北海道は新冠町に「太陽の森 ディマシオ美術館」というものがあるのは以前から知っていました。祖母の家に帰省するときに、看板で見かけるんですよね。ただ、一度も行ったことは無かったです。
そんな折、友人から、ここに「世界最大の油彩画」があるので行かない?というお誘いを受けたので行ってきました。
ディマシオ美術館へ
「太陽の森 ディマシオ美術館」があるのは北海道新冠町のかなり内陸寄りの位置。
JR日高線新冠駅からバスに乗っても、50分近くかかるという秘境にあります(そもそも新冠駅に停まる汽車は今動いていないです)。
もしマイカー以外で来ようという根性のある方がいれば、絶対にレンタカーをおすすめします(新冠市内からの循環コミュニティバスは1日2本です)。当初マイカーを持っていない友人は、鉄道とバスを使って一人で来るつもりだったそうですが、あまりの交通の便の悪さに諦めたようです。
マイカーの場合、札幌からは道央道と日高道を通って2時間程度(日高道は沼ノ端東ICから無料開放中)。
なお、札幌方面から来る際は、R235途中の門別町に、乱切り蕎麦の名店「いずみ食堂」があるのでおすすめです。チームナックスの面々も、ブレイクする前から通い、今でもお忍びで通っているという人気店です。
札幌にも姉妹店である「手打ちそば さくら」があり、何度か食べましたが、本家のこちらの味には到底かなわないと個人的に思います。
ただディマシオ美術館内にもかなり美味しそうな雰囲気の良いレストランがあったので、我慢できるようならディマシオ美術館に着くまで頑張りましょう。
道すがら、こんな山奥にあって来館する人いるのかねー?誰もいなくて館長がずっと同行して解説してくれるんじゃない?とかなんとか言いながら到着。
思ってたよりずっと綺麗!
あいにくの雨模様でしたが、とりあえず一枚。
ずーっと競走馬牧場と森林が続いた中から、パッと現れる洋風の建物はやや異質です。
もとは、ここ太陽地区の小学校だった建物を改装して再利用しているとのことで、ちらほらとその頃の名残が見受けられます。
こんな天気でも車は4,5台止まっていて、誰もいないと思っていただけにびっくり。
中に入ると想像以上に近代的な装いで2度びっくり。
玄関ホールには、おしゃれなレストランと、2台もある入館料の自動券売機が。2台も必要なのかどうかはさておき、入館料1100円を払って順路を巡っていくことにします。
ちなみに館内撮影オールオッケーです。
床の感じはたしかに小学校っぽいですよね。そんなに大きい小学校ではないのですが、10mおきくらいにトイレがありました。1階だけで3箇所ほど。しかも一つも閉鎖せず、すべて新し目の便器に交換されており、手入れも行きとどいていました。車いす対応トイレまで設置されており、バリアフリー化にも力が入っていますね。
水道の蛇口は学校でおなじみだった反転タイプ。もちろん逆さまにして水を飲めます。
第1展示室。びっしりと四方に油彩・スケッチなどが展示してあります。
私、美術にはとんと疎いので技法がどうだこうだ言われても全然ピンとこないのですが、ディマシオの作品は、どこか引き込まれるような魅力がありました。
どことなくSFチックな絵というか、中期の弐瓶勉作品(バイオメガで復物主世界に居たあたり)を読んでいる時の気分です。
自画像らしいです。古代ローマのレギオン兵に見えてCivilizationやりたくなりました。
体育館へ続く渡り廊下から入り口方向を望む。
廊下にもスケッチだとか解説だとか写真がこれでもかとあり、全部見るとかなりの時間がかかります。
ここを後ろに進むといよいよ世界最大の油彩画の展示してある旧体育館です。
圧巻の「世界最大の油彩画」
ドドーン。
高さ9メートル、幅27メートル(!?)の油彩画です。
