Jumper EZbook 3 Pro 実機レビュー 安価なのに出来の良い、中華13インチラップトップ

EZbook pro 3トップ

Jumper…このメーカー名は聞いたことのない人がほとんどだと思います。

中国・深センに拠点を置く新興メーカー(といっても設立は1997年と20年近い歴史があります)で、正式名称を「中柏電脳技術公司」といい、安価なタブレット・ラップトップなどを製造しています。ASUSやマイクロソフトにOEM供給することが多かったようですが、最近では中国通販(GearBestなど)や日本国内でもAmazonなどでもJumperブランドの製品を購入できるようになってきました。

今回はこのJumperのラップトップで、Celeron搭載でメモリ6GBというスペックながら30,000円前後で手に入るコスパに優れた製品、EZbook 3 Proをレビューしていきたいと思います。

スペック

OS:Windows 10 Home(正規品)

CPU:Intel "Apollo Lake" Celeron N3450 4コア4スレッド 1.1GHz(バースト時2.2GHz)

GPU:オンボード(Intel HDグラフィックス 500)

RAM:6GB

ROM:64GB eMMC(M.2スロットx1)

通信:802.11b/g/n/ac、Bluetooth4.0

カメラ:インカメラのみ 2MP

インターフェイス:USB3.0 x2、3.5mmイヤホンジャック端子、電源ポート、miniHDMI x1、microSDカード

ディスプレイ:1920x1080 13.3インチ IPS液晶

スペック自体は、最近の低価格帯ノートパソコンよりもやや上といったところでしょうか。

この価格帯では珍しく、メモリが6GBであったり(だいたい2GBのものが多い)、Celeronプロセッサを搭載しているなど、動作に直接的な影響を及ぼす部分についてはよく考えられた構成となっているのは好感触です。

ただ、ストレージも欲を言えばSSDを搭載してほしかったところですが、低価格帯では32GBのeMMCを使う製品が多いのに対して、このEZbookは2倍の64GBを確保しているのはありがたいところ。

例えばドン・キホーテの激安ノートパソコンなんかは、2万円を切る価格ながらメモリは2GBであったり、CPUはAtom(Intelで一番グレードの低いモデル)だったりと、快適な動作は到底望めないような仕様になっていますからね。

 

開封・外観

EZbook Jumper 3 pro外箱

商品は段ボールに入って届きます。中には発泡緩衝材により中空状態にノートパソコンが入れられているので、輸送時の衝撃には強そうな感じです。

「简单的高科技」とは英語で"Simple High Technology"、「ハイテクを手軽に」みたいな感じのコーポレーションスローガンでしょうか。

EZbook 外箱2

Jumper(中柏)というのが本製品のメーカー名です。

いまいち中国の会社の英語命名規則が良く分からないのですが、中柏が英語でJumperになるようで、こちらのロゴは下の写真のように、スプラッシュ画面にも出てきます。

Jumperロゴ

しかし、小米がXiaomi、華為がHuaweiっていうのは、読み方的になんとなく日本人の私でも納得が行くのですが、中柏がJumperといわれると???ってなってしまいます。中国語って難しいですね。

内容物

内容物はノートパソコン本体、充電用のACアダプタ、取扱説明書(簡体字・英語)のみという、極限まで無駄を省いた至ってシンプルなもの。個人的には日本製パソコンについてくるごちゃごちゃした冊子類とかは不要と考えているので、こういった点は国内メーカーにも見習ってほしいですね。

外観1

某林檎社の薄型ノートパソコンを彷彿とさせるフォルム。出荷状態では、トップ面に傷防止のフィルムが貼ってあるので剥がしました。

トップ面中央にはJumperのロゴ。このロゴは残念ながら光りません。

ただ驚きだったのは、この価格帯のノートパソコンで素材がアルミだったこと。ハイエンドの薄型ノートパソコンではよく使われる素材ですが、3万円前後というオールプラスチックが当たり前の価格帯で、この企業努力は特筆に値しますね。

重量

重量は1360gと、公称値(1400g)よりもわずかに軽かったです。

実際に持ってみた感じ、私は普段2kg強の15インチMacBook Proを使用していることもあり、かなり軽く感じました。メインPCは性能重視で考えているので、MBPは15インチ以外の選択肢はないのですが、このくらいの重さ・大きさだと片手で持っていてもしんどくないので、軽作業専用のサブPCとしては非常に使いやすい大きさだな、と感じました。

