【2019年版・Mojave対応】Macで使える無料のセキュリティソフトを徹底比較

Mac OSX セキュリティソフト比較トップ

Macがウィルスに感染しない時代は終わった

数年前までは、Mac OSにセキュリティソフトは不要とまで言われてきました。

確かにその頃は、ユーザー数が多く、ソフトの脆弱性も高いWindowsが主なターゲットにされていました。Macは絶対的なユーザー数がWindowsよりも少なく、さらに当時のWindowsと比較してセキュリティが強固だったため、悪意のある開発者から見向きもされていなかったに過ぎません。

しかし、2011年頃には、セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)を名乗りながら、その実態はMacをターゲットとしたマルウェアであった「MacDefender」や、Adobe FlashPlayerに偽装した「Flashback」が大流行し、Macももはや安全では無いことがわかってきました。

それを受けて、Windows用のセキュリティソフトを作っていた会社も続々とMac用セキュリティソフトに参入を始めましたが、それらは高い金を払ってもまともに動作しなかったり、Mac OSのメジャーアップデートへの対応が遅いなど、様々な問題があります。

ノーガード戦法は嫌だ、でもわざわざ高い金を払ってMacのセキュリティソフトを入れたくない… という方もかなりいると思います。

残念ながら、数少ない日本語対応で、機能も有用だった無料セキュリティソフト「ClamXav」は有料化されてしまいましたし、Sophos Anti-virus for Mac Home EditionはOS X 10.9以降の正式な更新がなくなり、メインをほとんどクラウド型のSophos Homeに移行してしまいました。

Macのユーザーは増加しつつも、無料セキュリティソフトの選択肢はどんどん狭まっているのが現状です。

最新のmacOS Sierra 10.12に対応しました

そこでこの記事では、最新のMac OS X 10.11 El Capitanに対応し、かつ無料で利用できるセキュリティソフト5個を試し、比較してみました。

2017年2月23日に、全ての無料セキュリティソフト・アンチウィルスソフトを最新OSのmacOS Sierra 10.12に再度インストール・動作検証し、記事を更新しました。

その上で、新規追加ソフト・使用できなくなったソフトについての記載を追加、無料で使用できるウィルス対策ソフト6本(+1本)を試して比較し、それぞれの使用感・機能比較・メリットとデメリットをまとめました。

無料の6ソフト一目比較表

他ソフトに比べて、良い点は緑抜き、劣っている点は赤抜きで表示。

 

 

Avira Free Antivirus

Sophos Home for Mac

AVG Antivirus for Mac

Avast! Mac Security 2016

Comodo Antivirus

BitDifender Virus Scanner

Sophos Anti-virus for Mac Home

セキュリティ機能

常駐監視

隔離フォルダ

ウェブフィルタリング

スケジューラ

検出率(AV-Test)

記載なし

100%

100%

96.8%

記載なし

100%

記載なし

メール常駐検査

ユーザビリティ

日本語化

macOS Sierra(10.12) 対応

広告の有無

検索のホワイトリスト

定義ファイルの更新通知

パフォーマンス

検査速度(256GB SSD   フルスキャン) [min]

44

274

35

40

24

26

未検証

検査速度(AV-Test) [sec]

記載なし

253

253

528

記載なし

250

記載なし

特記事項

 

クラウド型

 

 

 

 

スタンドアロン

AV-Testは2016年12月の結果を使用 (https://www.av-test.org/en/news/news-single-view/strong-protection-for-macos-sierra-12-packages-put-to-the-test/)

 

サービス終了


こうしてみると、どれも一長一短ですね。以下にそれぞれのセキュリティソフトを実際に使用してみて、良かった点・ダメだった点を並べて比較してみました。

 

各ソフトの使用感と短評

Avira Free Antivirus (アヴィラ)

公式サイト

ドイツ製のアンチウィルスソフト。Windows版では、動作がとても軽量だったことから一時期流行しました。現在でも使っている人は多いのではないでしょうか。

MacライクなGUIで直感的に分かりやすく、動作・スキャンともに軽快に動作しました。

スキャンのスケジューラ機能が特に便利です。また、メニューバーの傘のアイコンが開いているかどうかで、保護状態が一目でわかるのもいいですね。

ただし、備わっている機能は常駐保護・ファイルスキャンくらいで、色々なんでも出来るソフトというよりかは、質実剛健なアンチウイルスソフトといった感じですね。

avira antivirusメニュー

▲Avira ホーム画面。普段はメニューバーに常駐。アイコンをメインにしたインターフェースなので、直感的な操作が可能。

avira antivirusスケジューラ

▲標準機能のスケジューラ。検査のタイプ(簡易検査か完全検査か)と、どのタイミングで検査をするかを設定可能。 

avira antivirus設定項目

▲スキャンと常駐保護の設定項目。脅威のジャンル分けは可能なものの、ホワイトリスト機能がないのが残念。 

avira antivirusフルスキャン

▲フルスキャン中。プログレスバーで見た目であとどれくらい掛かるかは分かるが、現在どのファイルをスキャンしているのかが分からないのが残念。検査速度は普通だがたまに全く進まなくなるときがある。