上の写真、後ろの壁ギリギリの位置からSIGMAの超広角レンズ(魚眼ではない)8-16mmの広角端(APS-Cなので35mm判換算で12mm)で撮っているのですが、それでもフレームに収まりきりません。カメラに詳しい方ならば、これだけでどれだけ大きい絵なのか、お分かりかと思います。
私はこの部屋に30分位居ました。実際、写真で見るよりずっと感動します。これを見るためだけに新冠まで来る価値はあると思います。
絵を取り囲むように、上下左右が鏡張りになっており、ただでさえ大きな作品が更に大きく見えます。ちなみに下の鏡の部分は上れるようになっており、そこから見ると前後不覚に陥ります。
人と比較するとこんな感じ。スケールの大きさが伝わりますでしょうか。
入り口の反対側から広角端で撮って、ようやく全体が映るレベルです。最大の油彩画の対面にもかなり大きめの作品が展示されていますが、それもこの作品の前だと霞んでしまいます。
1日6回限定の特別展示に、ちょうど時間が合ったので見ることに。館内のお客が全員ここに集まっていました。
プロジェクション・マッピングみたいなものかな?と思っていたのですがそこまで手のこんだものではなかったです。ただ一枚絵と音楽、ライティングだけでここまで神秘的に表現できるのはこの絵があってこそかと。
「世界最大」以外も興味深い
「世界最大の油絵」の裏も展示スペースとして使われていました。
かなり大きい油絵も展示されており、見応えがあります。写真の作品は横12m程度だったはず。
第4展示室。最近書かれた作品は展示室4と5に集まっています。
友人と「ダークソウル」シリーズやりたくなるね、と話していました(アノール・ロンドの雰囲気に似ている)。
これとか完全に弐瓶勉ですよね。たまらん。
2階への吹き抜けホールは豪華なシャンデリア、宗教的なステンドグラスと相まってヨーロッパの民家のような印象。
ここでは座ってパンフレットや作品集を読んだり、コーヒーを飲んだり出来ます。
第5展示室。人物画が多かったです。
「世界最大の油絵」以外で一番気に入った作品。他の淡いネイビー系の色使いが主体の作品とはやや毛色が違い、印象的でした。
第6展示室。この展示室は他とは異なり、「顔」だけが集まっています。
ディマシオの作風として、ほとんどの作品で目が漆黒で描かれるという点があり、眼球がないはずなのに視線を感じる妙な部屋でした。
ここで常設展示は終わり。他にも日本の画家が書いた心象画のある部屋、現代アートの部屋がありましたが私にはいまいち理解できなかったのであまり見ませんでした。
2階は売店スペースや図書コーナーがあり、この美術館で飼われているという太った猫が来館者に可愛がられていました。人懐っこいデブネコなので、訪問の際は是非。
レストランで食事をしたかったのですが、ここに来る前にたらふく蕎麦を食べているので今回はパス。しかしシェフもいる本格的な店のようで、もしまた行く機会があれば食事もしたいと思います。
2人で各自自由にゆっくり回って滞在時間は2時間程度だったでしょうか。
大して期待はしていなかったのですが、かなり楽しんで観ることができました。
食事スペースもあり、他の客が多くてゆっくり見られないということも全くないのでオススメです。
新冠観光とおすすめのカフェ
ここを見終わった後は、新冠町に戻りサラブレッド銀座で未来の競走馬や引退した顕彰馬を観るもよし、レ・コードの館で往年の名曲に耳を傾けるもよし。
また、新冠町の海岸に「椿サロン 夕焼け店」という、とてもよい立地のカフェがあるので、デートなんかで訪れた際は是非寄ってみてください。
海岸沿いの崖の上に建っているため、夕焼けの時間帯に店内から眺める太平洋は絶景です。
パッと見、一軒家のような佇まいですが、おしゃれな吹き抜け2階建てのカフェになっており、コーヒーも美味しいです。札幌に本店があるお店のようですので、機会があればそちらにも行ってみたいと思います。