4倍保冷力が長持ちを謳うサイクルボトル「CAMELBAK Podium Ice」を買ったので保冷力を検証してみた

CAMELBAK Podium Iceの保冷力比較検証

今までサイクルボトルには特にこだわらず、ELITEのボトルケージを使っていたのでブランドを合わせてELITEのレース用ボトルを使っていました。

その折、この度のフレーム変更により、青系の色を排除していく方向でカスタムが進んでいるので、新しくボトルを購入しちゃいました。

色が合わないから仕方なくパーツを買い換える、という大義名分のもと、馬鹿みたいに散財しまくっているような気がしてならないですが、もともと今使っているボトルはプラスチック臭くて、時間が立つと飲み物が不味かったのでいい機会でした。

 

今回購入したサイクルボトルは「CAMELBAK Podium Ice」という、ローディーにも愛用者の多い、CAMELBAK(キャメルバック)Podium(ポディウム)シリーズの中でも、最上級の保冷力を謳う製品です。

キャメルバック社の試験によれば、周囲温度30度の環境で、0℃の水が20℃まで上昇するまでの時間を比較し、保冷機能のないボトルに対して4倍、一般的な保冷機能をもつボトルに対して2倍もの保冷力があるとのことで、Amazonのレビューなどを見てもべた褒めするものが多かったのですが、私としては、どれも保冷機能としては同じような構造をしているのに、これだけがそんなに長時間保つのか疑問に思う部分もあったので、実際に手持ちのボトルと比較し、保冷力を検証してみました。

購入

今回はAmazonで購入。購入時の価格は2,980円でした。並行輸入品とありましたが、もともとアメリカの製品だし壊れるような商品でもないのでまあ問題ないだろうということで、気にせずにポチり。

ちなみに正規取扱店のライトウェイによる国内価格は3,888円、Wiggleでの価格は3,200円前後。

国内外価格差の大きいロードバイク界隈にしてはかなり代理店価格が良心的ですね?もし某インターマックスあたりが販売していたら、国内価格4,500円くらいになってる気がする。

ちなみに商品名に「Podium(ポディウム)」とありますが、チネリやカレラ、オルベアを取り扱っている輸入卸の株式会社ポディウムとは一切関係ありません。取り扱っていたら面白いなーとは思いますが。

 

ボトル各部レビュー

CAMELBAK Podium Ice 外観

到着したポディウムアイス。写真はないですがしっかりとビニール袋に入っていました。

容量は22oz(約600ml)と他のPodiumシリーズと同様ですが、長さが他のものより長くなっており、その分ボトル内側の断熱材が分厚くなっているのかな?と思います。

ただこの長さのせいで、小さめのフレームだと前方に取り出しにくくなりそうなので、ELITE カンニバルのような、左右からアクセスできるタイプのボトルケージを併用するのもいいかもしれません。

CAMELBAK Podium Ice ノズル部

バルブはCAMELBAK伝統の「Jet Valve™」で、ボトルを軽く握るだけで水が出てくる特殊な開閉弁が付いています。

写真の状態は「バルブ開」、灰色の樹脂の部分を時計回りにひねって黒いマークに合わせると「バルブ閉」となりますが、バルブ開の状態で逆さまにしても、水は漏れませんでした。とても優秀な構造です。

自転車に乗っている時は基本的に「バルブ開」の状態のまま使い、輪行や車での移動時は「バルブ閉」にするのが良さそうですね。

CAMELBAK Podium Ice 内部

ボトルには雑菌の繁殖を抑えて不快な匂いの発生を防ぐためのハイドロガード加工が施され、素材もTruTaste ポリプロピレンという、ボトルにありがちなプラスチック臭を抑えたものが使用されています。アメリカ公式サイトには"lets you taste your water, not your bottle."と書いてあり笑いました。

