登山・夜釣り・ナイトライドで活躍するLEDヘッドライト3機種の明るさを比較してみた

ヘッドライト比較

私は懐中電灯やヘッドライト(いわゆるヘッデン)などの光物が好きで、いくつか集めています。中でもヘッドライトは、登山や釣りといったアウトドア趣味との相性が良く、明るさ・機能も各メーカー 一長一短のため、色々と蒐集してしまいます。

そしてこの度Amazonで激安で販売されている、1000ルーメンを謳う中華製ヘッドライトを購入しましたので、手持ちの「まともなメーカー」のヘッデンと明るさや機能を比較してみました。

3機種の外観・機能

ジェントス ヘッドウォーズ HW-888H 【200lm】

ジェントスHW-888H

現在手持ちのヘッドライトのなかで最古参の「ヘッドウォーズ HW-888H」は、日本でも最大級のLEDライトメーカーであるジェントスのエントリーモデルです。

ジェントスといえば懐中電灯シリーズ「閃」などでも有名でしたね。

ジェントスHW-888HLED部

LEDは白色1灯、明るさは200ルーメンと、平均的なモデルですが、公称の照射距離は91mと、登山などではやや心もとないパワーですが、ワイドリフレクターがレンズ内に装備されているため、かなり拡散した光を照射できます。

角度はほぼ真下の90度まで首振りできます。

スイッチを押すとHi点灯→Low点灯→点滅→消灯となり、点灯から一定時間経過後は一回押すだけで消灯します。

ヘッドウォーズ電池ボックス

電池は単3電池3本、エネループなどの充電池も使用可能です。

電池ボックスの蓋はしっかりと捻って閉めるタイプで、簡単なパッキンも付いておりIPX4相当の防滴構造となっています。

また、電池ボックス部にもスイッチが付いており、ボックス中央部の横長の部分が光ります。後方にも赤色LEDを点灯・点滅させることで装着者の安全を確保できます。

ブラックダイヤモンド ICON【320lm】

ブラックダイヤモンドICON

釣り用・天体撮影用として購入し、現在主力として使用中の「ICON(アイコン)」。

ブラックダイヤモンドの名は登山趣味の方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、そのメーカーの最高級モデルになります。

価格は1万円前後と高価な部類になりますが、その値段に見合った高機能ヘッドライトです。

ブラックダイヤモンドICON LED部

LEDはメイン白色1灯、サブ白色2灯、ナイトビジョン赤色2灯と合計5灯搭載。下に最大45度可動。

それに対してボタンは1個しかないので操作は当然複雑なものとなります。消灯時、短押し1回でメイン点灯、その状態で長押しすると無断階調光(最大・最低照度で一回点滅)。消灯時短押し2回でサブ白色点灯、押し続けて無断階調光。

消灯時長押しでナイトビジョンモード赤色点灯。更に長押しで無断階調光。

どのモードでも3回短押しをすると点滅モードに変更。

 

メイン点灯時はLED下部にある残容量表示灯が3秒点灯し、緑→黄→赤の順でバッテリー残容量を表示します。

また、ボタンを6秒間長押しで誤点灯を防ぐロックがかかり、ザックの中などでいつの間にか点灯していていざという時に...なんてことも防げます(ロック時は残容量表示灯が青色点滅)。

正直慣れるまでがかなり大変ですが、使いこなせるようになると非常に便利です。

ナイトビジョンモード

特にナイトビジョンモードは、光で周りに迷惑を掛けたくないような状況や、天体観測時に暗順応した瞳孔を開きたくない時などに使います。私はもっぱら後者の用法で、肉眼で天の川が見えるほど闇に目がなれた時などに、ちょっとした明りが欲しい時などは非常に重宝します。

ブラックダイヤモンドICON電池ボックス

電池は単3電池4本。電池ボックスの蓋は気密性が高く、ヘッドライトとしては珍しいIPX7相当(1mの水中に30分浸しても正常動作する)の防水性能があり、ハードな状況でもガシガシ使っていける非常にアウトドア向きのヘッドライトです。

中国製 Qtuo 【1000lm】

qtuoヘッドライト

先日Amazonにて1500円で購入したニューフェース。Qtuoという謎のメーカー製。本当はレッドレンザーのH14R.2が欲しかったのですが、同等の明るさで18650バッテリーが2本付属し、USB充電も可能なこちらの商品の誘惑に負けてしまいました。CREE製のT6チップが載っているというのもライトヲタにとっては魅力的ですね。

quto LED部

LEDは白色1灯。嘘か本当か怪しいところですが米国CREE社製のT6チップが入っているようです。T6は公称で1200ルーメンの明るさを誇る爆光チップです。

下方向に最大90度まで可動。ボタンは側面に1個。一回押すごとにHi点灯→Low点灯→点滅→消灯、一定時間経過後の一発消灯などの機能はありません。

ライトの筒の部分は前後でき、簡易的にですがスポットビーム〜ワイドビームに調整できます。

Qtuo 電池ボックス

2000mAh 3.7Vのリチウムイオンバッテリー(18650電池)が2本付属します。ちなみに18650は電池サイズを表し、直径18mm、長さ650mmという意味です。日本ではあまり有名な規格ではありませんが、海外では割とメジャーな電池です。

