Peak Designの新型ストラップ「Slide V3」と新型マウント「Capture V3」を購入しました

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数年前に購入し、今日まで便利に使ってきた、Carry Speed社の速射ストラップ(レビュー記事は下のリンクから)

色々な場面で重宝し、徹底的に使い込んだせいもあり、流石にボロボロになってきたこと、システム重量にやや不満があることから、買い替えを考えていました。

そんな折、デザイン性と機能性を両立したアメリカのカメラアクセサリメーカー「Peak Design(ピークデザイン)」が、製品ラインナップを刷新するという噂が。

もともとピークデザインのカメラ用メッセンジャーバッグを使っていたこともあり、ここいらでシステムをピークデザインに統一してしまうのも悪くないかな、ということで、ストラップとマウントシステムを、それぞれ発売されたばかりの新製品「Peak Design Slide SL-BK-3」と、「Peak Design Capture Camera Clip CP-BK-3」の2製品に更新することにしました。

購入

今回の製品群の刷新は、Peak Designの3世代目(3rd Generation)に当たります。

しかし、製品名としては単純に「Slide」「Capture」となっており、本記事では旧製品との混同を防ぐ目的も兼ねて、今回購入した第三世代は「Slide V3」「Capture V3」と呼称することとします。

ちなみに、米本国のクラウドファンディングサイト(Kickstarter)では、かなり以前から新型であるV3モデルのクラウドファンディングが行われており、そちらに出資することで、日本でも国内発売前の2017年12月上旬にはすでに新型を手に入れている、熱狂的なファンの方も居ました。

現在では、ピークデザイン・日本正規代理店の銀一が、2017年12月21日から取扱を開始しており、Amazonやビックカメラ、ヨドバシカメラなどの大手家電量販店などで普通に購入することができます。

 

Slide

新型ストラップのSlide(スライド)V3は、大型のレンズやカメラにも対応できる、4.5cm幅広ストラップの「Slide(スライド)」と、ミラーレス一眼や軽量モデルに最適なストラップ幅が3.2cmと狭い「Slide Lite(スライド・ライト)」の2種類が発売され、またそれぞれにブラック(BK)とアッシュ(AS)の、2種類のカラーラインナップがあります。

私はPENTAX K-1というやや大きめのフルサイズ機に、更にバッテリー入り縦グリップを付けて、更に更に外付けフラッシュや重たいレンズを使うことがあるので、肩への負担を考えて幅広のSlideを選択しました。

小型カメラ、例えばSONYのαシリーズなどであれば、Slide Liteのほうがカメラとのバランス的にも良さそうですね。

Capture Camera Clip

リュックの背負い紐やズボンのベルトなどにワンタッチでカメラを取り付けられるCaptureシリーズは、これまでプレート素材などの違いで「Capture」と「Capture Pro」の2種類が展開されていましたが、今回のラインナップ刷新で単一のグレード「Capture(キャプチャー)」に統一されました。

その代わり、従来のブラックに加えてシルバーが追加され、カラーバリエーションの選択肢が増え、また従来製品のユーザーやマンフロット互換雲台を使用するユーザー(後述)に配慮して、プレート無しモデルも選択できるようになりました。

 

開封の儀

slide&capture化粧箱

今回はどちらもブラックを選択。というのも、使用しているピークデザインのエブリデイメッセンジャーバッグがブラック×レッドの差し色という、Slideのブラックと同様の色使いなので、統一感を出したかったからなのです。

ただ、アッシュのグレー×ブルーという色使いもおしゃれですね。そのうち、第2世代Slideのように青や赤のサミットモデルも出てくるでしょうか?

外箱は今までのピークデザイン製品とほぼ変わりありませんが、ロゴが目立たなく、若干落ち着いたデザインになっていますね。

Slide

SLIDE開封1

まずはSlide(SL-BK-3)から。相変わらず、代理店を通してあるはずなのに日本語の説明などは一切付属しませんが、写真があるので迷わず使えるはずです。

ちなみにこの状態からストラップを取り出そうと引っ張っても外れないので、底を開けて内箱を引き出し、固定してあるビニールタイを外す必要があります。

Slide付属品類

付属品などは内箱の中に収納されています。

内容物はアンカー4個(うち2個はすでにストラップ側に装着済み、1個はアンカーマウントに装着済み)、アンカーマウント用ヘックスレンチ、アンカーマウント、ポーチ、ピークデザインのステッカーです。

