2017年4月25日 ラインナップ更新
皆さん、ドライブレコーダーは装着していますか?
ドラレコが出始めの頃は、価格の高さから、バスやタクシー、トラック、公用車への装着が主でしたが、近年になり、新規メーカの参入、安価で高性能な韓国・台湾・中国製ドライブレコーダーの増加などで、2015年末の一般車普及率は10%を超えました*1。
この数字はこれからもますます増加していくと思われます。
しかし、ドライブレコーダーは商品の価格帯が非常に幅広いこと(おおよそ3000円〜50000円)、搭載機能もまちまちであったりすることで、初めて買う人は店頭で戸惑ってしまうことも多いと思います。
そこで今回は、1万円程度(ローエンド・エントリー機)、1万〜2万円台(ミドルレンジ)、2万〜3万円台(ミドルハイ)、3万円以上(ハイエンド・フラッグシップ機)の4価格帯それぞれで、機能性に優れた、コストパフォーマンスの高い製品を紹介していきたいと思います。
はじめに ―ノーブランド品の激安ドラレコについて―
まずはじめに、Yahoo!ショッピングや楽天市場で売られている、激安の割に超高画素数(だいたいの製品が1000万画素以上を売り文句にしています)のフルHDドライブレコーダーは避けたほうが無難です。
なぜかといいますと…そもそもフルHD(FHD)というのは、横1920×縦1080画素の画面解像度のことです。
これを計算すると、約207万画素になります。この数字を超えた画素の分だけ、画質がよくなるんじゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
上の図を見ていただくとわかると思いますが、決まった枠の中(フルHDなら横1920x縦1080。簡易化するために3x2で表記)に入れる画素数の理論上の最大値は決まっています。
図では赤枠のセンサー内に理論上6画素までに入れることになりますが、それを超えた分も入れることは可能です。そうすると、そのしわ寄せは画素一個あたりの面積に来ます。
つまりフルHDで207万画素を超えた分に関しては、それだけ1画素あたりの面積が小さくなってしまいます。1000万画素であれば207万画素に比べて1画素が1/4以下の面積しかないということになります。
面積が小さくなるということは、それだけその画素が同じ時間で受け取ることの出来る情報量(光量)も少なくなります(感度の低下)。しかし動画では、写真のように撮影時間(シャッタースピード)を長くして光量を得ることはできません。そうすると、その犠牲となった光の量だけ、ノイズが発生しやすくなったり、彩度(色の情報)が下がったりします。また、光の少ない夜はさらに何が映っているか分かりにくくなるでしょう。
本来は、この画素数の拡大に伴う低感度化を補うために、良い画像処理エンジンやチップを積んだり、レンズ径やセンサーサイズを大きくしたりする工夫をするのですが、激安の高画素ドライブレコーダーではそういったことも見受けられません。
どうしても画素数=画質の良さと考えてしまいがちですが、動画においてはそんなことはありません。画素数だけに注目するのではなく、センサーや画像処理エンジン、レンズなどもしっかりと見極めて購入するようにしてください。あとせめてメーカー名と製品名(型番)くらい書いてある物を買いましょう。
安物買いの銭失いで済めばまだいいですが、万が一時に肝心な動画の画質が悪すぎて役に立たなかった、では困りますからね。
1万円程度のオススメドライブレコーダー(ローエンド・エントリー機)
ローエンドとは言ったものの、最近のドライブレコーダーの高性能化・低価格化の勢いは凄まじく、「センサーとか機能とか詳しいことはよくわからないけど、とりあえず綺麗に動画が撮れればそれで良い」という人のニーズを満たしてしまうことが多いです。
ただし、1万円程度の製品はコストの都合上どうしても「動画を撮るだけ」という単機能になってしまうことが多く、上位機種に搭載されているような機能、例えばGPS機能だったり駐車録画機能は付いていません。
ただし、この価格帯でも画質は優れているものが多く、1080pのフルHD動画はもちろん、1440pの2K動画までもが撮影できるモデルも登場し始めています。
そこでおすすめするのは、2K動画撮影可能なこの機種。
VIOFO A119
VIOFOは、中国のシリコンバレーとも呼ばれる深セン市(Shenzhen)に本社があると思われます。そのフラッグシップモデルA119は、その高コスパから海外レビュアーからも非常に評価の高いモデルです。