ボックスにはUSB電源ポートがあり、付属のケーブルでそのまま充電することもできます。

ただ、電池ボックスの蓋がペナペナのゴムを被せるだけなので、防水性には期待できません。ボックス蓋側が後頭部に当たるため、もし雨が降ってベシャベシャに濡れた場合は感電してハゲそうでちょっとした恐怖です。

バックライト点灯

メインLEDに対応してボックス表にある「LED HEADLIGHT」の部分が赤く光ります。ヘッドウォーズほど見やすい赤色光ではありませんが、まあ光るだけマシです。

明るさ比較

検証方法

 

暗室にて、カメラの撮影条件・位置を固定。

カメラと同距離から壁面に対してヘッドライトを照射・撮影しました。

撮影条件は、肉眼と同等の見え方になるようにライブビューにて調整し数値を固定。

シャッタースピード1/10, F2.5, ISO100, 35mm換算35mm, マニュアルフォーカスとしました。

また、照射範囲を変更できるQtuoはワイド端最大にしてあります。

3機種のHi点灯モード

ジェントスHi

ブラックダイヤモンドHi

Qtuo Hi

明るさ

Qtuo>ICON>>>HW-888Hといった感じですね。中華製Qtuoは1500円なのにめちゃくちゃに明るく、また照射範囲内での明るさにバラつきがありません。

ICONも負けず劣らずかなり明るいですが、中央の照度が高く、辺縁にいくに連れて暗くなるという山なりなビーム波形となっています。

ヘッドウォーズは他の2機種に比べるとかなり暗いですね。リフレクターを使用するワイド照射タイプなのもあると思いますが...

色温度

3機種でかなり差があり、特に顕著なのはQtuo。ケルビン数でいえば8000Kあたりでしょうか。若干青みがかった白色光です。

最もニュートラルなのはICON。4000〜5000Kあたりのいわゆる「純白光」です。

ヘッドウォーズも純白に近いですが、ケルビン数はICONよりもやや低く感じます。3400Kあたりでしょうか。

照射範囲

HW-888H>>ICON>Qtuoといった感じですね。ヘッドウォーズはリフレクターの恩恵のため、非常に広範囲を照らします。使い方によってはこれで十分な場面もあると思います。ICONは中央の際立った明るさの影響で辺縁の範囲が広く、暗所でも楽に広範囲を見渡せます。

Qtuoは照射範囲の明暗が非常にはっきりしていますが、最大ワイドでこの照射範囲なのは、若干狭いようにも思えました。

3機種のLow点灯モード

ジェントスLow

ICON Low

Qtuo Low

参考までに各機種のLowモード。ICONに関してはサブライト点灯なので、単純に比較すると他機種よりかなり暗く見えていますが、実際は左右2灯のおかげで画面全体を見ることが出来ます。QtuoはLowになると更に青さが際立ちます。

 

用法別まとめ

夜釣りで使うならQtuo 1000lmでしょう。1500円でこの付属品・性能は破格です。釣具屋でバカ高いマルチLEDヘッドライトを買うくらいなら断然こっちがおすすめです。

照射範囲が狭いので周りに迷惑をかけることもありませんし、自分の見たいものをしっかりと非常に明るく照らすことが出来ます。

ただ防水性能には疑問が残るので、雨が降る状況や波しぶきがかかるような状況で使用する場合は注意したほうが良いかもしれません。

 

登山で使うならブラックダイヤモンド ICON一択。登山用具メーカーのフラッグシップ製品ということも有り、機能面・照射範囲などを含めて、これ一本あれば問題ないと思います。

電池4本を含めても重量が230gという軽量さも魅力ですね。

 

ナイトライドで使用する場合、ロードバイクに取り付けるヘッドランプとの明るさ・照射範囲の兼ね合いになると思いますので選択肢は多岐にわたりますが、オススメはICON。明るく、軽量かつバッテリーの持ちも良いため、強力な飛び道具になると思います。防水性が高いので突然の雨も気にしなくないで済むのも有利かと。

最後に

LEDライトの進歩は凄まじく、ちょっと前まで200lmで明るいと言っていたのに今では300lmですら暗いと言われるような時代になってきています。

ただ、ルーメンはあくまでも全光束を示す数値であり、これが高ければ高いほど実際に明るいかと言われればそうではなく、リフレクターの構造やLED素子の配置など、メーカーの工夫・努力でかなり見た目上の明るさは変わってきます。

何よりも重要な事は、目的のアクティビティに合った明るさ・照射範囲のヘッドライトを選択することだと思います。良いヘッドライトを選んで、楽しくアウトドアしましょうね。