新品購入時はさすがにちょっとプラスチック臭いですが、一度洗浄すると、ほぼ独特の匂いは消えます。

保冷素材にはNASAの宇宙開発にも使用される「Aerogel(エアロゲル) Insulation」という素材を挟みこんだ2重構造となっているとのこと。

エアロゲル、面白そうな素材だったため、軽く調べてみたのですが、ここで解説すると長くなりそうなので気になる方は下のサイトを見て下さい。科学的な読み物としても面白かったです。

お金が許せばカッターで分解して中の断熱材を取り出してみたいところですが、勿体無いのでやめておきます。

 

保冷力の比較

サイクルボトル保冷力比較の使用ボトル

さて、ここからが本題です。

私の手持ちのボトル、断熱材も何もはいっていない、素ボトルであるELITE Corsa LOGO BLU 550(昔Wiggleで購入。500円くらいだった)と、家族が使っている同じCAMELBAKの普及価格帯保冷ボトル Podium Chill、そして今回購入したフラッグシップ Podium Iceの3本を用意しました。 

検証条件

サイクルボトル保冷力比較 氷

次に、用意した3本のボトルに、電子ばかりで風袋引きをしてそれぞれ同量の氷を入れました。入れた氷の量は97gです。

ちなみにPodium Iceのボトル自体の重さは139g。断熱材が入って大きいわりにけっこう軽くて驚きました。

サイクルボトル保冷力比較 開始時

その後、それぞれのボトルはきっちりと蓋をします。

21時40分を開始時刻として、1時間ごとにボトルの様子を観察し、溶け出した水の量を計測していきました(ただし最初の1時間経過時はまだ氷が解けだしていないものもあったので、計測なし)。

室内温度は21℃。この後時間経過に伴いだんだん室温が下がっていきますが、4時間後も18℃でしたので、このあたりは無視できるものとしています。 

1時間後

サイクルボトル保冷力比較 1時間後

検証を始めてから、1時間が経過しました。室温はやや下がって19℃。

サイクルボトル保冷力比較 1時間後のELITE CORSA

まだ1時間ですが、すでにELITE Corsaは氷が解けて水になってきており、ボトルもかなり汗をかいています。 

サイクルボトル保冷力比較 Elite Corsa中身

ELITE Corsaのボトル内部の様子。氷の角が取れ始めていますね。 

サイクルボトル保冷力比較 Podium Chill 1時間後

Podium Chillも氷は霜が取れて透き通ってはいますが、底に水はほとんど溜まっていませんでした。

サイクルボトル保冷力比較 Podium Ice 1時間後

Podium Iceはまだ氷がギザギザしており、余裕な感じです。Podium Chill同様、底には水はほぼありません。

2時間後

サイクルボトル保冷力比較 2時間後

2時間が経過しました。ここから、ボトルの中で解け出した水の量を測っていきます。

ガラスコップを風袋引きして、それぞれのボトル内の水だけを入れて測定しました。

サイクルボトル保冷力比較 2時間後 Corsa

サイクルボトル保冷力比較 2時間後 Chill

サイクルボトル保冷力比較 2時間後 Ice

写真上から、Elite Corsa、Podium Chill、Podium Iceの順です。

ポディウムは中の水をコップに出すときに、すごい勢いで噴き出るのでコップの中に水滴がついていますがご了承ください。

この時点でCorsaは1/4以上の氷が解けてしまっています。

Podium ChillとIceはほぼ同じ状態。室温20℃のなかで2時間近く放置した状態でも、80%以上の氷が残っていることになります。

3時間後

サイクルボトル保冷力比較 3時間後

日付が変わって、検証開始から3時間後。BS11でリトルウィッチアカデミアを見ていたので、時間が20分ほど遅れました。 

この時点で既に、Corsaはボトル側面の水量メモリがかなり上がってきているのがわかります。

サイクルボトル保冷力比較 3時間後 Corsa

サイクルボトル保冷力比較 3時間後 Chill

サイクルボトル保冷力比較 3時間後 Ice

保冷能力のないELITE Corsaは、3時間で半分以上の氷が解けてしまいました。

もし直射日光下であれば、もうボトルの中の飲み物がぬるくなり始めているころでしょうか。

一方、Podium ChillとIceはまだ30%〜40%程度しか解けていません。

それでも、2時間経過時点でほぼ差がなかったIceとChillの間にも、徐々に保冷能力の差が現れ始めているのが読み取れます。

4時間後(検証終了)