とりあえず、この機種で撮影されたドライブレコーダー映像を見ていただければ、そのぶっ壊れ性能っぷりがわかると思いますので、下のYouTube動画を御覧ください。
いかがでしょうか。個人的には、とうとう1万円でこの画質が手に入る時代が来たのかと震えるレベルです。夜間もかなり綺麗ですので、興味のある方は見てみて下さいね。
良い点
・1万円とは思えない2K(2560 x 1440px)超高画質
・160度の超広角撮影
・WDR(ワイドダイナミックレンジ)撮影で夜間も綺麗
・1080P(フルHD) 60fpsというより滑らかな撮影も可能
悪い点
・GPSユニット別売
・カトコトっぽい日本語訳(英語使用を推奨)
・西日本のLED信号機非対応(30fps)
以上のように、この価格帯では破格とも言える性能を秘めています。
チップセットは台湾Novatecの96660、撮像素子(センサー)はオムニビジョン社のOV4689を使用しており、部品の信頼度も高いと思われます。このA119の上位機種のA119SではSONYのExmorセンサーを搭載していますが、昼間の映像を見る限りA119のほうが綺麗でした。
正直、下手な前後ドラレコを買うくらいならこれを2個買ってフロントとリアにつければいいんじゃないかな、と思えるレベルです。
ただ、極一部を除く中国製品全体の問題として、ローカライズ(日本語表示)が非常に怪しいという点があります。こればかりはどうしようないので、英語表示で使うか、国内代理店のあるものを購入するかのどちらかになると思います。
1万〜2万円台のオススメドライブレコーダー(ミドルレンジ)
オートバックスやイエローハットなどのカー用品店で見かける価格帯は、このあたりが一番多いのではないでしょうか?国産メーカーであるユピテルやケンウッドなども、ボリュームゾーンはこの価格帯のはずです。
日本メーカーのドライブレコーダーを取り巻く状況は、諸外国製品に比べてかなり遅れており、さながらスマートフォン市場と同じような状況になっています(安価かつ高性能な中国・台湾製モデルに国産機が大きく圧される形)。
しかし、この価格になってくるとようやく外国製品並の機能を備えた国産品が狙えるほか、中国・台湾製品だと、非常に高性能なモデルも購入可能になります。
紹介するのは国産・外国産のドライブレコーダーからそれぞれ1機種。まずは国産機です。
KENWOOD(JVCケンウッド) DRV-630
Amazonで17,000円の本機種は、ケンウッド製ドラレコのフラッグシップ機ということもあり、国産機の中でも全てにおいて非常に高いレベルでまとまっています。
良い点
・GPS搭載、専用ソフトで地図表示
・WQHD録画(2560 x 1440)
・HDR/WDR(ワイドダイナミックレンジ、白飛び・黒つぶれを抑える)搭載
・27.5fpsで全国のLED信号機対応
・内蔵バッテリーで最長15分まで衝撃感知・動体検知の駐車録画、さらに別売り電源ケーブルでバッテリー管理機能付きの長時間駐車録画も可能
悪い点
・運転支援機能(前方衝突警報、発進遅れ告知、車線逸脱警報)はオマケレベル
・別売りの常時電源用ケーブルが高価(5000円強)
・対角視野115度とやや狭い
・夜間映像にやや不満
遅れ気味の日本製ドラレコにしては、かなり頑張っているスペックだと思います。
絶対に海外製品は使いたくない、日本製が欲しいという方であれば、オススメできる機種です。
また、最近はドラレコに「前方衝突警告」「車線逸脱警報」「発車遅れ警告」「速度超過警告」「オービス通知」などの安全運転支援機能が付いたものも増えていますが、あまり期待せずに、どれも基本的にはおもちゃレベルと考えておいたほうが良いと思います。
PAPAGO GoSafe 520
9/13
GoSafe 520を使用したレビュー記事を書きました。
PAPAGOは台湾のメーカーで、GoSafeというシリーズ名を冠したドライブレコーダーの製造販売を行っています。また、日本での販売は総代理店であるパパゴジャパンが行っています。国内正規販売店があるということで、万が一の故障なども安心してサポートを受けることが出来ます。
良い点
・アンバレラ社A7Lチップ搭載
・大画面3.0インチTFTモニタ
・146度の広角撮影
・動体検知による駐車録画(別売り直接電源ケーブルを使用)
・LED信号機対策済み
・2560 x 1080のウルトラワイド録画
・ガラス製レンズを使用
・HDR機能搭載
悪い点
・GPS無し
・フルセグ、ワンセグへ若干の電波干渉有り
