DJデミオで半年に8000km走ったので実使用レビュー

DJデミオと夕焼け

1ヶ月1500kmペース

DJデミオの納車からはや6ヶ月、あまりにも良い燃費、安価な軽油、何より運転していて楽しいクルマのお陰で、あちこち走っているうちにあっという間に延べ8,500km走行しました。月間1,500km弱のペースで走っていることになり、このままだと納車一年で15,000km走ることになります。

ただ私は北海道在住なので、積雪する冬はどうしてもペースが落ちるはずですから、一年で12,000kmを目処としています。それを差っ引いても、私がこんなに距離を走るのは、正直に言って異常なことです。

 

このクルマと6ヶ月付き合っているうちに、良い点や悪い点がより見えてきたので、箇条書きのレビューを書きたいと思います。少しでも、ディーゼルエンジンのデミオを検討されている方の助けになればと思います。

DJデミオで8000km走ってここが良い

低燃費

私の購入したデミオはXD Touring FF 6MT。メーカーのカタログスペックのよる公表燃費は30km/l(JC08モード)。燃料タンクは35Lとあります。計算上は無給油で1000km走行できることになります。

これに対してAT車では44L入りますが、燃費の良いFF(前輪駆動)でも26.4km/l(JC08モード)ですので、燃費が悪い分をタンク容量で稼ぎ、無給油で1000km走行可能なスペックにしているようです。

燃費面では同じBセグメントのハイブリッド車、トヨタ・アクアの37km/lに比べると分が悪いように感じられますが、軽油の価格(レギュラーガソリンよりおおよそ1L当たり20円安)を加味するとほぼ同様の燃費であるとも言えます。

メーカーのカタログ公表燃費と実際に走行する燃費(実燃費)は差が出るのが当然ですが、ことデミオにおいてはその差はかなり少ないのでは、というのが6ヶ月乗ってみての率直な感想です。

街乗り、例として通勤や近所の買い物では、どうしてもストップ・アンド・ゴーが多くなり、燃費は悪化します。MTは特にドライバーの技量やシフトタイミングでばらつきが出ますが、私の場合街乗りで燃費は20〜24km/lに収束します。特に低燃費走行を心がけているわけでも無く、ほぼシフトインジケータに従い変速し、踏むときは踏んでこの数値です。

郊外や信号のない道になると、燃費は急激に良くなります。

 

2015年のシルバーウィークに、3泊4日で北海道半周旅行(苫小牧から海岸線を反時計回りで襟裳〜釧路〜根室〜知床〜稚内〜札幌まで)で約1700km走行しましたが、その時の通算燃費が30.6km/lと、メーカー公表値を超える驚きの結果が出ました。

この間、DPF再生*1が4回ありました。長距離を走っている場合はおよそ400kmごとに再生が行われるようです(街乗りメインの場合は200〜300kmほどの間隔になります)。

峠道もあれば、渋滞もある中でのこの燃費はかなり衝撃を受けました。なにせ1700km走って給油したのが知床での1回だけですからね。軽油も1Lの価格が約92円だったので、1700kmで5000円強しか掛からなかったことになります。

それでいて、燃費を気にして走ることもなく、強大なトルクのおかげでアップダウンの多い北海道でもストレスなく走ることが出来、改めてこのクルマに惚れなおしました。

 

ただし、高速道路を走る場合に限っては6MTのデミオは不利なのですが、それに関しては後述します。

クルマを買う際に燃費がひとつの判断材料になる方は多いと思いますが、郊外を走ることが多い方には本当におすすめできるコンパクトカーであると自身を持って断言できます。街乗りに関してはアクアなどのハイブリッドカーに軍配があがりますので、ご自分の使用ケースに合わせてご判断いただければ幸いです。

 

運転していて疲れない、運転が楽しい

よくデミオは他の競合するコンパクトカーに比べて「ドライバーズカー」のエッセンスが強いと言われます。私も6ヶ月付き合ってみて、まさしくその通りであると思います。

ドライバーズカーとはショーファードリブンカーの対義語で、狭義にはロイヤルサルーンなんかの高級車に使われる言葉です。

ショーファードリブンカーは運転手ではなくパッセンジャー、助手席や後部座席に乗る人が快適に過ごせるクルマ、まあいわゆるお抱え運転手がいる人用のクルマです。

これに対してドライバーズカーは、基本的には運転手本位、つまりドライバーがハンドルを握り楽しく運転できるクルマということです。

コンパクトカーはそのほとんどが、運転していて楽しいということよりも、いかに経済的に走り、日常に便利で、小さな車体で多くの人と荷物を運べるか、ということを念頭に開発されています。