ここが良い

・ぱっと見で分かりやすく、直感的に操作できるGUI

有償版へのアップグレードを促すメッセージが出てこない

・スケジューラ機能でスキャンを定期的に行える

ここがダメ

・機能を割り切りすぎて、常駐監視とスキャンくらいしか出来ることがない

・スキャン中の表示がやや不親切

・ホワイトリスト機能(スキャンを除外するファイル・フォルダの指定)がない

Sophos Home for Mac (クラウド型ソフォス)

公式サイト

各デバイスでそれぞれ常駐保護・スキャンなどを行うのは他のセキュリティソフトと同一ですが、ブラウザ側で最大10台までのセキュリティ状態の管理などができるのがクラウド型セキュリティの強みです。

下にある従来のスタンドアロン型ソフォスよりもGUIは洗練され、見やすくなっていますが、日本語表示はなくなってしまいました。

それに、何かしらの設定をしようとすると、毎回ブラウザを開かされるのは割りとイライラします。

ウェブフィルタリング機能は有用で、サイトのジャンルを細分化し、それぞれのアクセス権限を変更できます。

ただスキャン速度は恐ろしく遅いです。256GB SSDのフルスキャンでも5時間近くかかり、実用的ではありません。 

Sophos Homeメニュー

▲Macにインストールした側のホーム画面。設定などは右上のHome Dashboardボタンで、インターネットブラウザから行う。

Sophos Homeフルスキャン

▲フルスキャン中。メニュー画面から遷移しないので分かりやすいのは良いが、検査速度がめちゃくちゃに遅いうえに、進捗時間も残り時間もファイル名も出ないので何が起きているのか全くわからない。

Sophos Homeダッシュボード

▲ブラウザ側(クラウド)画面のダッシュボード。シンプルで、設定できる項目は少ない。

Sophos Homeデバイス

▲登録してあるデバイスの一覧表示。それぞれのウイルス定義ファイル更新状態まで見ることが出来るのは良い。

Sophos Homeウェブフィルタリング

▲ウェブフィルタリングの設定画面。ジャンル分けされた中から、「許可」「警告(ページ表示前にSophosが警告を表示)」「ブロック(ページ自体を開かせない)」と三段階のフィルタをかけることが可能で、とても便利。

ここが良い

・分かりやすいGUI。一目で全てのデバイスの保護状態がわかるのはありがたい

ウェブフィルタリングが強力

ここがダメ

・設定などはすべてブラウザで行うため、基本的にインターネットに繋がっていないと使えない

・いちいちブラウザが立ち上がるのがストレス

スキャンが非常に低速(故障を疑うほど遅い)

・スキャンの設定項目がほとんどない

Sophos Anti-virus for Mac Home Edition (スタンドアロン型ソフォス)

公式サイト(ダウンロードページ)(現在リンク切れ)

上のソフォスの従来版。今回、唯一日本語表示が出来るセキュリティソフトです。

Sophos側としてはクラウド型を使って欲しいようで、ダウンロードリンクを探すのに苦労します。

2017年2月現在、リンクが削除されたので使用できません。

一応ソフトウェア更新はされていますが、公式に動作のサポートはしておらず、OS X 10.9以降の対応も表示されていません。今のところ、問題なく動くんですけどね。ただこれからのOS Xアップデートの状況によっては、使えなくなったり何かしらの問題が起こる可能性はありますので、ご注意ください。

Sophos 設定画面

▲設定画面。Sophos Anti-virusにはトップメニューのようなものが存在せず、スキャン画面と設定画面、隔離マネージャ画面などがバラバラで表示される。

Sophos スキャン画面

▲スキャン画面。情報量が少ない。また、問題がないのにもかかわらず「問題が検出されました」と表示されることがある(ウィルスの時は「脅威が検出されました」)。実害は無いが精神衛生上宜しくない。

ここが良い

唯一の日本語対応で、その翻訳もまともでとても親しみやすい

・定義ファイルの更新頻度が高い

ここがダメ

公式にはOSX El Capitan 10.11へのサポートをしていない(提供終了)

・トップメニューがないため、システム保護の状態が分かりにくい

スキャンがかなり遅い(特にdmgファイルの検索がかなり遅く、更に挙動が怪しい)

・アンインストールがやや面倒

 

AVG Antivirus for Mac (エー・ブイ・ジー)

