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「On Your Mark ジブリ実験劇場」が「風の谷のナウシカ」の未来の世界であるという類推に関する考察

「On Your Mark」PVを久しぶりに見たが、やはりこれはナウシカの数百年後の世界というのは、つじつまが合う部分が多い。それについての個人的な考察を以下に記す。

あの世界での「海」

まず、ナウシカの世界では海は完全に生物のすむことが出来ない状態*1だし、腐海のような自浄作用が働く環境でもない(同様に腐海の育たなかった「酸の海」もある)から、おそらく腐海が地球上の陸地全てに行き届いて汚染を取り除いたとしても、海の汚染だけは取り去ることが出来ない。
仮にシュワの墓所がそういった技術を持っていたとしても(作品中ではまだそのようなことをしている描写がないので、将来的に冬至・夏至に現れる「神秘文字」を解読したとしても)、作品最後でナウシカとオーマは墓所を破壊してしまっているので、あの世界では海を浄化する技術は完成することはないだろう(むしろ、旧人類の技術をもってしても母なる海までは浄化することはできないのか?新世紀エヴァンゲリオンの「赤い海」にも関連性を感じる→新劇場版の「海洋研究所」の話など)。
「On Your Mark」作中ではCHAGEとASKAと思われる人物らが居酒屋で飲んでいるシーンがあるが、後ろのお品書きには「バイオ蛸酢」「〆鯖(合成)」といった表記があるから、海産物の生成方法は分かっていても(ナウシカ時代墓所の技術?)海に生き物が居ないので所謂「天然もの」は存在しないことになり、作中のヒドラ培養と同じような方法(旧人類の得意技術であったろうバイオ合成)で海産物の生成が行われているのではないだろうか。


 


放射線障害への耐性

また、作品中の乗り物にはほぼ漏れなく「放射性物質」のマーク(右画像)が表示されている。ナウシカは作中、巨神兵オーマとともに移動する際、オーマの出す「光」に至近距離で当てられているが、早期の障害反応(放射線宿酔など)は作中では見られなかった。
しかし、ともに行動していたキツネリスのテトは旅の半ばで死んでしまう。おそらく巨神兵の出す「光」は放射線であろう。
仮に、旧世界が巨神兵同士の核戦争(彼ら曰く「調停」)で滅んだとすれば、世界には大量の放射性物質がまき散らされている訳だから、「旧人類」(腐海の生成者、所謂私たち「ヒト」)のような脆弱な放射線抵抗性では生きることはできないだろう。
したがって、「旧人類」によって、汚染された世界に適応するように"作り替えられた"「新人類」であるナウシカたちは、放射線に対して抵抗性をもつように作られていても(作中の旧人類の最盛期の技術を考えると)全くおかしいことではないと思う。

新人類の子孫

話を「On Your Mark」に戻すと、あの世界がナウシカ後の世界であるなら、そこに登場するのはナウシカら「新人類」の子孫ということになる(ナウシカは墓所に保管されていた「賢い旧人類」の種を完全に破壊したため)。
であるから、放射性物質をエネルギー源として、それらや放射線をまき散らしながら飛ぶような乗り物に乗っていてもなんら問題がないのは当然だ。
冒頭で警察が宗教施設にガサ入れ?する場面でも、防毒マスクのようなものはしていても(これも一応新人類に共通する。ナウシカの世界では新人類は瘴気を防ぐために瘴気マスクを使っているが、逆に清潔すぎる空気では死ぬ(正常な世界では血を吐くという描写)。ナウシカが作中で庭園の主に問われた「あんなちっぽけなマスクで腐海の瘴気に耐えられるのが不思議でないのか」という旨の言葉のとおり、ナウシカら新人類は、若干の瘴気・汚染がないと生きられないということになる)、放射線防護服のようなものは誰一人着ていないことからも読み取れる。
すると、「On Your Mark」の世界の人間「新人類」が、ナウシカの言うように「血を吐きながらでも飛び続けて」、清潔な世界に適応する進化を得たのか?ということになるが、おそらくそれは叶わなかったのではないかと思う。