しかし、デミオはその常識を打ち破り、Bセグメント・コンパクトカーでは考えられなかった高級感のあるインテリア、人間工学にもとづいて考えられたドライビングポジション設計、運転に集中できるMMI(マンマシンインターフェース)と安全装備を備えている革新的なクルマではないか、と思います。

 

ドライバーズカーと表現されるのはこのためで、明らかに後席に比べて前席、特に運転席に開発リソースが割かれているのが、乗っているとよくわかります。

例えば、アクセル操作が安定し、足首も疲れないオルガンペダルであったり(オルガンペダルはBMWなどの高級車が採用)、走行中視線移動が減るHUD(ヘッドアップディスプレイ)であったり、ナビの操作で画面を注視しないで済むコマンダーコントロールであったり、運転手の体型やポジションに合わせて変更できる前後テレスコピック・上下チルト機構付きステアリングであったり…あげていくとキリがありませんが、本当に細かいところまで運転に集中できるように設計されていると感じました。

とにかく運転中に感じるような些細なストレスを、限られた中で出来る限り排除しているのです。

運転が楽しいってよく表現があるけど、楽しいって何?という問いに対して、究極的には、楽しいというのはドライバーが運転に集中できること、それがいわゆる「人馬一体」であり、ひいては「楽しい」という感覚に繋がっているのではないか、と答えられるようなクルマ。それがマツダの理念"Be a driver."なのではないでしょうか。

DJデミオと風力発電

▲ウインドファームの風力発電機とデミオ

パワフル

これは散々言われていることですが、非常にパワフルなクルマです。ガソリンの1.5Lエンジンではありえないようなトルクがあり、坂を登っていても、大人4人を乗せて走っていても力不足にイライラすることはありません。

特にターボで過給される1500rpm〜でアクセルを踏みこむと、シートに押し付けられるような強い加速感が得られます。

あまり意識して踏み込まないし、i-DM*2に怒られるので滅多に回さないですけどね。

強大なトルクのおかげで、低速発進もラクラクです。6速に入れてクラッチのみで発進できたのは驚きました(良い子は真似しないでください)。

教習所でMTに恐怖感を覚えた人、坂道発進で後退して以来絶対MTなんか乗りたくないと思っている人にこそ、ディーゼル車のMTに乗ってみてもらいたいと感じます。

めったにエンストはしないし、坂道の発進でもクルマがブレーキをアシストしてくれるので後ろに下がることはありません*3

 

インテリア・エクステリアの良さ

クルマの外見は、人それぞれに好みがあると思います。

ネット上では、魂動デザインが嫌い、マツダデザインはみんな同じ顔をしているから嫌いという意見もよく見かけます。

が、個人的には国産コンパクトカーのなかで一番カッコいい!と胸を張って言えます。6ヶ月乗って、毎日見ていてもたまにいろいろな角度から眺めて惚れ惚れします。

まあエクステリアに関しては、かなりのバイアスが掛かっていると自覚しているので(笑)このへんにして。

 

私は、インテリアをエクステリアよりも重視しています。クルマを買って乗ると、実際に見ている時間が一番多い部分だからです。

デミオを契約するとき、購入を決意したのが試乗車の運転席に乗り込んだ瞬間でした。

「これ本当にコンパクトカー...? (営業さんに向かって)あ、これ買います」

こんな感じだったのはよく覚えています。

ぶっちゃけ、インテリアは、コストをかければどれだけでも上質にできます。

そのコストをあまり掛けられないコンパクトカーは、今までプラスチッキーな内装のものが多く、私自身そういったものを目にする機会も多かったため、デミオに乗り込んだ瞬間は本当に衝撃を受けました。

各社のコンパクトカーで迷っている方であれば、まずデミオ(できたらディーゼル、さらに言えばXD Touringグレード以上)に一度乗ってみてほしいです。

ヘッドライトが明るい

私は今まで、ヘッドライトがハロゲンかHIDのクルマしか乗ったことがなかったのですが、デミオのLEDヘッドライトは本当に明るいです。

グレードはガソリン車で13Sの最上級グレード、ディーゼルでXD Touring以上と制限されますが、下位グレードでもメーカーオプションで「LEDコンフォートパッケージ」を設定できますので、こちらは必須と言っても過言ではないレベルで付けてほしいオプションだと個人的に思います。夜間の運転中の安心感が段違いです。

また、LEDヘッドライトを設定すると、ポジションランプもヘッドライトを囲む隈取のような分割式LEDになり、こちらはデザイン的にとてもカッコいいのでお勧めです。

 

DJデミオで8000km走ってここがダメ

出足がもっさり

変速ショックの少ない運転をしようとすると、どうしても出足がもっさりします。1速で引っ張ってぶん回せばあっという間に60kmに到達しますが、発進のたびにそんなこと出来ないですからね。試乗車のATではそのように感じた記憶がないため、MT特有の問題かもしれません。