サイクルボトル保冷力比較 4時間後

時刻は午前2時となり、検証開始から4時間以上経過しています。とりあえずこの時点で検証終了となります。

各ボトルの最終結果は次のようになりました。

サイクルボトル保冷力比較 4時間後 Corsa

保冷力のない普通のボトル ELITE Corsa 75.2g(氷の残り21.8g、氷の残った割合22%)

サイクルボトル保冷力比較 4時間後 Chill

普通の保冷ボトル CAMELBAK Podium Chill 56.7g(氷の残り40.3g、氷の残った割合41%)

サイクルボトル保冷力比較 4時間後 Ice

4倍長持ちする保冷ボトル CAMELBAK Podium Ice 48.1g(氷の残り48.9g、氷の残った割合51%)

保冷ボトルはまだまだ溶け切るのに時間がかかりそうですが、データは取れたのと眠たかったので、ここで検証を終えました。

 

グラフ化して検証

各時間で測定したデータを元に、保冷力をグラフにしてみました。

実際の使用時には内容物や環境などで保冷時間は異なりますが、概ねグラフのような下降線の保冷力になると思います。

まずはボトル内に残っている氷の残量(97g-各時の計測水量)。

サイクルボトル保冷力比較 グラフ

そしてほぼ同じ線形のグラフではありますが、氷の残存率(上のグラフの氷の残量÷97×100)です。

与えられた各時間の数値から、5時間後〜8時間後まで多項式補完によるトレンドラインを描いてあります。

サイクルボトル保冷力比較 残存率

保冷機能のないボトルの4倍、一般的な保冷ボトルの2倍というとちょっと言い過ぎな気も否めないところではありますが、今回検証したボトルの中でもかなりの保冷力があることはわかりました。

特に、室温20℃で約100gの氷を放置して4時間後も50%以上残っている、という点はかなり評価出来ると思います。

一般的に、ある容器の中の一定時間経過後の氷の残存率は、内容物の総量に比例して長くなりますので、実際にサイクリングやレースに使用する状況、たとえば5℃に冷やしたスポーツドリンク500mlに氷100gといった使い方であれば、かなり長時間冷たいままでキープできるということになります。 

まとめ

ポディウムアイスの保冷力については、おそらく現在購入できるソフトタイプのレース用サイクルボトルのなかでは最高でしょう。もしこれ以上の保冷力を求めるのであれば、魔法瓶になってしまうと思います。

また、ボトル自体も非常によく出来ていて、今まで使っていた引き出すタイプのバルブにはもう戻れそうもありません。

「保冷力」×「臭いの少なさ」+「バルブの使いやすさ」=最強、といった感じで、これ以上ない性能・使い勝手をもったボトルだと感じました。

 

ただ不満な点もあります。

まずボトルのカラーリング。ラインナップに白基調のものしかないのが、黒いフレームを使う自分にはちょっと残念。保冷力のことを考えれば黒いボトルなんて論外なのですが、もうちょっと色のバリエーションがあってもいいのではないでしょうか。

あと、私はフレームサイズが大きいので、そこまで気にならなかったのですが、Podium Iceのボトル全長はかなり長い(600mlなのに、Chillの750mlサイズと同じくらいある)ので、フレームサイズの小さい方は、ボトルケージの位置や形状などを考慮してから購入したほうが良さそうです。

あとなによりも値段が高い点。このボトル1本で、下のクラスのボトル(Podium Chill)が2本買えちゃいます。ただ、それに見合った性能があるのは今回の検証で十分理解しました。

私は100kmを超えるセンチュリーライドなどに参加することも多いので、こういった長時間の保冷ボトルはかなり助かりますが、実際の使用状況次第といったところでしょうか。

長距離ライドをする方や、30℃を超えるような真夏日にサイクリングされる方なんかにはオススメできる商品だと思いました。