エッジ

また、全体的な加工精度も思っていた以上によく、アルミのエッジ部分は面取りされたうえに鏡面加工が施されているという贅沢っぷり。

恐らくこのメーカーを知らない人が見ても、誰も30,000円以下の格安中華ラップトップだとは思わないでしょう。

右側面

右側面部。

充電用ケーブルの端子(とインジケータLED)、USB3.0ポート、miniHDMIポートが並んでいます。

裏面

左側面部。

3.5mmイヤホンジャック、USB3.0ポート、microSDカードアダプタを搭載。

バッテリー不足

当初私は、いつも使っているMacBookの癖で、左のイヤホンジャックが充電端子だと思いこんでおり、こっちに電源ケーブルを差し込んでいました(径が同じなのでどちらも入る)。

当然ですが充電はされないので、起動してはすぐ上のようなバッテリー不足画面が出て、「初期不良なのでは…?」と疑心暗鬼に陥りました。実際上の写真を取った時は左側(イヤホンジャック)に電源ケーブルを挿してしまっています(笑)。

電源ケーブル

実際の電源ケーブル用の端子は右側面にあり、こちらは挿すと隣のバッテリーインジケータが点灯するのですぐに分かるようになっています。

ただ、各端子の機能を示すピクトグラムなどがないのはちょっと不親切かな、と感じました。

裏面

背面部。こちらには端子類などは一切ありません。

ヒンジ部分の色使いというか、そのあたりもMacBook Airっぽいですね。

側面

開いて横から見た状態。

こうしてみても分かる通り、非常にスリムなラップトップです。各部の工作精度もよく、値段よりもずっといいモノに見えるのが素晴らしいですね。

オープン

正面、開いた状態。

タッチパッドが黒くなかったらMacBook Airと見紛うのではというレベルのシンプルさ。ベゼルも本体と同色かつ狭額なので、さらにMBA感が増しています。

これ、後ろのJumperロゴのところにAppleシール貼ったらけっこう騙せるのでは?

ちなみにディスプレイ下、ファンクションキーの上部分には電源状態などを示すLEDインジケータがいくつか付いていますが、どのLEDが何を示すのかは分かりません(笑)

ちなみにMacBookには、閉じた状態から片手で開くことが出来るように設計されているようですが、こちらは片手で開くことは出来ませんでした。

 

レビュー

キーボード・タッチパッド

キーボード

キーボードは当然ですが英字キー配列で、キー同士が離れたアイソレーションタイプです。

こういった類の商品は、スペースを無理やり広げようとして変なキーボード配列になることがよくあるのですが、EZbook 3 Proは概ね自然な配列になっていますね。違和感があるとすれば、デリートキーがなぜかバックスペースキーとエンターキーの間にあるくらいでしょうか。

キートップは特に加工などはされておらず、ややザラザラした触感です。打鍵感は良くあるパンタグラフキーボードといったところ。打鍵音はかなり静かで、スコスコと小気味よくタイプが可能です。

なお、キーボードのバックライトはありません。

タッチパッドもキーボードと同じようなザラザラした素材が用いられています。デフォルトの設定だと、ややタップの反応とポインタの速度が鋭敏すぎるきらいがあります。Windows設定で1,2目盛り下げたほうが使いやすいでしょう。

また、これも私がMacbookのトラックパッドに慣れすぎてしまったせいもあるのですが、クリックが可能なのはおおよそパッドの下半分で、上半分は押し込みができません。

タッチパッドに関しては、個人的には別途マウスを用意したほうが作業効率は上がると感じました。

ディスプレイ

ディスプレイ

ディスプレイはIPS液晶のフルHD解像度(1920x1080ピクセル)、サイズは13.3インチと必要十分な性能です。また、テカテカの画面ではなくアンチグレアタイプのディスプレイなので、明るい場所でも使いやすいですね。

最近は、IPS液晶の低コスト化や有機ELディスプレイの普及により、低価格帯でもTN液晶やVA液晶を使うノートパソコンはあまり見かけなくなり、IPSの普及が進んでいます。やはりIPSだと視野角が非常に広く、発色も良いですね。

液晶輝度も十分で、50%でもかなり明るく感じます。残念ながら自動調光機能はありませんので、周囲の明るさに応じて各自調整する必要がありますが、この価格でこの液晶なら文句のつけようはないでしょう。