ギア比が使いにくい(MT)

上記の出足云々にも関連することですが、1、2速と6速あたりのギアが使いにくく感じます。1速と2速はクロスしすぎ、6速は上が足りないので高速道路で100km/h巡航するとやや余裕がなくなります。7速が欲しい。

ギアインジケータのサジェスト機能は、速度と回転数から最適なギアを教えてくれますが、燃費走行をする場合はこれに従うのが一番よいです。慣れてくるとインジケータを見なくても大体の変速タイミングはつかめてきますのでほとんど見なくなりますが。

おおよそ0〜15km/hで1速、15〜30km/hで2速、30〜45km/hで3速、45〜65km/hで4速、65〜77km/hで5速、77km/hを超えると6速をサジェストします。

普通に走っていれば町中の巡航はほぼ4速、郊外の巡航は5速、高速の巡航は6速で固定されるはずです。上記サジェストギアの各下限値+5km/hまでで燃費は最良になります。

例えば郊外を5速65〜70km/hで走ると、瞬間燃費は35〜40km/lとなります。おそらく平地ではデミオが一番低燃費で走れる速度域だと思われます。

逆に、上記の理由から、制限速度100km/hの高速道路においては、速度と低燃費を両立して走行できる速度域が存在しないということでもあります。経験上、92〜97km/hで走れば30km/l前後を保てますが、100km/hで走行すると22〜25km/l前後と悪化し、それ以上速度を出すと20km/lを下回ります。

クラクションの音がしょぼい

クラクションなんて普通に運転していればめったに鳴らすことはないのですが、その音がとても弱々しいです。「ぷぇ〜」と気の抜けた音がします。

ホーンを交換しようにも場所がフロントバンパーを取り外さないとアクセス出来ないらしいので、そこまでする理由はないだろうということで諦めています。

サイドブレーキの位置

世界戦略車ですから、左ハンドル仕様との兼ね合いだと思われるのですが、サイドブレーキが運転席側にありません。

コマンダーコントロールが運転席側、サイドブレーキは助手席側にあるために、助手席にかばんを置いた時などたまにサイドブレーキのハンドルに紐なんかが引っかかります。

コマンダーコントロールが近いので操作しやすいのはいいんですけどね。これは人とミッション選択によりけりかと思います。

一番望ましいのはアテンザのような電子パーキングブレーキが装備されることでしょうか。

DPF再生のスケジューリングやリマインダー機能が欲しい

上にも書いたように、DPF再生中は燃費が悪化します。さらにアイドリングストップが出来なくなり、停車中でも、ファンが回っている時のようなヒューンという音がなります。エンジンを切ったあとも音が数分続くことも。

エンジンの保護には必要な処理なので、再生がある事自体にはなんの文句もないのですが、あとどれくらい走ったら次のDPF再生が始まるとか、DPF再生中は100%中どの程度再生が終わっているかの残メーター表示なんかがセンターディスプレイに出ると精神衛生上よろしいのではないかと。

このへんはマツダコネクトのソフトウェアアップデートでどうにかなりそうな気がしますけどね。マツダさんお願いします!

DJデミオと後方羊蹄山

▲後方羊蹄山とデミオ

これから

と、こんな感じでしょうか。不満点ももちろんいくつかありますが、私にとって、それを補って余りある魅力を持ったクルマです。

次、おそらく3,4年後、クルマを乗り換えることになったとしても、マツダのディーゼル車を選ぶと思います。アテンザワゴンなんかカッコいいし、フラグシップモデルだけあって装備の充実っぷりが半端ないし大変に魅力的ですね。

マツダの開発ロードマップには2018年を目処にクリーンディーゼル フェーズ2に入りさらなる燃費向上を目指すとありましたし、その時にはさらに素晴らしいクルマを作ってくれていることと思います。今は上位車種だけの装備、たとえばアダプティブLEDヘッドライトなんかが下位モデルにも搭載されるようになる日もくるでしょう。

マツダのこれから、クルマのこれからに期待は高まるばかりです。

*1:Diesel Particle Filter、ディーゼル微粒子捕集フィルター。このフィルターで燃やしきれなかった煤を捕集しているが、一定距離でこれに対して燃料を噴射し燃やすことでフィルターを再生している。デミオの場合、再生時は燃費が8〜12km/L程度悪化する。再生時間は運転によって変わるがおおよそ20km〜40km走行する時間に等しい

*2:運転のしなやかさをコーチングしてくれる機能。メーター中央に緑・青・白3色のLEDがあり、現在の運転に対しての評価を教えてくれる

*3:ヒル・ローンチ・アシスト。最近の自動車には標準装備されていることが多い