見ての通りですが、アンカーマウントはめちゃくちゃ小さく、三脚用には設計されていません。

デジカメWatchの嘘

デジカメWatchの新製品紹介ページにはなぜか「アルカスイス互換プレートが付属」などと、しれっと嘘が書かれていますので気を付けましょう。

このプレートに関しては後述します。

Slideストラップ部拡大

ストラップの作りは大変上質で、良いものを手に入れたなあ、という気持ちが強いです。素材としては車のシートベルトと同じに見えますが、あれよりもずっと滑らかで滑りが良いです。各部の工作精度も非常に高く、「所有する満足感」があります。

また、アンカーもLeashやCuffなどの先行製品と同様、ワイヤーの細い第3世代のものに刷新されています。アンカーは、紐の部分をカメラのストラップホールや同梱のアンカープレートなどに予めひばり結び(カウ・ヒッチ)で取り付けておき、必要に応じて好みの位置のアンカーをストラップ側にパチっとハメて使用します。この機構、文章じゃよくわからないかもしれませんし私もうまく説明できないのですが、実際に触ってみればすぐに理解できます。

取り付け・取り外しが簡易かつ軽量・小型のため撮影のじゃまにならず、初めてこのシステムを見た時は「考案者は天才だ…」と驚いたものです。

ストラップすべり止め

ストラップの負担部分にはシリコンですべり止め加工が施されています。

以前の製品は直線のシリコンゴムがストラップの長軸に並行に配置されており「なんだか破れそうだな」という印象を受けましたが、第3世代のSlideはこちらも耐久性の高そうなパターンに変更になりました。

Capture Camera Clip

Capture開封

次にCapture(CP-BK-3)。こちらも外箱はSlide同様の構造ですね。

以前のCaptureは赤が差し色で入っていましたが、今回からだいぶシンプルなデザインになりました。

Capture取説

内箱には取扱説明書が付いています。初めてCaptureを触る場合、Slideよりも理解に時間はかかりますが、誤った使用方法で大事なカメラを落下させたりしないためにも、きちんと目を通すようにしましょう。

Capture本体

CaptureV2あったプレートロック機構はV3でなくなり、スタイリッシュになりました。ただその分、プレートを取り付けた状態でも若干の遊びが出て、プレートとクリップが触れてカチャカチャ言いますが、引っ張っても上下に激しく揺らしても外れることはなかったので大丈夫でしょう。ネジは手締めのものが付いていますが、ヘックスレンチで回すタイプのロングクランピングボルトに交換することも可能。

Capture付属品

内容物はCaptureクリップ、アルカスイス互換アンカープレート(スタンダードプレート)、クリップを分厚い場所に取り付ける時用のロングクランピングボルト(ヘックスレンチ使用)、ポーチ、ヘックスレンチ、ピークデザインステッカー。

ポーチの質感はSlide付属のものよりも良く、私はコチラを使っています。

プレート比較1

Slideでもちょっと触れたプレートについて、詳しく解説しておきます。私も購入時、かなり惑わされたので…

左がCapture付属のスタンダードプレート。右はSlide付属のアンカーマウントです。

見ての通り、右はただ単にカメラの底部にアンカーを取り付けるためだけのものです。

これに対して左、Capture付属のものは、Captureクリップとの接続・四隅にアンカーの取り付け・アルカスイス互換雲台へのマウントの3機能を持っています。

私は三脚環境をアルカスイス互換で統一しているので、左のプレートが必須でした。

第2世代のSlideには、アルカスイス互換の左のものと同じようなプレートが付属していました。なぜか第3世代になってこういうことになってしまったようで、ピークデザインのよくわからないマーケティングのひとつですね。

ちなみに、マンフロットRC2タイプの互換が必要な場合は、更に別売りのデュアルプレートPL-D-2を購入する必要があります(2方向アルカスイス互換、2方向マンフロットRC2互換の両対応プレート)。

プレート比較2

薄さも比べてみたのですが、やはりたいして変わらない…

これならSlideV3に、左のタイプのプレートを付けてくれたほうが嬉しい人のほうが大多数だと思うんですけどね。三脚、けっこう使いますよね?

実際、クラウドファンディングで買った人たちは、右のプレートを使わずに今まで使っていたSlideV2付属のものを使う、って意見が多かったので。

 

使ってみた

プレート固定

プレート固定は付属のヘックスレンチでも良いですが、長く使うことを考えると、ナメやすい点接触のヘックスレンチよりも、ちょっとお高めの面接触レンチをオススメします。

Wera(ヴェラ)というドイツ製の工具ですが、Hex-Plusという独自技術でどのようなボルトでもナメにくくしっかりと締めることができます(詳しい解説はこちら)。自転車とかにも使えるので、1セットあると超便利です。