公式サイト

WindowsやAndroidの無料セキュリティでAvast!と双璧をなしているソフトが、いよいよMac界に本腰を入れて殴りこみ。

AV-TESTの試験では検出率100%と、各有料ソフトよりもよい結果を出しています。

動作も軽く自己主張もないので、バックグラウンドで黙々と仕事を続ける職人といった硬派な雰囲気のソフト。

ただその分設定項目が極端に少なく、ユーザーが任意で出来ることはほとんど無いと言っていいでしょう。

スキャン時間は35分と平均的な速度。セキュリティソフトを入れているという感覚なく使えるため、Mac本来の使用感を維持したい方にはおすすめです。

AVG メニュー画面

▲メニュー画面。非常に分かりやすいGUIだが設定項目などはほとんどなく、シンプルにまとめられている。常駐保護の状態はRealtime Protectionにチェックが入っていればOK。

AVG 設定項目

▲設定項目。Generalのタブにはアイコンをステータスバーに表示するかどうかがあるのみ。Exceptionsはいわゆるホワイトリスト(検査をしないファイル)の設定。

AVG フルスキャン

▲フルスキャン中。現在検索中のファイルと全体の進捗度は表示されるが、経過時間やファイル個数などが出てこないのは不親切。

ここが良い

・一目で分かりやすい簡潔なGUI

・動作が非常に軽量

高い検出率(AV-TESTで100%)

ここがダメ

・設定項目がとても貧弱

・ユーザーが出来ることがほとんど無い

Avast! Mac Security(アバスト!)

公式サイト

多機能かつソフト更新・定義ファイル更新が非常に速いことで知られる、チェコ産セキュリティスイート。Macへの参入もかなり早かった印象。

Mac版はWindows版のように日本語ではないですが、非常に多機能な点は変わりません。

Mac版も2016年の製品から日本語に対応しました!

おおよそセキュリティソフトに求められる機能を全て備えており、ウィルス定義ファイル更新の頻度も高いです。ただその分、システムリソースを多く消費し、マシンパワーの低いMacだともっさりに感じる可能性もあります。

avast! ホーム画面

▲メニュー画面。数種類のスキャン、隔離フォルダ管理、メール・ウェブ・ファイルのリアルタイムシールドなど非常に多機能。

avast! リアルタイム保護

▲リアルタイムシールド。常駐監視があるとわかっていても、こうして目で見てどのくらいのファイルを検査しているのかが分かるのは精神衛生上良い。

avast! フルスキャン中

▲フルスキャン中。情報量が多い。また、ソフトの重さの割にはスキャン速度が速い。

avast! スキャン設定

スキャン一覧。家庭内LANのファイル検査やスケジューラなど、非常に充実している。

設定項目も細部に至るまで日本語化されており、不安は感じない。

ここが良い

とにかく多機能、これ一つでだいたいのことは出来る

・リアルタイムスキャンの目で見る安心感

・しっかりとした日本語ローカライズ

ここがダメ

・広告で自社のアドオンやアップグレードなどを勧めてくる

・昔は良く「やらかして」いたソフトな為、あまり印象が良くない (詳しくは「Avast! 自爆」で検索)

Comodo Antivirus(コモド)

2019年現在、最新OS(Mojave)で正常に動作しません。

公式サイト

セキュアブラウザのComodo Dragon(コモド・ドラゴン)などを始めとする、アメリカの多角的なセキュリティ関連企業で、SSL製品なども販売しているようです。

Comodo Antivirusは、日本ではあまり見かけないソフトですが、海外ではそれなりにシェアがあるようで、当の私も2017年分の更新にあたって調査中に見つけたソフトです。

Windows用のComodo Internet Securityからアンチウイルス機能のみをMac OS用に対応させたもので、単一機能ながらも設定項目などが充実しており、検査速度もとても早く(今回検証した中で最速)、全体的に使いやすい印象を受けました。

更新中などにステータスバーにあるアイコンが点滅しまくって自己主張するのが鬱陶しい以外はGUIも見やすく、設定項目も整然としており直感的に操作ができるので便利です。

COMODO ANTIVIRUS サマリー

▲メニュー画面。左のペインに保護状態を表示し、フルスキャンが長期間なされていないときやウィルス定義ファイルの更新がされていないときにアラート表示される。

アンチウイルス設定画面

▲アンチウイルスの設定項目。毎週毎など自動検査を設定できるスケジュール機能や、怪しいファイルを直接Comodoに送付して検査してもらう機能など非常に充実している。 

詳細設定項目

▲スキャンの設定項目。スライダを使って、不要な時はリアルタイムスキャンを無効にするなどセキュリティレベルを自由に設定できる。

フルスキャン画面

▲フルスキャン中。256GBのSSDを完全スキャンしてもかかった時間は24分と、非常に高速で検査できる。

ここが良い

・使いやすいGUI

・スキャンが高速

・スキャン関連の機能が非常に充実

ここがダメ

・初回の更新が遅い

・更新時などにステータスバーのアイコンが点滅して鬱陶しい

Bitdefender Virus Scanner (ビットディフェンダー)