あの世界では、人間は「スター・ウォーズ」に登場するコルサントのような超高層都市に住んでいるようで、そこから"外の"世界に出るトンネルの途中には「命の保障無し」などの危険喚起を促す標識があり、更に進むと緑に満ち満ちた世界が広がっているが(これはナウシカの作中で登場する「浄化された世界」の描写に似ている)、人間が住んでいるような様子はない。ぽつぽつと現代の一般的な民家のようなものや、チェルノブイリ原発の石棺のような建造物が広がるばかりである。
これが表すのは、それまでにも多くの新人類が外の世界に住むことを夢見て、緑の草原の中で定住を試みたが、誰もが「浄化された世界」の清浄さに耐えられず、血を吐いて死んでいったということなのかもしれない。
逆に新人類の「都市」は、洞窟や、縦穴のような地中の密閉された空間に作られている。
もしかしたら、この中で「腐海の発していた瘴気と同等の"有害"物質」を、新人類が腐海時代と同じように生きていける濃度レベルで"故意に"発生させているのではないだろうか。
もしそうだとすれば、新人類は、彼らを取り巻く環境が変わり、「蟲」や「腐海」の恐怖におびえることは無くなっても、旧人類が作り出した汚染を必要とし続け清浄な世界には住むことの出来ない「呪いの遺伝子」は変えることが出来なかったということになる。

その後はどうなったのか

そういった仮定をすると、「On Your Mark」に登場していた「天使の処女」を助けた2人はあの後、清浄な空気に耐え切れず血を吐いて死んでしまった可能性もある。もちろんすぐ「都市」に帰ったのかもしれないが...(帰ったとしても犯罪を犯したのだから無事ではないだろうが)
そこからは描かれていない以上憶測の域を出ない。

他によくあげられる共通点としては、「天使の少女」がナウシカに酷似している点、作中ガサ入れされるカルト教団"聖NOVA'S"の面々がかぶる僧帽が、シュワの墓所に住み着いている"教団"にそっくりであるところ(土鬼"ドルク"との類似もあるともいわれる)がある。
特に前者は、ナウシカ作中で彼女が"蟲使い"たちに「女神」と言われていたこと、ナウシカが最終的に蟲使いが恐れ敬う「森の人」と暮らしたエピローグ(残された蟲使いを始めとする旧人類が、ナウシカとその子孫を神格化した?)からも少なからずナウシカとの関連があると考える。




まとめ

・腐海は地球上の陸地全土に広がり、やがて汚染された土地を浄化する。陸地は「旧人類(ヒト)」が住むのに適した環境を取り戻す。しかし、浄化された世界に"目覚める"予定であった「旧人類のたまご」は「新人類」ナウシカらの手によって完全に破壊された。
・「旧人類」の思惑では、「新人類(ナウシカら)」は、浄化した世界に対応できずにみな死に絶え、自らが直接手を下すことなく、穏便に入れ替わる予定であった。
(「旧人類」は、先の戦争「火の七日間」による反省をふまえ、自らを争いを好まず、音楽や文学を愛する、平和的な「賢いニンゲン」の卵を墓所に保管していた)
・腐海による浄化は「旧人類」のためのものなので、「新人類」が生き残ったナウシカ後の世界では、逆に「新人類」の生存圏を狭めていくという皮肉な結果となる。
・「新人類」は、腐海が発生する瘴気なしでは生きることが出来ないように作られた。つまり、「新人類」は腐海が地球を浄化し終えるまでだけの、「つなぎ」のために生み出された種族だった。「旧人類のたまご」が孵る時がくるまで、たまごの保管場所・知恵の集積たる墓所を守り、維持する墓守としての役目だった。
・数百年後、「旧人類」が生活する予定だった清浄な世界に「新人類」は適応出来ず、世界の大半は無人の草原や森となった。
・地上を追い出された「新人類」は、地下などの空間に、超高密度・超高層の都市を建築し、そこに自分たちが生きるために必要な「瘴気」を故意に発生させて生きながらえていた。
・また、「新人類」は放射性物質で汚染された土地で生き抜くために、「旧人類」によって放射線に対する抵抗力を高める遺伝子操作をもされていた。
(了)

以上の文章は、Twitterに投稿したツイートを加筆再構成したもので、全てナウシカ世界=On Your Mark世界、同時間軸であるといったことを前提とした個人的な憶測であることをご了承いただきたい。

*1:2巻97項「海はこの星全体にばらまかれた汚染物質が最後にたどり着く所だったからだ」