ストラップ取り付け

SlideV3付属のアンカープレートも使ってみましたが、やっぱり単機能すぎてもったいない感じがしちゃいますね。せっかくカメラの3脚ネジを一個専有するんだから、そのまま雲台にもストラップにもクリップにも付けられる!って運用がしたいんです。

3脚取り付け1

Capture付属のプレートをカメラに取り付け、アルカスイス互換自由雲台(SIRUI K-20X)に載せてみました。プレートにアンカーが付いたままでもしっかりと固定できます。

3脚取り付け2

もちろん、ストラップを付けたままでも3脚運用可能

以前のCarry Speedも、ストラップ→三脚の運用は早かったのですが、ピークデザインはそれ以上の機動力を持ちます。正直言って最強です。

なお、上の写真でもわかるように、K-1左右のストラップホール、アルカスイス互換プレートの3箇所にアンカーを付けています。アンカーをストラップにつける位置を買えることで、ストラップ装着時のカメラの位置も柔軟に変更できます。

上の写真の場合、たすき掛けをして使用し、その時カメラは体の右側、つまり速射ストラップのような位置(すぐに右手でグリップできる)になっています。

もちろん、カメラ左右のストラップホールのアンカーを使ってカメラを首からぶら下げることも可能です。ちなみにたすき掛けの場合は滑り止めが外を向き、首掛けの場合は滑り止めが内側を向きます(何回か試して絶対そうなったので、そういう仕様みたいです)。

ストラップ長の調整もとても簡単で、バックルを起こして調節したい方向にひっぱるだけ。いちいちストラップを外してカメラを置けるところでちまちまやる必要がないので、ストレスもありません。

Captureメッセンジャーバッグ取り付け

CaptureV3クリップを、ピークデザインのメッセンジャーバッグ(エブリデイメッセンジャー15インチ)に取り付けてみました。

ピークデザインのカメラバッグシリーズには、写真のようにCaptureプレートを取り付けるための加工がされています。

なお、15インチは色々物が入って撮影旅行やラップトップの持ち運びに便利ですが、同社の小さいバッグも、そのうちお散歩バッグ用に購入しようと思っています。

メッセンジャーバッグにカメラ取り付け

実際にカメラを取り付けたところ。もちろんこちらもアンカーはクリップと干渉せず、しっかりと固定できます。

プレートの開放は縦グリの上方横にある小さなボタンを押すことで可能なのですが、こちらは誤って押してカメラが落ちないよう、ボタンを90度回すことでロックを行うことも可能です(写真の状態はボタンが押せる状態。時計回りに回すとロック)。人混みの中の移動や、登山などでは大変便利ですね。

ザック取り付け

リュックにも取り付けてみました。ある程度分厚い肩パッドを持つカバンの場合は、ロングクランピングボルトを使用したほうが良さそうです(上の状況でかなりパッツンパパッツンです)。

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実際にリュックにカメラを取り付けてみました。

こうして見ると、かなりボルトがいっぱいいっぱいなのがわかると思います。

この状態で背負ってみましたが、しっかりと固定されておりちょっとやそっとじゃ外れなさそうでしたので、登山などのアウトドア・フィールドワークで活躍しそうです。

デザイン性と機能性の完全な両立

カメラアクセサリーって、デザイン性と機能性の両立したものってなかなか見つからないんですよね。デザイン性が良いものは使いにくかったり、めちゃくちゃ使いやすいと感じたけどなんか芋臭い、ってものも多いんです。

その点、ピークデザインは(人によって感じ方は異なりますが)洗練されたデザインなのに妥協すること無く機能性を追求しており、メーカーのフィロソフィーをビシビシ感じます。

価格は全体的にお高めのピークデザインですが、どれもそれだけのお金を積む価値はあると思います。

しかし、SlideV3でプレートを小さいものに変更したことだけは解せませんね。もしSlideV3を検討している場合、ほとんどの人は別売りのスタンダードプレート(新型)を同時購入したほうが運用面で幸せになれると思います。というか、スタンダードプレートが付属する上、更に幅広い運用が可能になるCaptureV3を一緒に買うのが一番悩まずに済みます(笑)

また、マンフロットユーザーはSlide+デュアルプレート(新型)+Capture【クリップのみ】)の購入がオススメです。

ただ、こうして新しい製品群が出たことで、旧製品の値下がり・在庫処分も予想されますので、あえてアルカスイス互換プレートが付属するSlideV2を狙うのもありかもしれませんね。青や赤のストラップがあるのも今のところSlideV2だけなので…

 

些細な不満点はありますが、全体的に見て素晴らしい刷新なのは間違いありません。

ユーザーの声を取り入れながら進化していくピークデザイン、今後も目が離せませんね。