に高い点数を取得しました。ただ、Windows版でのみ使える機能がかなりある点は早々に改善していただきたいところです。
個人的にインターフェースがWindowsっぽくやや使いにくいと感じましたが、Macを初めて使う人やWindowsから移行する人にはとても使いやすいのだろうなと思います。
ネックなのが価格で、1年目の割引が効いた時点で既にカスペルスキーより高価であり、2年目以降は更に価格が上がります。最初の1年間はまだしも、2年目の更新前に継続して購入するか悩むところでしょう。
ただこの点に関しては、クロスライセンス利用で家族間で共有したり、ご自身の複数台のデバイス(Windows、Mac、iOS、Android)に使用するのであれば、スタンダード2台版で4,980円、デラックス3台版で7,680円と、1台あたりの金額がかなりお得になります。
初めてMacを購入したけどどのセキュリティソフトを入れればいいかわからない方、Macも使うしWindowsも使う、できればスマートフォンも保護したい、という方にはオススメできます。
有料セキュリティソフト 第1位
Bitdefender アンチウイルス for Mac 無料体験・購入
私が1位に選んだのは、Mac OSと親和性の高いクリーンなインターフェースデザインと、十分な機能を有しながらも、他の有料ソフトを寄せ付けない圧倒的な低価格でコストパフォーマンスの良さを示したBitdefenderとしました。
全体的に高い点数を獲得した中、唯一ユーザーサポートが他のソフトと比べてやや弱いかな、という感じはありますが、ある程度Mac慣れした方であれば自分でほとんどの事は解決できますので、特に気にならないという人も多いのではないでしょうか。
価格は1年目と2年目で異なるNortonと同じ販売方式ではありますが、1年目が約2,300円、2年目でようやく他の安価なソフトと同等レベルの約3,300円ですので、不満はほとんどありません。1年使って他の安価なソフト(カスペルスキーなど)に乗り換える、でもいいですし。
ある程度長くMacを使っている方、軽量で使いやすいセキュリティソフトを求める方に特にオススメしたいです。
また、サポートに不安があるという方・新しいMacを購入したばかりという方は、ソフトの内容が同じOEM製品のソースネクスト「ZERO スーパーセキュリティ」を検討してみても良いかもしれません。
価格は3,900円とBitdefenderより少しだけ高くなりますが、ZEROスーパーセキュリティはライセンスの期限が無い(永続ライセンス、更新料0円)なので、1度購入すればその端末が使用できる限りはずっと使用できます。
*1:Macでは開けないWindows用のプログラムファイル形式