・駐車録画の自動転換なし
こちらの機種は、YouTubeなどに上がっている動画を見ても、ほかと比べて明らかに画質が良いです。
昼間の細部の解像度はもちろんのこと、夜間の映像においてもかなり「使える」画質を維持しており、正直驚きました。
おそらく、レンズが樹脂製ではなく、ガラス製を使用していることも暗所性能の高さに寄与しているのではないかと思われます。
マイナス要素としてはGPSが無いこと、駐車録画モードへの切り替えが手動というあたりでしょうか。
とにかく第一に「高画質」を求めるのであれば、非常にオススメ出来るモデルです。
2万〜3万円台のオススメドライブレコーダー(ミドルハイ)
このあたりになると、世間一般では「高級機」になり、たかだかドラレコにそんなにお金掛けられないよ、という人も多くなってくる価格帯ではないでしょうか。
しかしこの金額になってくると、ダブルカメラによる前後同時録画機能や、駐車録画機能の充実など、ワンランク上の世界が見えてきます。
この価格帯でオススメするのはコチラ。
COWON AN2
COWONは韓国の電子機器メーカーで、ポータブル音楽プレーヤーでは2000年台から品質に定評がありました。ドライブレコーダー黎明期に参入し、カプセル型ドライブレコーダーのAuto Capsuleなどはカー用品店で目にしたことがある方も多いと思います。
そしてこちらのAN2。私が現在、デミオに装着しているモデルになります。
詳細なレビュー記事はこちら。
前後同時録画ができるドライブレコーダーは、いままで安くても3万円を超えるようなモデルばかりだったのですが、このモデルは前後ともしっかりと画素数を維持しつつ、25,000円と非常にリーズナブルです。
デザインも洗練されており、他社の黒一色の無骨なデザインとは一線を画しています。
また、別売りの常時電源ケーブルを使用することで、エンジンOFF後自動で駐車録画モードに移行し、その時の動作LEDの動きなどは非常にアピール力も高く、防犯効果も抜群です。
安価で高機能な前後録画可能なモデルを探している方には、ぜひともおすすめしたいモデルです。
3万円以上のドライブレコーダー(ハイエンド)
ここまで来ると、もはや趣味の領域とも言えるでしょう。ただしその分、メーカ側も機能を妥協せず贅を尽くし製作しているので、個性的で魅力的な機種が多いのも特徴です。
この価格帯では、こちらの機種を紹介します。
FineVu CR-3000S
中国資本のINBYTE(日本)が取り扱う、現段階で最高レベルの機能をもつ前後録画可能なドライブレコーダーがCR-3000Sです。
私も今使っているCOWON AN2に不満があるわけではないですが、ただただ個人的な趣味と興味で導入を検討しているモデルです。
良い点
・フロント/リアFullHD録画(1920 x 1080)
・タッチパネル液晶搭載
・駐車録画のバッテリー管理機能の充実(電圧設定・タイマー設定)
・充実した設定項目
・ナイトモード搭載
・GPSモジュール同梱
悪い点
・西日本のLED信号機非対応(30fps)
・非常に高価(50,000円弱)
私は東日本在住ですから信号機に関しては問題ないので、カネに余裕があればいますぐにでも購入したいと考えているモデルです。本当にいろいろなドライブレコーダーを見てきましたが、ここまで機能に関して隙の無いモデルはなかなか存在しません。
とにかく細かいところまで設定可能で充実しており、録画中のフロントLED点滅パターンまで設定できるのには驚きました。
また、ナイトモードのおかげで、暗所性能もかなり高いです。リアカメラもフルHDの30fpsで撮影できるため、リア録画にありがちなカクカクした映像ではなくとても滑らかなのも高得点ですね。
まとめ
現在、ドライブレコーダーはまさに玉石混淆といった状況で、ユーザーの選択肢が幅広い分、ハズレの製品を掴んでしまう可能性も高いといわざるを得ません。
まずはどの程度の予算があるのかをしっかりと決め、その後は自分の欲しい機能(高画質を優先するのか?GPSが搭載されていることを重視するのか?駐車録画機能が欲しいのか...など)を絞込むのが重要なのではないかと思います。
また、よくカー用品店では「500万画素だから綺麗」「フルHDだから綺麗」といった文句が並んでいますが、冒頭でも述べたように、ドライブレコーダー選びにおいて、画素数はあまり重要な要素ではありません。
画素数や解像度ばかりに目をとらわれず、Youtubeなどに上がっている「無加工の車載映像」をしっかりと自分の目で見てから購入しましょう。