スピーカー

スピーカー

スピーカーは本体底面の左右の位置に、ステレオ配置されています。

最初は音が籠もるのではないか?と心配したのですが、逆にテーブルなどで使用する際は硬質の面に音が反響して、意外なほどよく聴こえましたね。

特にスピーカーの性能・仕様については公式サイトでも言及されていないのですが、Youtubeなどの動画再生やブラウザゲームなんかをプレイするくらいなら快適に視聴できそうです。

ただし、ベッドの上やソファの上でうつ伏せに寝転んで使う際は、音が吸収されてしまいモコモコになったので、使う場所をある程度考える必要はあります。

バッテリー

バッテリーは7.6V/4500mAhのリチウムポリマーバッテリーを搭載。CPUのTDPが6Wという超省エネ仕様ということもあり、もちは悪くない印象でした。

バッテリー充電速度は、使用中33%充電するのに1時間半程度。閉じた状態では1時間程度なので、満充電には3時間程度でしょうか。

接続端子・周辺機器類

インカメラ

ビデオチャットをすることがないので、MacBookでも全く使っていないインカメラですが、EZbookの場合は周囲をシリコンゴムで囲まれているというよくわからない仕様になっています。閉じた時の傷防止なのでしょうか?ちょっと出っ張っているのが不格好です。

5GHz帯接続

ネットワークに関して言えば、高速で干渉の少ない5GHz帯(802.11ac)に接続可能なのは高評価ですね。低価格ノートはここがスポイルされることが多く、2.4GHz帯にしか接続できない物も多いですから…

無線LANカードは低電力のIntel Dual Band WIreless-AC 3165が使用されており、公称最大速度は433Mbpsと申し分ありません。

ソフトウェア

Windows10セットアップ

海外通販、特に非英語圏からの情報機器購入の場合、予め日本語パックなどを勝手に(親切でやってくれてる場合もありますが)インストールしてある場合などもあるのですが、EZbookに関して言えば最初に言語を選択し、中国語・英語以外の場合はWi-Fiセットアップ後に言語ファイルをダウンロードする、というWindows10の従来方式をとっており、スパイウェアなどの混入も考えにくい仕様でした。

Cortana

最近のWindows10のセットアップをしたことがなかったのですが、今はCortana(コルタナ、マイクロソフトの音声認識ソフト)のセットアップも最初に行うんですね。

ただMacのSiriもそうですが、こういったものに一切興味が無いので即切りました(笑)

セットアップ後

セットアップ終了。このあと、更に追加でWindows 10 Creaters Updateなどのメジャーアップデートなどを行い、Windows Updateで新しいファイルが出てこなくなるまで繰り返します。

WindowsはOEMの正規品(Windows 10 Home)がインストールされていました。

メーカー独自のアプリケーションなどは一切入っておらず、完全に「素」のWindowsといったところ。個人的には使わないうえにプロセスを食うだけのプリインアプリが大嫌いなので、嬉しいですね。

 

まとめ

今回レビューしたJumper EZbook 3 Proは非常に安価な13インチラップトップですが、CNCで削り出されたハイクオリティなアルミニウム筐体かつ余分なもののないシンプルなデザインのおかげで、見た目と性能のバランスでは5万円前後の製品にも引けを取らないコストパフォーマンスに優れた製品だと感じました。

知らない人が見たら、まず30000円のパソコンだとは思わないでしょう。

また、重たい処理をしないのであれば、動作に関してストレスを感じることはほとんどなく、ブラウジングやオフィス作業であれば効率よく作業が可能です。

ただ、キーボードは特に不満がなかったのですが、タッチパッドがやや使いにくく(と言っても我慢出来ないほどではないのですが)、長時間の作業や高いポインタ精度が必要な場合は、別途マウスを用意したほうが良いかと思います。

Windowsアップデート時など、多くのリソースを要する作業時はややCPUパワーの不足を感じましたが、一度最新のものに更新すれば問題ないでしょう。

ドン・キホーテの19,800円ノートパソコンも驚異的な安さではありますが、性能と見た目を考えれば多少の金額を追加してでも、こちらを購入したほうが幸せになれるのではないでしょうか。

しかし、個人的に中国製パソコンは作りが荒かったり安定性が低いという認識があったのですが、最近の進歩は目まぐるしいものがありますね。脱帽しました。

購入

Jumper EZbook 3 Proは国内ではAmazonなどで購入可能です。