AppStoreページ

App Storeダウンロードアプリ。機能はスキャンのみの単機能で、常駐監視はありません。セキュリティソフトというよりは、ウィルス検索ソフトといったほうがいいでしょう。

また、App Storeアプリの御多分に漏れず、使用中に有料版アプリへの勧誘広告がありますが、ポップアップではなくバナー広告が出るだけなので、特に気になるレベルではありません。

Bitdefender メニュー

▲アプリ起動時のホーム画面。設定項目(Preferences)すらなく、簡易スキャン・フルスキャン・カスタムスキャンのみが選べる。

Bitdefender スキャン

▲Deep System Scan(フルスキャン)中。プログレスバーが正常に表示されるまで5分程度かかる。

Bitdefender 設定項目

▲メニューバーの設定項目。単一機能なだけあって、設定もシンプルだが肝要な点はしっかりと押さえてある。

ここが良い

・ウィルスの感染を防ぐのではなく、検出・除去のみに機能を絞った分かりやすい仕様

・動作が軽量、フルスキャンの速度が速い

・App Store経由のインストールのため、安全

ここがダメ

・常駐監視機能がないため、これ1本での使用はオススメできない

・せめて検出感度の調節やファイル形式や圧縮ファイルごとの検査設定ができれば…

・カスタムスキャンは検査したいフォルダが選択できるのみ

 

総評

様々な面でのセキュリティを求める方・Macを買ったばかりで右も左も分からない状態の方はAvast!一択でしょう。オールインワンのうえ、日本語対応です。

検出率が100%ではない、Avastのアップグレード広告が出るという欠点はあるものの、それ以外ではネガティブな要素がほとんど見当たりません。全体的に有料ソフト並のクオリティになっています。

もし英語が全くわからないなら、Sophos Anti-virus for Mac Homeをどうぞ。動作的にあまりおすすめは出来ませんが、日本語表示であるということは大きな強みです。

→2017年現在、現在使用ができなくなりました。

Sophos Homeは、スキャンにあまりにも時間がかかりすぎるので、現状では使用する意味は薄いでしょう。この状況は2016年から変わっていないので、改善の見込みもなさそうです。

動作の軽さと、ウィルス検出率のバランスを重視する場合はAviraAVGを。どちらもあまり自己主張せず、さり気なくMacを保護してくれます。

スキャン機能・スキャン速度に特にこだわる方はComodoを使ってみて下さい。英語ですが、インターフェースがとてもわかりやすいのですぐに慣れると思います。

2019年3月現在、Mojaveでは動作しません。

 

また、BitDefenderのような、常駐監視が無く高速なソフトは、サブとしての使用としてインストールしておくと役に立つかもしれません。

なお、常駐監視のあるソフト同士の併用はオススメしません(例:Avast!とAviraなど)。ソフトによってはインストール時に、他のセキュリティソフトが既にインストールされていると、警告が出てインストール出来ない場合があります。

フルスキャン中にも別のソフトの隔離フォルダと喧嘩したりして、結局セキュリティも操作性も低下しますので、ソフトは単体での使用を推薦します。

 

ちなみに最近では、有料のセキュリティソフトも、実店舗に行かなくても購入できるAmazon等でのダウンロード販売や、5年・3年などの長期ライセンスなどが各社から発売されており、一昔前に比べて値段もかなり安くなっています。

やっぱり無料だと不安が...とか、会社でも使うMacだから、もし何かあった時に困る、日本語じゃないと安心できないという場合は、素直にノートンウイルスバスタークラウドESETカスペルスキーなどといった、有料のソフトを購入したほうが良いでしょう。

有料のソフトの中では、ノートンセキュリティが特におすすめです。ノートンセキュリティを販売するシマンテック社は、かなり昔のシマンテック・アンチウィルス(SAV)というソフトの頃から、Mac用のアンチウィルスソフトを開発・サポートし続けてきた実績があり、他のWindows用セキュリティソフトよりも安心感が高いです。

ノートンセキュリティ自体も、Mac用セキュリティソフトを2001年(なんとMacOS 9のG4モデルの頃からです)から発売し続けており、蓄積したノウハウは、競合他社の一歩先を行っている印象があります。

Mac用の無料のセキュリティソフトは、我々Macユーザーにとってはとてもありがたい存在ですが、まずは各ソフトのメリット・デメリットをしっかりと見極め、セキュリティ機能をよく検討・試用した上で、自分の使い方と環境にあったセキュリティソフトを導入し、より快適なMacライフにしましょうね。